交渉から4年目、豪州EPA=経済連携協定締結、合意でTPP交渉を後押し

日豪10ケ月ぶりの交渉再開は農業の抜本的改革の意志
日本と豪州によるEPA(Economic Partnership Agreement:経済連携協定)交渉が2月7日から始まりました。EPAとは、2ケ国の間で関税廃棄などの貿易障壁を取り除くFTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)をさらに強化する協定で、物流に限らず人の移動や知的財産権、投資ルールの保護など範囲を広げたものです。日豪の交渉は平成19年に始まり昨年の4月まで11回行っているものの未だ合意にいたっていません。豪州は牛肉や農産物などの関税撤廃を要求。日本はそれを拒み、農業を守ってきたのです。豪州との交渉は、日本が昨年11月、「包括的経済連携に関する基本方針」で、自由化による影響が懸念される「農業の抜本的改革」に取り組むことを決定し、10ケ月ぶりとなりました。交渉は10日まで行われ、今年6月の合意を目指します。
韓国は45ケ国と合意済みも、日本はまだ13ケ国にとどまる
日本とEPAを締結、合意した国は、過去13ケ国ありますが、農業大国として豪州は初の交渉相手となります。現在日本は、豪州から石油や燃料、鉱物性製品など約9割を無税で輸入していますが、豪州にとって残り約1割の農産物が無税とならなければ交渉のメリットはないでしょう。逆に日本は、輸出品である自動車や機械、化学製品など約7割が有税となり、昨年からの円高で自動車などは韓国企業にシェアを迫られていると経済産業省は言います。韓国は、すでに市場を世界へ向けており、今まで45ケ国とEPAやFTAで締結、合意を済ましているのです。
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産業界ではTPP(環太平洋経済連携協定:Trans-Pacific Partnership)参加が叫ばれ、日本経団連ではTPP参加推進に8人の副会長人事を内定しました。経団連、米倉会長は、TPPの参加で「今年を”開国元年”にすべきだ」と強調、政府に交渉参加を訴えています。
TPPは交渉相手が一国から複数国へハードル高く
TPPは、豪州とのEPA合意を目指す同時期の6月に交渉参加の是非が判断されます。TPPは、対象国をEPAの2ケ国に対し、複数国と原則、10年以内に100%関税撤廃となるなど、EPAの交渉よりもハードルが高くなります。豪州はすでに参加表明している8ケ国と新たな枠組み作りに交渉を進めています。豪州とのEPA交渉は、実質、TPP交渉の前哨戦と言えるでしょう。日豪EPAが進展すればTPP論議の後押しにもなることから、日本の本気度が試されるところです。
EPA、TPPなど、厳しい交渉に臨む時こそ気持ちを一つに、一丸となって望みたいところ。相変わらず政府では、賛成、反対派と意見は分かれているようです。2月10日から豪州を訪問する海江田経済産業相は、「TPPは(EPAより)もっと難しい。(豪州との)EPA締結に努力することがTPPに向けての一つの方向性になる」とコメント。しっかりまとまって交渉に臨んでもらいたいものです。
経産省:参加しなければ10兆円を超える損失!
TPP参加を睨んだ準備は着々と進み、日本経団連の米倉会長は、2月13日からASEAN(東南アジア諸国連合)3ケ国を訪問。TPPを通じた道路や湾岸、電力などインフラ整備に関して各国との経済強化に話し合いの場を持つようです。ASEAN地域ではインフラ整備計画が進み、政府が新成長戦略として掲げるインフラパッケージ化の輸出に期待がかかります。一方では、農協や消費者団体が各地で交渉反対の集会が開かれ、政府も各地でフォーラムを開き、話し合いの場を積極的に持っているようです。

農水省TPP参加損失7兆9,000億/経産省TPP不参加で10兆5,000億
し農林水産省では、TPPへ参加すれば農業や関連産業のGDP損失は約7兆9,000億円と試算。経済産業省では、参加しなければ輸出企業を中心に約10兆5,000億円の損失と試算します。また内閣府は、TPP参加でGDP全体では、約2兆4,000億〜3兆2、000億円の経済効果が見込めるなど、TPP効果まで各省庁が試算する状況です。政府がまとまらなければ国民にも何も伝わりません。豪州とのEPA合意でその勢いでTPPへの参加、11月のTPP合意に向けて太平洋を中心に「ヒト・モノ・カネ」がスムーズに流れ出し、国内の活性化、輸出促進に繋げたいものです。デフレ脱却のチャンスかもしれません。
 
[2011.2.10]

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