政府経済対策一巡に倒産増加傾向:街角景気は改善、風評被害に検査支援、節電200万人の市場活性化

全銀協:3~4月不渡手形実数1,637件、前年の3.7倍も倒産に至らず

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帝国データバンクが6月8日発表した「全国企業倒産集計5月報」によると、倒産件数は前年同月比9.7%増の964件と4ケ月ぶりに前年同月を上回りました。平成21年9月から続いていた前年同月減少が増加傾向へ転じようとしているのか、今後の原発事故収束や風評被害、消費マインド低下、夏の電力供給不足などの影響が懸念されます。倒産に至った要因を見ると「不況型」が813件と構成比84.3%を占め、販売・輸出不振や売掛金回収難など、平成21年6月の81.2%以降2年連続して80%代の高い推移が続いています。業種別では、建設業が前年同月比23.0%増の267件と最も多く、サービス業が同比36.8%増の186件と前年から2業種は大幅に増加し、地域では岩手、福島県での増加が目立ちます。震災後は、間接的な影響で倒産に至る企業が多く見られましたが、5月に入り被災地で直接被害にあった企業の倒産が明らかになってきました。
全国銀行協会によると岩手、宮城、福島3県の3月~4月の不渡手形実数は1,637枚となっており前年同期比で約4,7倍と拡大しましたが、取引停止処分となったのはわずか10件で、前年同期の11件に比べ減少しています。金融庁では震災後、金融機関に対して災害時における手形の不渡処分について配慮するよう要請しています。この特例措置の効果と思われますが、実質的に企業の資金繰りが破綻している可能性が高いことは間違いないでしょう。中小企業金融円滑化法のリスケジュール(条件変更)申請も今年3月末には170万件を超え、住宅ローンも16万件弱申請されました。政府の間髪いれない支援策、特例措置が待たれます。
内閣府:街角景気2ケ月上昇、消費自粛弱まりへ
内閣府は6月8日、5月の「景気ウオッチャー調査」の結果を発表。「現状判断DI(街角景気)」は、前月同月比7.7ポイント増の36.0ポイントとなり、2カ月連続して上昇。さらに「先行き判断DI」も、先月から6.5ポイント増の44.9ポイントと上昇傾向を示しました。同調査は日本全域を対象に経済動向を敏感に反映しうる業種から2,050人を選出。50ポイントを境に「回復」、「悪化」を算出しています。水準となる50ポイントは下回ったままですが、上向きの動きに自粛マインドの弱まりが見えてきました。
与謝野経済財政相は6月10日の会見で、IMF(国際通貨基金)やOECD(経済協力開発機構)、さらに民間のエコノミストの指摘を参考に、「今年の暮れから来年にかけて景気が上昇すると確信している」と日銀同様、強気のコメント示しました。財務省でも震災で2ケ月延期されていた全国財務局長会議が6日に開かれ、野田財務相は総括判断を説明した後に、「震災から3ケ月でサプライチェーンが回復しつつあることや消費者マインドが回復傾向にあるなど明るい兆しが見られる」と冒頭の挨拶で述べました。夏の電力供給不足で製造業など夏休みの長期化や産業ごとの分散など、今年は「渋滞、満員、行列」など悩みが解消が見込まれます。旅行や観光、遊びなど外出で復興に貢献したいところです。
財務省:5月上中旬貿易収支、21年ぶりの赤字に
福島第1原発事故によって海外の放射能物質に対する風評被害は3ケ月たった今も未だおさまらず、食品はもとより自動車部品などの工場製品にまで相手国から汚染検査を求められています。政府やJETRO(日本貿易振興機構)では、風評被害への対応を基本的に民間の輸出企業や相手国企業同士の対応に任せる姿勢をとっていますが、民間だけでは安全性の保証確保への投資は負担となり支援を求める声が上がっています。政府は、5月2日成立した第1次補正予算に6億7,000万円を計上し、工業製品も検査補助金の対象とし、物流が停滞するのを防ぎ、貿易の円滑な流れを支援としています。現在、日本商工会議所では、文部科学省の放射線量を掲載、サインし証明所として発行していますが、受入れ国や企業によっては、政府発行の「非汚染証明」を求める国もあります。政府による輸出企業の検査負担の軽減策を急いでもらいたいものです。
財務省が6月8日発表した5月上中旬(1日~20日)の「貿易統計速報」では、輸出から輸入を引いた貿易収支は1兆534億円と前年同期の約3.2倍に拡大。輸出では2兆7,325億円と前年同期比9.3%の減少となりました。貿易収支の赤字は、リーマンショック後の平成21年1月を上回り平成2年以降、最大の赤字額となりました。サプライチェーンの回復の兆しや輸出企業への汚染検査負担の解消、さらには外交努力を引き続き継続し風評被害の沈静化、輸出量復旧、拡大を図りたいところです。
節電推奨で200万人の新市場も生まれる
海江田経済産業相は6月10日、夏の電力供給不足に向け、現在定期検査などで停止している原子力発電所の運転が再開されない場合、西日本でも供給が不足するなど経済への影響を懸念し、原発運転再開の必要性を訴えました。原発を抱える自治体や地元住民には理解は得られない一方では、地元の原発稼働による補助金の交付や、雇用を下支えしている面もあり両者、微妙な局面状態にあります。ドイツ・メルケル首相のように「平成34年までに全ての原発を停止」と、再開するにも期限を設定するなどハッキリ言い切って欲しいところです。
自動車メーカーでは、7月から木・金曜日を休日としたシフトに入り、関連業界では休日設定に苦慮しているケースも見られます。政府のクールビス推奨や、企業の早出、早上がりなど夏の15%節電に企業努力が見られます。東京電力では7月1日からウェブ上に当日の電力使用実績を5分間隔で掲載するほか、1時間ごとに需要予測値を公表するとしています。今すぐには再生可能エネルギーで代替が不可能な今、省庁や自治体、企業、家庭で節電に協力し、夏の電力供給不足を乗り切りたいものです。自動車産業の休日シフトの変更で家族を含めた200万人の市場が新たに生まれ、、企業の早出などにも新たな需要が生まれます。節電効果で新たな需要が創出、ビジネスチャンスと言えるでしょう。
[2011.6.14]

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