新たな私的整理制度案「事業再構築法制(仮)」いよいよ国会提出へ

報告書案
昨年2024年12月2日付け、新たな私的整理制度案「事業再構築法制(仮)」として当ブログでもご紹介しましたが、経済産業省の有識者会議は、経営が苦しく倒産前の状態にある企業の債務を多数決で私的に整理できるようにする新たな法制度を提案する報告書案をまとめました。
金額ベースで4分の3以上の同意で可能とし、少額債権者を保護する要件も盛り込まれました。政府は2025年の通常国会に関連法案を提出する見通しとなっています。
早期での事業再生を図るための事業者の債務整理の重要性
報告書案では、債務整理の重要性について、下記の根拠をあげています。
(以下、産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 事業再構築小委員会報告書(案)-早期での事業再生の円滑化に向けて- より抜粋)
—
日本企業の債務残高(総額)は、コロナ禍前の2019年12月の約578兆円から、2024年6月には約700兆円となり、約120兆円増加しています。
また、2024年6月に実施されたアンケート調査によると、「債務の過剰感がある」と回答した企業の割合は、大企業で15.1%、中小企業で27.3%を占めており、同アンケートで債務の過剰感があると答えた企業のうち、債務が事業再構築の足かせになっている企業の割合は、大企業で36.1%、中小企業で36.9%を占めている。
—
<日本の非金融法人企業の債務残高(総額)の動向>

(産業構造審議会経済産業政策新機軸部会資料より)
こうした経済社会情勢の動向を受け、経済的に窮境に陥るおそれがある事業者が早期での事業再生に取り組める制度基盤を整備し、経済の新陳代謝機能を強化しておくことが重要であると考えられるており、今後倒産する企業が増えることを念頭に、企業が再建の道を探りやすくする狙いがあると言えます。
本法案の背景と特徴
企業の債務を整理する手段には裁判所が監督する破産や民事再生、会社更生といった法的整理と、裁判所が関与せず債務者と債権者が交渉する私的整理があります。
私的整理は倒産というレッテルを貼られない利点があるものの、債権者の全員一致が必要で、時間がかかる点が課題でした。
そのため経産省は24年6月、多数決による私的整理を可能とする法制度を議論する有識者会議「事業再構築小委員会」を設置し検討を続けてきました。
主な特徴は以下の通り。
・対象は金融債権に限る。
・金額ベースで4分の3以上の債権者が合意した場合に、債権放棄や返済計画の変更をできるようにする。
・大企業や中堅企業など一定以上の規模がある企業を想定する。
・少額債権者を保護する規定も入れる。
・規模が大きい1つの銀行だけで結論を出せる場合に限っては、集会に出席した金融機関の2分の1超の同意を必要とする頭数要件も加える。
※こうした点は地銀をはじめ金融業界が頭数要件を入れるよう求めていた点です。
・裁判所が関与して公平性を保つ。
・債務者は国が指定する第三者機関に再生計画の概要を示し、手続きを申請。
・裁判所が計画を認可する。
・裁判所の決定に対し、債権者と債務者が異議を申し立てる機会を確保する。
いよいよ関連法案国会提出へ
今月24日に第217通常国会が召集される予定です。会期は延長がなければ6月22日までで、まずは2025年度本予算が3月末に成立(年度内に自然成立するためには3月初めに衆院を通過)するかが焦点となりますが、本国会に関連法案が提出される予定となっています。
事業再生の新たな手続きとなるものなので、その動向にも注目し経営者の皆さまもお伝えしていきたいと思います。
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2024.12.2 新たな私的整理制度案「事業再構築法制(仮)」
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