2024年倒産 日本も米国も高水準

2024年の米企業倒産、14年ぶり高水準 –高金利・物価高響く–
米調査会社S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスが7日発表した2024年の米企業の倒産件数は694件と前年比9%増え、リーマン危機の影響が残る10年以来14年ぶりの高水準になりました。米経済が底堅さを保つなかでもインフレや金利の高止まりが重荷になり、消費関連企業を中心に淘汰が進みました。
※S&Pグローバルは破綻時の資産か負債が200万ドル(約3億円)以上など、一定規模の大きさの米企業を対象に倒産件数を集計している。

目立ったのは飲食や消費関連の企業の破綻です。シーフード・レストラン大手のレッドロブスターは5月、カジュアルレストラン大手のTGIフライデーズは11月にそれぞれ日本の民事再生法にあたる米連邦破産法第11条(チャプター11)を申請しました。長引くインフレで消費者が外食に慎重になるなか経営が行き詰まったものです。
格安航空会社(LCC)大手のスピリット航空は11月にチャプター11を申請しました。新型コロナウイルス禍後の価格競争激化で採算が悪化し、同業との合併計画も破談に終わった。米航空大手では13年ぶりの破綻劇になりました。
米企業の倒産は、コロナ禍の影響が一服した21〜22年は年400件前後にとどまっていましたが、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げの余波が顕在化した23年は635件と22年比で7割も増えました。24年は秋にFRBが利下げを開始したものの、金利の高止まりは続き、財務体力の乏しい企業で倒産が一段と増える形になりました。 米長期金利は25年に入ってからも上昇基調にあります。インフレ再燃への不安や高金利が企業に重くのしかかる状況は続くものと思われます。
2024年 日本の企業倒産
日本でも2024年は企業倒産が増えました。
2024年の倒産件数は9901件(前年8497件、16.5%増)となり、前年を1404件(16.5%増)上回りました。3年連続で前年を上回り、2013年(10332件)以来の1万件に迫る件数となり、2014年(9180件)以降で最も多くなりました。(帝国データバンク)
主な業種や業界につて、調査会社からいくつかレポートが発表されているのでご紹介したいと思います。

主な業種、業界について
◆「飲食店」倒産過去最多を更新
2024年の飲食店の倒産件数(負債1000万円以上、法的整理)は894件で、前年(768件)比で16.4%増加。2020年(780件)を上回って過去最多を更新しました。 (帝国データバンク)

(帝国データバンク)
◆「コメ農家」の倒産・廃業、過去最多
2024年に発生した米作農業(コメ農家)の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は6件、休廃業・解散(廃業)が36件発生し、計42件が生産現場から消滅しました。23年通年の件数(35件)から2割の増加率を記録し、年間の最多件数を更新しました。
全国的なコメ価格高騰が続くなかでも、収益力の悪化や高齢化を理由に米作農家の倒産や廃業が相次いでいます。

(帝国データバンク)
◆タクシー業の倒産・廃業82件、過去最多
2024年に発生したタクシー業の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は35件、休廃業・解散は47件判明し、計82件のタクシー業者が市場から退場した。23年通年の件数(63件)に比べて19件・30.2%増と急増し、これまで最多だった19年(73件)を上回りました。 過去最多のドライバー人手不足や燃料費高騰も経営に追い打ちを掛ける形となり、全国的に「タクシーがつかまらない」状況が多くみられるなかで、タクシー業の倒産が急増しています。(帝国データバンク)

(帝国データバンク)
◆「学習塾」倒産件数、負債が過去最多
「学習塾」倒産件数、負債が過去最多少子化と競争が激化、淘汰の時代に
大学受験予備校などを含む「学習塾」の倒産は、2024年は53件(前年比17.7%増)に達し、2000年以降では2023年の45件を超えて、過去最多を更新しました(速報値)。
また、負債総額も117億4,400万円(同827.6%増)で、2023年(12億6,600万円)の9.2倍増と大幅に増え、2000年以降で過去最多となりました。 学習塾の形態は、集団指導塾、個別指導塾、コロナ禍で広がったオンライン塾など多様化し、それぞれ特徴を打ち出していますが、競争が一層激化し、より目に見える成果や実績が求められています。また、学習塾は小資本でも参入可能で、最近は動画サイトを活用したオンライン上での無料コンテンツも新たな脅威になっており、生徒獲得の競争相手は増える一方となっています。過当競争が続く学習塾市場は、少子化で生き残りをかけた競争が繰り広げられており、2025年も引き続き淘汰の波が押し寄せ、倒産や休廃業が増える可能性が高まっています。(商工リサーチ)

◆「介護事業者」倒産が過去最多の172件
2024年の介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産が、過去最多の172件(前年比40.9%増)に達しました。これまで最多だった2022年の143件を29件上回りました。ヘルパー不足や集合住宅型との競合、基本報酬のマイナス改定などが影響した「訪問介護」が過去最多の81件、多様化したニーズに対応できなかった「デイサービス」も過去2番目の56件、有料老人ホームも過去最多の18件と、いずれも増加しました。 高齢化が進むなか、人手不足の解消は容易ではなく、介護事業者の経営効率化は一刻を争う問題になっています。コロナ禍で悪化した経営を立て直せず、物価高の中で多様化するニーズや人材確保が難しい事業者の倒産は2025年も増加する可能性が高そうです。(商工リサーチ)

◆建設業の倒産過去10年間で最多
2024年の建設業の倒産が1,924件(前年比13.6%増)に達し、2015年以降の10年間で最多を記録しました。3年連続で前年を上回り、1,900件台に乗せたのは2014年の1,965件以来、10年ぶり。
負債1千万円以上5千万円未満の小・零細規模の倒産が1,083件(同15.9%増)と大幅に増え、建設業倒産の約6割(構成比56.2%)を占めました。一方で、負債10億円以上も21件(前年9件)と急増し、建設業の苦境が広がっていることがわかります。 特に、下請けが多く価格転嫁が難しいとび・土工・コンクリート工事など職別工事業者の収益悪化は深刻で、倒産は736件(前年比16.0%増)に達しました。(商工リサーチ)

「円安」関連倒産前年比1.6倍の83件
2024年の「円安」関連倒産は83件で、前年(52件)の約1.6倍(前年比59.6%増)に急増しました。負債総額は344億1,900万円(前年比83.3%減)で、大幅に減少しました。 2024年の「円安」関連倒産83件の産業別は、卸売業が37件(前年24件)と全体の44.5%占め、次いで、小売業20件(同8件)、製造業11件(同11件)の順で、円安に伴う輸入商品・製品や原材料などの価格上昇が収益を圧迫し、資金繰りに支障を来たしたことを示しています。(商工リサーチ)

まとめ
2024年の企業倒産は、物価高や人手不足を原因とする倒産が増加しています。物価高の背景は、資源高や円安です。
また負債が5,000万円未満の倒産も多く、前年より17.8%増加しています。さらに資本金が「個人+1,000万円未満」の企業の倒産が全体の約7割を占め、中小零細企業の倒産が増加していることがわかります。
こうした趨勢は2025年も続くと思われます。経営者の方々は、業務の見直し、効率化をより一層図りつつ、補助金や公的な助成制度もうまく活用するなどするとよいでしょう。
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