価格交渉に最も後ろ向きな企業を公表~経済産業省が下請け企業調査~

経済産業省が下請け企業調査

経済産業省中小企業庁は、8月2日、「価格交渉」、「価格転嫁」の状況について、受注側となる中小企業からのアンケート回答を整理したリストを公表しました。

企業名は実名で公表され、「価格交渉」については、家電量販店の「エディオン」、ハウスメーカーの「一条工務店」と「タマホーム」が応じないなどとして、4段階のうち最低と評価されています。

経済産業省によるフォローアップ調査

経済産業省では、エネルギー価格や原材料費、労務費などが上昇する中、中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、2021年9月より、毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」と設定。この「月間」おいて、価格交渉・価格転嫁を促進するため、広報や講習会、業界団体を通じた価格転嫁の要請等を実施しています。また、各「月間」終了後には、多数の中小企業に対して、主な取引先との価格交渉・価格転嫁の状況についてのフォローアップ調査を実施し、価格転嫁率や業界ごとの結果、順位付け等の結果をとりまとめるとともに、状況の芳しくない親事業者に対しては下請中小企業振興法に基づき、大臣名での指導・助言を実施しています。

※「価格交渉促進月間の概要」中小企業庁より

企業の評価基準

公表されたリストは、約46,000社の中小企業の10社以上から「主要な取引先」として挙げられた企業290社について、価格交渉や価格転嫁の状況を整理したものです。

「価格交渉」についての点数はまず「交渉が行われたかどうか」がポイントとなり、「行われた」場合は、発注企業から「申し入れがあった」場合は10点、「申し入れがなかった」場合は8点とする。

 一方、最終的に「価格交渉が行われなかった」場合では、「申し入れがあった」事案でも「コストが上昇せず、交渉は不要と判断し、申し入れを(受注側中小企業が)辞退した」ケースと「コストが上昇したが、交渉は不要と判断し、申し入れを(受注側中小企業が)辞退した」ケースは10点とされるが、「コストが上昇したが、発注量減少や取引停止を恐れ、申し入れを辞退した」ケースは5点と判断されている。

 さらに「申し入れがなかった」事案では「コストが上昇したが、発注量減少や取引停止を恐れ、交渉を申し出なかった」ケースは-5点、「コストが上昇し、交渉を申し出たが、応じてもらえなかった」ケースは-10点と厳しい評価となっている。

 「価格転嫁」については、そのまま「1割転嫁」で1点、「2割転嫁」で2点と設定され、費用が上昇している中で減額された場合は-3点という基準が設定されている。

この2つの点数の平均値を以下のような形で分類し、対象企業をリスト化しています。

◆価格交渉、価格転嫁の状況の分類

ア平均値が7点以上
イ平均値が7点未満、4点以上
ウ平均値が4点未満、0点以上
エ平均値が0点未満
※基準となる点数にマイナス値が含まれることから、平均値の値が0点を下回ることがある。

リストの公表

価格交渉と価格転嫁についてそれぞれア~エの4段階の評価がありますので、組み合わせとしては、4×4=16通りの評価結果となります。

この結果を分類すると、最も価格交渉にも価格転嫁の受容にも積極的な企業となる、価格交渉・価格転嫁ともに「ア」の評価の企業は13社、今回、最も価格交渉に厳しい評価だった、価格交渉「エ」価格転嫁「ウ」の企業は3社となりました。

価格交渉・価格転嫁ともに「エ」の企業は該当がありませんでした。

◆分類別の企業数一覧

もっとも交渉に前向きな企業13社

評価の組み合わせ企業数割合
価格交渉「ア」価格転嫁「ア」13社4%
価格交渉「ア」価格転嫁「イ」119社41%
価格交渉「ア」価格転嫁「ウ」23社8%
価格交渉「イ」価格転嫁「ア」2社1%
価格交渉「イ」価格転嫁「イ」62社21%
価格交渉「イ」価格転嫁「ウ」42社14%
価格交渉「ウ」価格転嫁「イ」8社3%
価格交渉「ウ」価格転嫁「ウ」18社6%
価格交渉「エ」価格転嫁「ウ」3社1%
合計290社100%
※中小企業庁データより当社作成

◆価格交渉・価格転嫁ともに「ア」の評価の時企業

  企業名①回答企業数②価格交渉の回答状況③価格転嫁の回答状況
1(株)小松製作所45アア
2日本工営(株)23アア
3パナソニックコネクト(株)20アア
4応用地質(株)17アア
5デンカ(株)16アア
6日立造船(株)14アア
7(株)オリエンタルコンサルタンツ14アア
8住友電装(株)14アア
9鹿島道路(株)12アア
10(株)KOKUSAI  ELECTRIC12アア
11いすゞ自動車(株)12アア
12淀川ヒューテック(株)11アア
13朝日航洋(株)10アア
※中小企業庁データより当社作成

もっとも交渉に厳しい企業3社

◆価格交渉「エ」かつ価格転嫁「ウ」の企業

企業名①回答企業数②価格交渉の回答状況③価格転嫁の回答状況
(株)一条工務店26エウ
タマホーム(株)13エウ
(株)エディオン11エウ
※中小企業庁データより当社作成

国内の雇用のうち7割は中小企業が占めていて、経産省はアンケートの公表を通じて価格転嫁を後押しし、中小企業の賃上げを後押ししたい考えです。

中小企業の価格転嫁はまだまだ道半ばです。今後は、価格交渉に必要な準備やツールの紹介ができればと思います。

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