消費増税法案衆院通過:「財政再建」「増税」が先走り、1泊3日のG20首脳宣言「バランスの取れた成長」中身はどこ?

増税分価格に転嫁できない中小企業、収益悪化が懸念
6月26日、消費増税を柱とした税と社会保障の一体改革関連法案が衆議院で可決しました。増税分を価格に転嫁できない中小企業の経営を懸念する声や、効果のある経済施策を求める声が上がりました。財政再建のためにやむを得ないとしても増税だけが先行し、経済施策や優遇措置、円高対策など中小企業支援策が具体化されません。
消費税は、平成26年4月には8%に、1年6か月後の翌年27年10月には10%に2倍に引上げられます。停滞した経済下での税率の引き上げだけでは、各方面から疑問の声が聞かれます。
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住宅:増税前の特需見込めても、増税後は相当な下落必至
住宅産業は、高額だけに消費税が2倍になる影響は大きく、平成9年に消費税が3%から5%に引上げられた時と同様、増税前の駆け込み需要と、その後の急激な落ち込みが予測されます。住宅は、土地の取得から着工、販売までの期間もかかり増税前までに間に合わなくなるかもしれません。特にマンションは、これから駆け込み需要獲得を目論んで、土地を仕入れても平成26年4月までに竣工し販売するのは難かしいかもしれません。
自動車:電力不足、増税で更に海外生産拠点移転
国内の自動車産業は、トヨタや日産、ホンダが今年3月期に国内事業が赤字になりました。増税により収益確保はより海外に頼ることになると予測されます。自動車を税金から見ると、取得時と所有している間、9種の税が課せられていています。販売促進効果が出ているエコカー減税などで消費を促す政策が不可欠です。特に車両の取得時に課せられる自動車取得税は消費税と二重課税となっており、トヨタの豊田社長は「あり得ない」と強調します。自動車産業はすそ野の広い産業だけに、度重なる電力不で影響が残る中で、更に増税では生産拠点海外移転がより進むでしょう。小規模の生産工場、海外移転も出来ずみすみす廃業に追い込まれます。
家電:エコポイント終了、新興国など台頭、さらに追い打ちは消費税増税
家電メーカーは、ソニーやパナソニックなど今年3月期に巨額の赤字決算。薄型テレビ事業の不振により、市場で投げ売り状態となっており、駆け込み需要も期待できないとしています。販売支援策の家電エコポイントが昨年3月に終了、さらに同年7月の地上デジタル放送移行への特需もなくなり、市場は激しい価格競争で単価が下落傾向。さらに韓国の新興国メーカーの参入で国内家電大手は危機的状況で、打開の道が見えていないのに、消費を冷やす増税です。
スーパー:平成8年ピークで前回増税から15年連続売上減少
生活に直接影響するスーパーなど小売業では、前回の消費税引上げから15年連続して販売額が減少。ピーク時の平成8年に比べ昨年は12兆円も減少しました。消費の現場では通販や近隣競合店とで価格競争が日常的に続けられ、消費税増税分を価格転嫁できないことは目に見えています。増税前に一時的な買いだめは見込めますが、いつまでも長続きすることもなく、スーパーなど小売業は増税の影響を早くに受ける業界と見込めます。
G20:増税と社会保障改革だけを強調、経済成長は後回しで帰国
野田首相は今月18日、メキシコでのG20(20ケ国の地域)首脳会合で「税と社会保障の一体改革案の成立に努力」と表明。G20首脳宣言の「強固でバランスの取れた成長」である成長戦略が貧弱に終わりました。成長などを議論する19日の首脳会合には、与党の増税反対派説得のために、何とメキシコから帰国してしまうなど、実現に疑問の残る貧弱な成長戦略を露呈してしまいました。
7月には日本再生戦略がまとめられ経済の再生に取組み、今年度は2%を上回る成長が可能としていますが、野田首相は政局に軸足をおいているだけにせっかくの日本再生戦略が狙い通りとなるかとても疑問が残ります。
[2012.7.2]

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