「鉄道会社運営」実現のチャンス?!「北近畿タンゴ鉄道」運行部門を民営化

「北近畿タンゴ鉄道」運行部門民営化で収支改善

131005_1.jpg

京都府と兵庫県北部をつなぐ第三セクター鉄道「北近畿タンゴ鉄道」(KTR/京都府宮津市字鶴賀2065-4/代表取締役社長:上田清和氏)の経営難を受け、最大株主である京都府は9月27日、鉄道の運行部門を切り離し、民営化する方針を明らかにしました。
運行については新会社が担い、車両や線路などのインフラはKTRが引き続き保有。新会社がKTRに対して使用料を払い、KTRは新会社に管理委託料を払う「上下分離方式」で収支構造の改革を図ります。10月下旬から鉄道運行などを担う事業者の公募を始め、有識者による選定委員会による審査を経て今年度内に決定、平成26年度中に新体制での運行を目指すとしています。
「日本一の赤字路線」/沿線自治体による赤字補填、24年度7.5億円
KTRは昭和63年に第三セクター方式で開業。現在、宮津線(京都府西舞鶴−兵庫県豊岡)と宮福線(京都府宮津−同府福知山)の2路線を運行し、地域の足として親しまれています。しかし、沿線の人口減少などで、利用客は平成5年度の約300万人をピークに、24年度は約190万人まで減少。また、三セク転換後も赤字が続いていて、全国に35ある三セク鉄道のなかでも「日本一の赤字路線」となっていました。
社員の給与削減などで直近の決算では人件費5.5%減に成功したものの、車両の法定検査が集中するなどしたことから修繕費が11.5%増。24年度の経常損失は過去最悪の8億4,149万円を計上しました。府など沿線自治体が、24年度で7億4,500万円を補填して存続してきましたが、それも限界を迎えています。
観光車両導入で集客増/台風18号で設備被害、運休で収入源のダブルパンチ
KTRはコストカットを進めると同時に、既存車両にソファ席やカウンターを設ける改修を施した観光車両「あかまつ」「あおまつ」を導入するなど、集客にも力を注いできました。景勝地・天橋立などの観光需要もあり、今年4月の運行開始以来、6月末までの利用者が約7,000人と、前年同期の2倍以上で推移。好評を受け、9月上旬には来春にも新型観光車両「くろまつ」を導入する計画を公表していました。
ところが、その直後に丹後地域を襲ったのが、およそ5,000戸に床上・床下浸水の被害を与えた台風18号。KTRは軌道の崩壊や分電盤の冠水などで計約4,800万円の被害が出たほか、9月15~18日の全線開通まで、163本が運休、約300万円の減収を見込んでいます。
「あまちゃん」に描かれた三セク鉄道の敗者復活劇
「三セク鉄道×自然災害」というキーワードは、先日終了したNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」と思いがけず符合します。最終話では震災で津波被害を受けた北三陸鉄道(北鉄)の運転再開の喜びが描かれた同番組、北鉄の駅長が語った「第三セクターの意地、みせっぺ!」という台詞も印象的でした。
北鉄のモデルとなった岩手県の三陸鉄道(三鉄)は国内初の三セク鉄道。その例に漏れずその経営は厳しいものですが、国や県の補正予算により費用拠出のメドがつき、平成26年までの全線開通を目指しています。
サービス維持して関連事業活性、三セクも個性の時代!
KTRの新会社公募にあたっては、駅の廃止はせず、ダイヤなどサービス水準を維持することなどを条件とするとのこと。運賃設定のほか、京都府北部の観光圏「海の京都」を活用した旅行業、駅構内での「駅ナカビジネス」、グッズ販売などでの赤字解消が期待されています。
ご存知の方も多いかと思いますが、三鉄も「あまちゃん」効果に頼るばかりでなく、「こたつ列車」などのイベント車両を運行するほか、「萌えキャラ」の「久慈ありす」前面に押し出すなどの個性的な取り組みで、地域の観光活性を担っています。三セク鉄道の敗者復活劇に今後も注目して参りたいと思います。
[2013.10.5]

記事一覧


◆二十四節気◆令和8年(2026)9月23日「秋分(しゅうぶん)」です。◆

季節のお便り

2026 / 09 / 18

最低賃金1,177円時代へ――「賃上げできない会社」がこれから直面すること

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 09 / 08

◆二十四節気◆令和8年(2026)9月7日「白露(はくろ)」です。◆

季節のお便り

2026 / 09 / 01

人手不足国家・日本は外国人材で救われるのか?――2027年「育成就労制度」で変わる中小企業の採用

八木宏之の経済時事ウォッチ 未分類

2026 / 08 / 24

◆二十四節気◆令和8年(2026)8月23日「処暑(しょしょ)」です。◆

季節のお便り 未分類

2026 / 08 / 18

日銀はなぜ利上げを急ぐのか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 08 / 14

◆二十四節気◆令和8年(2026)8月7日「立秋(りっしゅう)」です。◆

季節のお便り

2026 / 08 / 03

骨太の方針2026を読み解く

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 08 / 02

◆二十四節気◆令和8年(2026)7月23日「大暑(たいしょ)」です。◆

季節のお便り

2026 / 07 / 21

日銀金融政策決定会合(6月)を読み解く(後編)

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 07 / 17

日銀金融政策決定会合(6月)を読み解く(前編)

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 07 / 06

◆二十四節気◆令和8年(2026)7月7日「小暑(しょうしょ)」です。◆

季節のお便り

2026 / 06 / 30

◆二十四節気◆令和8年(2026)6月21日「夏至(げし)」です。◆

季節のお便り

2026 / 06 / 19

日銀はインフレの原因を見誤っているのではないか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 06 / 17

2026年上半期の日本経済を総点検

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 06 / 09

◆二十四節気◆令和8年(2026)6月6日「芒種(ぼうしゅ)」です◆

季節のお便り

2026 / 06 / 03

「関税ショック」後の中小企業サバイバル戦略

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 05 / 29

2026年「骨太の方針」はなぜ重要なのか ― 中小企業経営者が知るべき“国家の方向性”と与党内のせめぎ合い

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 05 / 21

◆二十四節気◆令和8年(2026)5月21日「小満(しょうまん)」です。◆

季節のお便り

2026 / 05 / 19

大胆な投資促進税制とは何か

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 05 / 07

◆二十四節気◆令和8年(2026)5月5日「立夏(りっか)」です。◆

季節のお便り

2026 / 05 / 02

日銀「金融政策決定会合」から読み解く日本経済

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 04 / 29

◆二十四節気◆令和8年(2026)4月20日「穀雨(こくう)」です。◆

季節のお便り

2026 / 04 / 17

値上げは悪いこと?物価高時代に企業が取るべき経営戦略

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 04 / 17

◆二十四節気◆令和8年(2026)4月5日「清明(せいめい)」です。◆

季節のお便り

2026 / 04 / 02

日本企業に起きている「静かな淘汰」

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 03 / 31

金融政策決定会合(3月)-中小企業経営者が知っておくべき金融環境の変化-

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 03 / 23

◆二十四節気◆令和8年(2026)3月20日「春分(しゅんぶん)」です。◆

季節のお便り

2026 / 03 / 16

エネルギー価格上昇に中小企業はどう対応するか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 03 / 12

◆二十四節気◆令和8年(2026)3月5日「啓蟄(けいちつ)」です。◆

季節のお便り

2026 / 03 / 02

第二次高市内閣で日本の産業政策はどう変わるのか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 02 / 26

◆二十四節気◆令和8年(2026)2月19日「雨水(うすい)」です。◆

季節のお便り

2026 / 02 / 16

【衆議院選挙後】新政権と金利上昇をどう読むか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 02 / 09

◆二十四節気◆令和8年(2026)2月4日「立春(りっしゅん)」です。◆

季節のお便り

2026 / 02 / 01

消費税減税は実現するのか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 01 / 31

日銀金融政策の転換期をどう読むか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 01 / 25

◆二十四節気◆令和8年(2026)1月20日「大寒(だいかん)」です。◆

季節のお便り

2026 / 01 / 17

2026年度予算――規模・評価軸・企業経営への示唆

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 01 / 03

◆二十四節気◆令和8年(2026)1月5日「小寒(しょうかん)」です。◆

季節のお便り

2026 / 01 / 02

日銀・金融政策決定会合(12月) 利上げの背景と今後の政策運営

八木宏之の経済時事ウォッチ

2025 / 12 / 21

◆二十四節気◆令和7年(2025)12月22日「冬至(とうじ)」です。◆

季節のお便り

2025 / 12 / 17

取引適正化推進法(旧:下請法)とは?

八木宏之の経済時事ウォッチ

2025 / 12 / 10

◆二十四節気◆令和7年(2025)12月7日「大雪(たいせつ)」です。◆

季節のお便り

2025 / 12 / 03

外国人のビザ要件強化の背景とその影響

八木宏之の経済時事ウォッチ

2025 / 11 / 30

高市政権×21兆円補正予算:中小企業に訪れる“追い風”

八木宏之の経済時事ウォッチ

2025 / 11 / 24

◆二十四節気◆令和7年(2025)11月22日「小雪(しょうせつ)」です。◆

季節のお便り

2025 / 11 / 16

ガソリン税ついに廃止!軽油も2026年にゼロへ

八木宏之の経済時事ウォッチ

2025 / 11 / 10

◆二十四節気◆令和7年(2025)11月7日「立冬(りっとう)」です。◆

季節のお便り

2025 / 11 / 04

どう変わる?日銀の10月会合に見る金融政策の行方

八木宏之の経済時事ウォッチ

2025 / 10 / 31

高市首相、女性初の宰相誕生で経済政策に新機軸

八木宏之の経済時事ウォッチ

2025 / 10 / 21