事業再生・会社再建・M&A・事業譲渡・会社分割・経営改善・債務・連帯保証問題に立ち向かうセントラル総合研究所・八木宏之のブログ

八木宏之の時事ウォッチ


過去最高、銀座1平方m当たり5千万円
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国土交通省が平成29年3月21日に発表した1月1日時点での公示価格によると、1平方m当たりの最高価格は、11年連続で東京・銀座の「山野楽器銀座本店」で過去最高の5,050万円でした。再開発が進む銀座は、全国公示価格の上位10地点のうち5つを占めました。
一方、価格上昇率では、大阪・道頓堀の「つぼらや道頓堀店」が全国一となりました。道頓堀の商業地では、外国人観光客が増え、店舗や宿泊施設などのニーズの高まりで、公示価格は前年から41.3%上昇しました。

調査対象地点は全国2,5万地点
公示価格は、国土交通省が全国に定めた地点を毎年1月1日時点の価格を公示するもので、平成28年は25,270地点が対象となりました。
公示価格は、1平方m当たりの価格で表し、特別な事情のない場合の適正な取引価格の1つと見込まれていますが、最高値や最安値を示す価格ではありません。
公示価格を判定するのは2人の土地鑑定委員会で、土地の評価を行い結果を土地鑑定委員会が審査、調整して最終的な正常価格として公示されます。

「商業地」は2年連続上昇
公示価格を全国平均でみると、「商業地」が前年から1.4%上がり、2年連続で上昇。
「工業地」も、ネット通販の急拡大や企業物流を包括的に受託する業者が増え、物流施設の立地ニーズの高まりで9年ぶりに上昇しました。
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一方、「住宅地」は、変動率が前年と比べ0.0%と9年ぶりに下落を脱し、横ばいとなりました。
先進的な大型物流施設へのニーズは年々高まっており、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)などの高速インフラが進んでおり、物流施設の適地は増加傾向です。

熊本地震「特別な事情」で下落
平成28年4月に震度7を観測した熊本地震は公示価格にとっては「特別な事情」となり、熊本・益城町寺迫では前年から6.9%と大幅に地価が下落しました。日本全国、地震や台風・ゲリラ豪雨など異常気象により甚大な災害となる地域は、地価が下落し、東日本大震災の津波による福島原発事故のように人も離れる傾向にあります。
一方で、地元産業の好調に公示価格が上昇を及ぼす地域もあります。得に目立ったのはマツダの地元、広島市南区は7.0%上昇。富士重工業の工場のある群馬県太田市、トヨタ自動車の愛知県豊田市が地域を別として上昇しています。
事業所や工場などが首都圏に集約されれば公示価格も上昇。アベノミクスの地方創生への逆風となるのか懸念されます。


[2017.3.30]

業界主要50社が連携、技術開発急ぐ
エネルギーの安全保障が永遠の課題である、日本。次世代の国産エネルギー資源として期待される「メタンハイドレート」の商業化に向けて、千代田化工建設(千代田化工建設(株):神奈川県横浜市 澁谷省吾社長)や、日揮(日揮(株):神奈川県横浜市 川名浩一社長)など業界の主要50社が連携し、4月、専門組織を立ち上げることになりました。海底掘削などの技術開発を急ぎます。
 
石油に代わる「燃える氷」
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メタンハイドレートは、分解すると天然ガスの成分のメタンガスが得られる氷状の塊のことで、「燃える氷」と呼ばれます。日本海などの海底の地層に埋蔵されているとされ、石油に代わる次世代資源として、関連事業も含めて期待が高まっています。平成29(2017)年度予算案では、メタンハイドレートの商業化を目指す研究開発や石油天然ガス開発に向けた地質調査に242億円が新たに計上されましたが、商業化を巡っては、抽出や輸送などコスト面の課題が指摘されています。

2023年以降の商業化目指し官民一体で開発
新設の専門組織は、政府の全面協力も取り付けたうえで、4月に第1回会合を開く予定です。掘削や輸送に必要な技術や、コスト抑制策といった情報を参加する企業間で共有しつつ、必要な技術を持ち合う企業同士の連携を深めます。平成35(2023)年以降の商業化を目指しており、政府の総合海洋政策本部の有識者会議がまとめる提言に盛り込み、官民一体の開発につなげます。

EEZに100年分のメタンハイドレード?
日本は、燃料の大半を中東などからの輸入に頼っており、主要国の中では最もエネルギーの自給率が低い。これは、国家の安全保障にかかわる重要な問題です。日本が採掘や調査を自由にできる排他的経済水域(EEZ)内には、国内で消費する液化天然ガス(LNG)の100年分のメタンハイドレートが眠っているとの試算もあり、大いに期待したいところです。

●関連記事:「世界初!海底から天然ガス「メタンハイドレート」採取成功!実用化への技術確立に一歩前進」[2013.3.22配信]http://www.h-yagi.jp/00/post_230911.html

[2017.3.29]

フリーのための団体保険創設
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日本では、非正規雇用が、全体の4割を超えています。非正規というと、企業経営の犠牲のように言われがちですが、特定企業に属さずに働く「フリーランス」志向の人も増えており、ことにIT(情報技術)分野などで急増中です。こうした人材を支援するため、政府は、失業や出産の際に所得補償を受け取れる団体保険の創設を提言します。働き方改革の一環です。

正社員でないと社会保障が手薄に
システム開発やウェブサイトの制作を手掛けるデザイナー、技術者たち。翻訳家やライターなどフリーとして働く人たち。ライフスタイルの変化や時代性を反映し、こうした分野では、女性の活躍も目立ちます。とはいえ、日本では、企業の正社員でないと、社会保障制度が手薄になりがち。契約が満了すると、とたんに収入が途絶するというリスクもあります。

フリーランス協会加入で保険料最大5割減
このため政府は、所得補償保険を創設します。損保大手と一緒に専用の商品を設計・開発し、来年度から民間で発売してもらいます。契約ができれば場合でも所得を得られるようにすることが狙いで、業界団体「フリーランス協会」に加入すれば、保険料が最大5割軽減される団体割引の仕組みにします。

発注者が一方的に決められない契約ルール
契約ルールも明確にします。商習慣の改善が遅れているこうした分野では、大手であってもフリーランスの契約条件が未整備の企業も多いためです。報酬額や支払い時期なども、仕事を発注する企業が一方的に決めるのではなく、契約書の事前締結や"退職金"の仕組みの明確さなどを、具体的に示すようにします。どの業界も、旧来の悪弊から解放されていかなければなりません。


[2017.3.28]

金利低下で消えたメリット
定期預金の残高が、平成28(2016)年末時点で、9年ぶりの低水準に落ち込みました。普通預金が過去最高に膨らんでいるのと比べ、対照的な結果です。日銀(日本銀行:東京都中央区 黒田東彦総裁)のマイナス金利政策を受け、金利が低下した結果、資金を長期にわたって固定し、割高な金利を得るというメリットが消えました。その資金は普通預金やタンス預金に回っています。

定期預金残高は3.9%減
日銀によると、平成28(2016)年末の定期預金残高は244兆9337億円。前年末比で3.9%減。年末時点の値としては、日銀がゼロ金利政策を解除した翌年の平成19(2007)年以来の少なさです。
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定期預金の平均金利(預入金額300万円未満、期間6カ月以上1年未満)は、平成28(2016)年10月時点で、過去最低の0.021%。長く預けてもさほど実入りが増えないわけで、これも当然の結果と言えます。
 
企業も資金を普通預金に
一方、普通預金残高は379兆847億円で、11%増でした。統計を遡れる平成9(1998)年以降では過去最高です。金利が0.001%とさらに低いものの、出し入れしやすい点がニーズに合っているようで、今年1月末時点でも同じ基調。定期預金が、普通預金に流れているのです。マイナス金利に伴う運用難のため、年限が短い債券などで資金を運用してきた企業さえも、資金を普通預金に回しています。一部の債券利回りはマイナス圏なのですから、これもやむを得ない状況です。

ATM手数料に回すならタンス預金
超高齢化が進む日本では、長生きもリスクになる。元本毀損の恐れがある投資を敬遠する個人が増えている、との指摘もあります。確かに、日銀の資金循環統計によると、家計が保有する投資信託は平成28(2016)年9月末時点で前年同期に比べて3.3%減り、株式も2.2%減少しました。ATMを使って利用手数料をとられるなら、タンス預金で構わない。そんな心境なのかもしれません。


[2017.3.27]

鮮明になる「西高東低」
景気動向の重要な指標である「マンション発売実績」では、「西高東低」が鮮明になっています。不動産経済研究所が発表した1月のマンション市場動向調査で、近畿圏の新築マンション発売戸数が、約26年ぶりに首都圏を上回りました。新築マンションの高値で客離れを起きつつある首都圏と、郊外のファミリー向け物件を中心に需要が堅調な近畿圏の差が出ました。
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首都圏の発売戸数7.4%減
調査によると、首都圏の新築マンション発売戸数は、前年同月比7.4%減の1384戸でした。価格高止まりに伴う需要不振。それに加え、年末の大量供給の反動が1月に出ました。建設現場での人手不足や、アベノミクスによる不動産市況の好転が招いた工事費の高騰も改善していません。平成28(2016)年の工事費は平成25(2013)年比で1割強高く、マンション価格はバブル期並みと言われます。

近畿圏の1月平均価格3341万円は首都圏の半額以下
一方、近畿圏では、70%が好不調の目安となる契約率で、首都圏の61.6%をはるかに上回る75.1%を記録しました。手の届きやすい価格帯のファミリー向けが人気なのに加え、1Kタイプなどの投資用物件も増え、供給増につながっています。価格でも、1月の平均価格は3341万円と、首都圏の半額以下。平成28(2016)年の平均価格も3919万円で、首都圏の約7割の水準です。不動産経済研究所では、「手の届きやすい物件に人気が集まっている」と見ています。

高止まりなのか、値下がりか
今後の首都圏のマンション市場については、見方が分かれます。都心回帰の流れは変わらないため、引き続き新築マンション価格は高止まりするという予想があります。反面、マンション用地が少なく、開発案件が限られていることから、工事費が下がり、価格も値下がりするとする声も出ています。


[2017.3.25]

東京と同様ベアは維持
平成29(2017)年春の労使交渉について、関西企業にもふれておきます。業績不振に苦しむ主要企業が少なくなく、厳しい回答も目立ちますが、東京に本社を置く企業と同様、ベースアップ(ベア)はほぼ維持されました。働き方改革がテーマとし浮上している点も共通しています。
 
パナソニックは例年以上に難航
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関西企業の顔でありつつ、業績が厳しいパナソニック(パナソニック(株):大阪府門真市 津賀一宏社長)。ベアは月額1千円と、組合要求の3分の1で、2年連続で前年割れでした。平成29(2017)年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比19%減る見通しのため、交渉は例年以上に難航しました。西日本旅客鉄道(JR西日本/西日本旅客鉄道(株):大阪府大阪市来島達夫社長)もベア797円で、昨年(1062円)を下回りました。熊本地震の影響で新幹線利用が落ち込んだこともあり、夏季手当と年末手当の合計も前年より0.04カ月少ない5.44カ月分でした。

給与と等級制度の見直しで実質アップ
「餃子の王将」を運営する王将フードサービス((株)王将フードサービス:京都府京都市 渡邊直人社長)は、労組がベアを要求しませんでした。しかし、定期昇給と人事等級制度の見直しで月額9500円(平均3.3%)引き上げるため、実質的にはアップです。シャープ(シャープ(株):大阪府堺市 戴正呉社長)もベア要求を見送りましたが、平成29(2017)年度に年間賞与を平成28(2016)年度の2倍の平均4カ月分支給します。

積水ハウスは在宅勤務を制度化
働き方改革がテーマとなったのは、たとえば、島津製作所((株)島津製作所:京都府京都市 上田輝久社長)。有給休暇を1時間単位で取得できる制度の早期導入について、継続協議します。積水ハウス(積水ハウス(株):大阪府大阪市 阿部俊則社長)は、会社側と社員の代表が協議し、2月に在宅勤務を制度化しました。育児や介護で通勤が困難な従業員が対象となります。


[2017.3.24]

4年連続でベア維持に
平成29(2017)年の主要企業の春季労使交渉の結果が、出そろいました。日経新聞のアンケート調査(90社回答)を見る限り、約6割の企業でベースアップ(ベア)額こそ前年より縮小したものの、4年連続のベアが維持されました。賃上げと働き方改革が必要という認識で労使が一致する傾向です。
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満額回答よりも働き方改革を優先
今春季労使交渉で、ベアが前年より「縮小」と回答した経営者は55.6%でした。「横ばい」は13.3%、「拡大」は11.1%。賃金を決める理由としては、「業績の先行きが不透明なため」が21.3%、「景況感の改善が不透明なため」が14.6%でした。上場企業の平成29(2017)年3月期の純利益は2年ぶりの過去最高の見込みですが、米トランプ政権の動向など先行きへの警戒感もあります。満額回答よりも、長時間労働の是正や女性の活躍など働き方改革を優先する空気です。

家族手当支給で上積みに
トヨタ自動車(トヨタ自動車(株):愛知県豊田市 豊田章男社長)は、ベアは平成28(2016)年より200円低い1300円でしたが、子育て世帯の生活改善を重視しました。4月から子ども1人あたり月額2万円ずつ支給する家族手当の支給を、前倒しで実施します。組合員平均で月額1100円の上積みとなり、ベアを含めた賃金改善分は計2400円と前年を上回ります。よいバランスと言えるでしょう。

ノー残業デーや在宅勤務も回答に盛り込み...
野村ホールディングス(野村ホールディングス(株):東京都中央区 永井浩二CEO)は「ノー残業デー」や「在宅勤務」を回答に盛り込みました。日本電産(日本電産(株):京都府京都市 永守重信会長兼社長)は、「20年残業ゼロを目標にして残業が減っても年俸が減らない賃上げなども計画している」とコメント。1千億円投じてシステムの自動化を進めます。


[2017.3.23]

実績評価され市場を切り崩す
強力なライバル社がひしめく市場を切り崩すのは至難の業ですが、セイコーエプソンン
(セイコーエプソン(株):長野県諏訪市 碓井稔社長)は、複写機分野で、その壁を突破しそうです。複写機は、オフィス需要のいわば本丸。2月に本格参入を発表後、株価は2500円台の高値圏で推移しています。家庭用プリンター市場で成功した実績が評価されているようです。

キヤノン、富士フイルムは株価1割下げ
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複写機で先行するライバル社は、キヤノン(キヤノン(株):東京都大田区 御手洗冨士夫CEO)や、富士フイルムホールディングス(富士フイルムHD(株):東京都港区 助野健児社長)参加の富士ゼロックス(富士ゼロックス(株):東京都港区 栗原博社長)。いわば2大巨頭ですが、この2社の株価は最近、1割前後下げています。市場自体が活性化しているのではありません。

1分間に70枚から一気に100枚へ
エプソンが5月に発売する複写機。ヘッドを約30センチメートル(A3用紙の短い部分に相当)に並べた構造で、一気に大量に印刷ができます。優れた複写機の印刷性能は、1分間に75枚前後ですが、新複写機は最大で100枚。コピーのほかファクス、文書読み込みなどの機能も備えました。作業時間を節約することがオフィス製品の最大のポイントでから、技術力でまず優位に立ちました。碓井稔社長は「英知を集めてつくった」と語ります。

価格は5倍でも印刷コストは10分の1
オフィス向けプリンターも堅調で、平成28(2016)年3月期末には、販売先が約150カ国・地域に広がり、今やインクジェットプリンター全体の4割近くを占めます。販売価格は5万円台が中心と、従来品の2~3倍でありながら、高性能で、印刷コストは10分の1で済むことが評価されました。この発想が複写機にも生かされました。1つの成功モデルを持っている強さがあります。


[2017.3.22]

通信、保険、電気で10年間に10万円増
消費動向が勢いづきません。重荷になっているのが、携帯・ネット料金、生保の保険料、電気代などの「固定費」ではないか――という分析を、最近はよく耳にします。その3つを合わせた金額は年間約41万円で、10年前に比べ10万円増えました。固定費を減らす手段もこの10年で増えているのですが、消費支出の1割を超える状況はやはり重荷と言えます。

料金の負担感が急拡大
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総務省の家計調査を見ると、「2人以上の働く世帯」が平成28(2016)年の1年間に使った携帯電話料金は、計16万5千円。10年前に比べ5万6千円も増えています。家庭のネット回線の通信料と合わせると、通信費は計19万7千円となり、10年で6万8千円増え、税負担の増加額(5万4千円)を上回りました。高市早苗総務相が国会で、「スマートフォン(スマホ)の通信料金の負担は重要課題」と述べたのも頷けるほど、料金の負担感が急拡大しているのです。

予想外の増え方をしている保険料
では、保険料はどうでしょう。掛け捨て型の保険の費用は年10万2千円。初めて10万円を超えました。10年で2万7千円増です。個人保険の保有契約件数も、平成28(2016)年3月末時点で1億6千万件と、この10年で5千万件増えました。医療保険やがん保険、介護保険が普及した結果とみられます。将来への不安感が保険の加入を導くわけですが、予想外の増え方です。

実収入630万円で消費支出は370円では...
電気代も平成28(2016)年は11万5千円で、同じく7千円増でした。東日本大震災後、各地の原子力発電所が稼働を停止していることや、再生エネルギーの買い取りコストが膨らんだことの影響です。

「2人以上の働く世帯」の実収入は632万4千円で、10年前の額を1万5千円上回りましたが、消費支出は371万5千円と、12万8千円減。財布のひもは、当分締めたままという意識なのでしょう。


[2017.3.21]

全国51の保証協会のうち36保証協会で承諾件数減少
信用保証協会平成28年4月~12月、全国の51信用保証協会の保証承諾件数が49万9,993件と前年同期から4.5%減少。保証額も6兆4,059億円と同4.0%減少。承諾件数、金額とも年々前年を下回ってきています。
全国51の信用保証協会のうち、36信用保証協会で承諾件数、保証額とも前年同期を下回っており、企業の業績回復と同時に金融機関の保証協会離れの実態も浮き彫りとなっています。
信用保証協会の承諾件数は、リーマンショック後の平成21年12月に中小企業金融円滑化法の施行により、借入金のリスケジュール(条件変更)が相次ぎ、法案終了後の現在も金融庁による金融機関への要請で同様の対応が続き、承諾件数は伸び悩んでいます。


金融機関:他行からプロパー融資への切り替えで融資増
信用保証協会の貸出の伸び悩みは、日銀のゼロ金利政策により金融機関での低金利競争が激化。金融機関は他行の借入を自行で貸出すプロパー融資での借り換えを進め、貸出を伸ばしてきました。企業倒産はリスケジュール効果により減少傾向にあり、保証承諾件数は7年連続、前年を下回る結果となりました。
金融機関は、これまで貸出の保全に中小企業などリスクの高い融資については信用保証協会で対応することが多くありましたが、金融庁では融資への取り組みを無担保・無保証で企業の将来性を見極め融資することを重視し、これまでの「日本型金融」の脱皮を目指しています。
中小企業の成長への資金調達や事業再生に向けた動きが本格化しており信用保証協会の役割が注視されます。


信用保証を手厚く「中小企業信用保健法」改正
安倍政権は、平成29年2月28日の閣議で、中小企業への信用保証を手厚くする「中小企業信用保健法」の改正案を決め、今国会での成立を目指しています。改正案は、小規模事業者が全額保証する融資の上限を現在の1,250万円から2,000万円に引上げ、資金力の乏しい企業を支える方針です。
信用保証付き融資は、企業が金融機関の融資が焦げ付いた場合、国や地方自治体が資金を出す信用保証協会が肩代わりする仕組み。改正案では、企業や事業の拡大、事業再生などの局面に応じ、きめ細かく支援できるよう改正するとしています。


リーマンショックの出口戦略:中小企業のニーズは多様化
これまで金融機関は、リスクの高い中小企業向け融資の多くを信用保証協会付きで対応してきました。ただ、ゼロ金利政策や金融庁の日本型金融からの脱皮により低金利化での融資競争が激化。自行のプロパー融資に切り替え貸出実績を伸ばしてきています。
リーマンショック後の出口戦略の本格化で事業再生や再建、育成、成長、倒産、休廃業など中小企業のニーズは多様化しています。信用保証協会は今後も信用補完を根幹にしながらも、これまでのノウハウや経験を生かした新たな方向性が求められそうです。

[2017.3.20]

メガバンク:利ザヤの収益を確保
平成28年1月、日銀がマイナス金利政策を導入たことにより日本の3大メガバンクは、利ザヤ収益確保にカードローン事業の拡充やリスク性の高い劣後ローン融資を拡大しています。
劣後ローン融資は、通常の融資よりも金利が高く万が一、融資先が破綻した場合には、返済の優先順位が他の債権より劣る設定となっています。
破綻した企業は、資産整理で従業員の給与や売り掛けに関わる取引先への返済などが優先され、優先順位の低い劣後ローンは、資産が残っていない場合や極めて少額しか残っていないことが十分に考えられます。


自己資本とみなされる劣後ローン
劣後ローンは資金調達を行う際、その形式が株式に類似していることから自己資本とみなす金融機関が多く存在しています。こうしたこともあり資本性劣後ローンとも呼ばれています。
企業が資金調達を実行しても、借入額は自己資本扱いとなるため、自己資本比率が悪化することはありません。よって追加の融資が受けられることも可能となります。利率こそ高いものの資金難に困惑する企業にとっては味方となりえる金融商品です。

リスケジュール・倒産件数


大企業:続々劣後ローンで資金調達
ドンキホーテホールディングスは平成29年3月7日、劣後ローンで1,000億円を調達することを発表。調達資金で新規出店の設備投資に充てる方針です。通常の融資より金利面では不利となりますが、将来の金利上昇を見越し借入期間は50年としました。
劣後ローンは、平成28年もJFEホールディングスが借入期間60年で約2,000億円。NECは同60年で1,300億円、マツダは同50年で700億円、丸紅は契約上、返済期間のない2,500億円を調達し全額を資本に計上することもできます。
劣後ローンは、一定の割合が自己資本となり、財務体質の強化に繋がるメリットもあります。


りそなは中小企業向けの劣後ローン拡充
3大メガバンクの大企業への劣後ローン融資の拡大を見据え、りそな銀行では中堅・中小企業を対象にした劣後ローンの取扱い拡大を目指します。通常の融資の採算性が悪化するなか数少ない利ザヤが得られる事業として金融機関での獲得競争が激しくなってきています。
長期金利が上昇すれば40~60年長期ローンや劣後ローンは増加すると考えられ、金融機関の収益に貢献することとなる一方、20年後の企業の健全性を予測するのは難しくリスクが高いのも現実です。

[2017.3.18]


中小企業経営者の年齢は66歳、20年で20歳老化
平成32年にかけ、中小企業の経営者が大量に引退する時代を迎えます。経営者の年齢をみると平成7年には47歳がピークとなっていましたが、平成27年には66歳と大幅な年齢差が浮き彫りとなりました。これまでも事業承継が進んでいなかったことがうかがえます。

事業承継
経営者の高齢化により、事業承継は中小企業にとって重くのしかかるテーマとなります。団塊世代が大量に引退し、中小企業金融円滑化法のリスケジュール(条件変更)が対応できているなか、後継者問題に早急に向き合う必要があります。


「自分の代で事業を止める」経営者は5割
日本政策金融公庫の「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」によると、後継者は「本人も承諾し決まっている」が全体のわずか12.4%、「決まっていない」が21.8%と応え、「自分の代で止める」が50.0%と廃業を予定する経営者が半数となりました。
廃業予定の業種をみると、「専門・技術サービス業」が16.5%、「その他サービス業」15.2%、「建設業」12.1%と続き、規模では小規模事業者が多くを占めています。廃業予定企業の業績は「良い」「やや良い」が30.6%に上り、その技術や商品力などを見捨てるには惜しい限りです。


廃業ラッシュは技術・ノウハウの損失
今後、廃業が増加した場合、世代交代による事業の拡大や変革、活性化は期待できないほか、雇用も維持できなくなり長年培ってきた技術やノウハウが失われてしまう可能性があります。
中小企業庁では、事業承継を円滑に行うため、平成28年12月5日、「事業承継ガイドライン」を10年ぶりに改訂。60歳以上の経営者を対象に「事業承継診断」を導入し、金融機関や商工会議所など支援機関が経営者を訪問しニーズを聞き出しています。診断表をもとに、早めに計画的な取り組みを意識するよう促し、事業承継をスムーズにする効果を狙っていますが、その効果はまだ大きくありません。
▼中小企業庁:事業承継ガイドライン


M&Aで技術・ノウハウを存続
一方、ここ数年、M&A(企業の統合・買収)を望む中小企業経営者が増えています。後継者問題が深刻な日本ならではのM&Aですが、シャープなど買収元が中国など海外企業では元も子もありません。
日本では経営問題を第三者である金融機関やコンサルタントなど専門家に相談する文化は根付いておらず、得にM&Aに関しては抵抗があるようです。同業者や地元企業、取引先などは避けて欲しい願望がよく聞かれ、異業種による事業の多角化を目指す企業が買収元になるケースが多くみられます。
中小企業経営者の自力での事業承継が難しいとなれば、第三者の専門家と組んでこれまでの技術・ノウハウを存続させる経営者の変革も必要となっています。

[2017.3.17]


2016年12月の自転車活用推進法案を受けて
環境に優しく、健康にも良い。近年、そんな自転車の魅力が再認識されており、それに伴い、景観にも配慮した機械式の立体駐輪場建設が活況を呈しています。平成28(2016)年12月、自転車の活用を推進する自転車活用推進法案が成立し、自転車専用道路の整備やシェアサイクルの拡大も追い風になりそう。特に、駐輪スペースの確保が難しい都市部で注目されています。

増える、屋上、ビル中の駐輪場
業界のトップを走るのは、JFEエンジニアリング(JFEエンジニアリング(株):東京都千代田区 狩野久宣社長)。「サイクルツリー」と名付けた、円筒型の立体駐輪場を考案しました。自転車を収納した部分が、木の枝に見えることからの命名です。同社の産業機械本部サイクルツリーグループの金内常和グループマネジャーは、「最近は、ビルの屋上やビルの中に組み込むなど、さまざまな場所に設置する事例が増えている」と言います。駐輪場は地下というのは、過去の話です。

手続き後45秒で地上40mへ
大阪府枚方市にある商業施設「枚方T-SITE」では、ビルの屋上に駐輪場を設けました。利用者が1階で入庫手続き行うと、地上40mにある屋上まで、わずか45秒で運びあげます。昇降機、受け渡し機、格納機の3つが巧みに連携する技術を駆使し、高速収容を可能にしました。

自転車にやさしく消費電力も抑える
感心するのは、この高速収容と省エネを両立させた点です。サイクルツリーでは、ゴム製のホールド装置で自転車の車輪をつかんで運びます。車輪の幅が違っても同じ力でつかめるため、自転車を破損させる心配がありません。そして、この方法は、駐輪場では一般的だった自転車を荷台に載せて運ぶ方法に比べ、消費電力を大幅に抑えるのです。同社の試算では、地上設置の250台収容の円筒型の駐輪場で、自転車1台当たり約130円と、従来の半分から10分の1程度にコストを削減しました。アイデアが街の景観や機能さえ変えていきます。


[2017.3.16]

三重+第三=中部3県で地銀4位へ
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地銀の再編が盛んですが、中部地方で大きな動きがありました。三重銀行((株)三重銀行:三重県四日市市 渡辺三憲頭取)と、第三銀行((株)第三銀行:三重県松坂市 岩間弘頭取)が、経営統合で基本合意しました。これにより、連結総資産は、中部3県で地銀4位に浮上します。隣の愛知県は、国内屈指の成長市場の1つ。第3位の百五銀行((株)百五銀行:三重県津市 伊藤歳恭頭取)の対抗軸として、存在感を示せるかどうかがカギでしょう。
 
エリアの補完関係が好材料
三重県四日市市に本店がある三重銀行は、北勢地域に店舗が多く、同県の熊野地方にルーツを持つ第三銀行は、南勢地域に店舗が多いという特徴があります。つまり補完関係があり、統合により、北勢では百五銀行を上回ります。愛知県内で店舗の重複がほとんどない点も好材料です。
「中小企業にとっても未来志向の経営統合」目指す
地元の期待も大きく、三重県の鈴木英敬知事は「県内中小・小規模企業にとっても未来志向の経営統合となるよう期待している」、三重県商工会議所連合会の岡本直之会長は、「経営基盤の充実した銀行ができることは、商工業者にとってもありがたい」とコメントしました。

重複店舗の統廃合、人員整理急務
とはいえ、課題は山積しています。両行の店舗数を単純合算すると百五銀(135)を上回る173に膨らみ、重複店舗の統廃合が避けられません。人員整理も急務でしょう。第三銀は、リーマン・ショック後の平成21(2009)年に300億円の公的資金の注入を受けた経緯があり、日銀のマイナス金利政策が長期化するなか、経営改善が順調とも言えません。
 
中部地方の地銀再編は加速
いずれにせよ、今後、中部地方の地銀再編は加速するでしょう。それは、トップを走る十六銀行((株)十六銀行:岐阜県岐阜市 村瀬幸雄頭取)が岐阜銀行を吸収合併した、平成24(2012)年以来となる大型再編かもしれません。


[2017.3.15]

森林組合の93%が人手不足に
国土の3割近くを人工林が占める日本。ところが、全国の森林組合の93%が人手不足に陥っており、森の維持が危機に瀕している実態が、日本経済新聞が行った林業調査で分かりました。スギやヒノキなど、戦後に植えられた人工林は立派に育っているのですが、残念なことです。

林業の課題は「丸太の販売価格の低さ」
日経新聞が今年1月、市場経済の調査会社を通じて、全国393の主な森林組合や木造住宅メーカーにアンケートを送りました。306団体・社が回答(回答率77.9%)。それによると、「人手不足」については、43%が「不足している」、41%が「やや不足している」とし、9%は「不足して経営に影響が出ている」と答えました。「林業の課題(複数回答)」では、78%が「丸太の販売価格の低さ」をあげ、人手不足や国産材需要の少なさを上回りました。

平均所得305万円で全産業平均を下回る
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昭和55(1980)年と比べてみます。14万人を超えていた林業従事者は、平成27(2015)年に5万人を割り込みました。スギ中丸太やヒノキ中丸太の平均価格も、ピークだった昭和55(1980)年より2~3割下がっています。平成25(2013)年度の林業従事者の1人当たり平均所得は、305万円。全産業平均の414万円を26%下回りました。こうした状況下、林業が成り立たず、人工林の多くが放置されているのです。

公共建築物は開拓の余地大?
林野庁によると、公共建築物の木造率は1割(平成26年度着工分)にとどまっており、開拓の余地は大きいとみています。確かに小中学校の校舎や公民館などの施設が、木造になったら素晴らしい。耐震、耐火対策など最先端の技術を結集させ、ぜひとも、日本の森文化を守りたいものです。


[2017.3.14]

フルタイム勤務女性の賃金、男性の73%で過去最高
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政府が女性の社会進出を奨励するなか、平成28(2016)年の男女の賃金格差が過去最小を更新したことが、厚生労働省の調査で分かりました。フルタイムで働く女性の平均賃金は月額24万4600円で、3年連続で過去最高を記録。男性の賃金の73%となり、格差はこの20年で10ポイント縮まりました。

一方の男性はこの10年で2000円減少
調査は、10人以上の常用労働者がいる、全国約5万事業所を対象に、平成28(2016)年6月現在の所定内給与(残業代や休日手当は含まない)をチェック。それによると、平成28(2016)年の女性の賃金は、この10年で2万円以上増え、前年比でも1.1%増。一方、男性は、同じ10年で2千円程度減少し、前年比も横ばい。その結果、男性の60%程度だった女性の給与が相対的に上がりました。

管理職女性は9.3%でこれも過去最高に
業種別に見てみると、運輸業・郵便業で前年比5.7%増加、卸売・小売業でも1.8%伸びました。大企業では伸びが0.1%にとどまったのに対し、従業員100人未満の企業で1.2%増えたのも目を引きます。人手不足が深刻化する中小企業で、女性社員の採用が活性化しているのでしょう。勤続年数は9.3年で前年より0.1年短縮したものの、課長や部長など管理職に就く女性の割合は9.3%と、これも過去最高でした。政府の方針もなんとか実現の方向です。

欧州各国に比べ日本の男女格差はまだまだ大きく...
とはいえ、欧州各国などと比べると、男女の給与格差はなお大きく、「同一賃金」の実現は遠いと言えます。経済協力開発機構(OECD)の2014(平成26)年の調査では、日本の男女格差は、加盟国の中で韓国、エストニアに次いで3番目の大きさ。ベルギーやハンガリーでは男女格差は数%に抑えられており、日本は国際的にはまだ見劣りする段階です。女性の賃金増は消費の拡大につながるともいわれます。この流れがさらに進むことを期待します。


[2017.3.13]

送金コストは10分の1以下に
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金融業界の電子化が急速に進むなか、国内の銀行連合は、分散台帳の技術「ブロックチェーン」を駆使したサービスを年内にもスタートさせます。各銀行が独自に送金システムを構築するコストが削減できるため、送金コストが10分の1以下に抑えられ、手数料も下がります。スマートフォン(スマホ)のアプリを使った、少額送金をするなどの用途を見込んでいます。

年内に5行程度でスタート
この事業を担う「内外為替一元化コンソーシアム」の会長に就任したのは、りそな銀行((株)りそな銀行:大阪府大阪市 東和浩社長)の中尾安志常務執行役員。47行の代表者が集まって開かれた記者会見では、「ブロックチェーンは実証実験から実用の段階へと移った」と語りました。年内に5行程度ではじめ、平成30(2018)年以降、対応する銀行を増やしていきます。

クラウド+スマホ=シンプルな仕組み
仕組みはシンプルで、クラウド型のシステムで銀行同士をつなぎ、スマホのアプリなどを使って送金できるようにするというもの。システム開発を手掛けるSBIリップルアジア(SBI Ripple Asia(株):東京都港区 沖田貴史社長)の沖田貴史社長は「将来的には、インターネット上の情報と同じように、タダ同然でお金も扱えるようにする」と説明します。

送金の手軽さと安さが当たり前の時代に
これまで、国内向けには全国銀行データ通信システム(全銀システム)、海外向けには国際銀行間通信協会(スイフト)など、大掛かりな決済網が使っていたのに比べると、別世界です。

しかも、24時間いつでも利用でき、実際の送金処理は約1秒で完了。インターネットの普及により、メールやスマホのメッセージを大量に送っても追加料金がかかることがなくなりましたが、送金でも、こんな手軽さと安さが「当たり前」の時代になりました。今後も進化を続けます。


[2017.3.11]

今年は月額6000円「以上」
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日本の「ものづくり産業労働組合」(JAM)が今年3月、春季労使交渉の要求書を提出しました。春季労使交渉で、月額6000円「以上」のベアを要求します。昨年の「6000円」より高い要求です。これで中小企業の賃上げ交渉が事実上スタート。人手不足、政府主導の残業規制など働き方改革、そして賃上げと、中小企業の経営者には厳しい交渉が始まります。

人手確保と賃上げ両立は至難の業
加盟企業の1つ、アート・プラ((株) アート・プラ:東京都江戸川区 横田浩崇社長)の横田浩崇社長は、「この状況下でどうやって賃上げ原資を捻出すればいいのか」とコメントしました。人手不足が深刻な運輸業にあって、約30人の社員を抱える立場としては悩ましいところ。人を取れなければ、売り上げは伸びない。しかし、人手確保と賃上げの両立は至難の業です。政府は、繁忙期は月100時間、または2~6カ月の月平均80時間を上限にした残業制限を検討中ですが、大手企業の都合に応じざるを得ない中小企業には難題でしょう。

少ない社員が多能工化
金属加工の昭和製作所((株)昭和製作所:東京都大田区 舟久保利和社長)は、タブレット端末を活用し、工程管理システムの抜本的見直しに入りました。生産現場が忙しい時は営業担当者が補助するなど、少ない社員が「多能工化」し、1日の残業時間を2時間程度に抑える工夫です。日本電産(日本電産(株):京都府京都市 永守重信社長)など大手が、約1千億円かけて自動化機械などを導入し、時短を進めているのに比べ、苦労はひとしおです。

アルバイト時給は初の1000円超え
リクルートジョブズ((株)リクルートジョブズ:東京都中央区 柳川昌紀社長)によると、三大都市圏のアルバイトやパートの時給は昨年11月に初めて1000円を突破。パート並みに社員の賃金を上げれば、経営を圧迫し、逆に社員を困らせる。経営者の悪戦苦闘が続きそうです。


[2017.3.10]

1万5000件中30%が無許可と判明
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観光立国ニッポンのカギとして、国が進めている「民泊」。住宅を宿泊施設として活用するこの民泊について、厚生労働省が、全国の約1万5000物件を対象にした初の調査結果を発表しました。驚いたことに、少なくとも30%が無許可、つまり違法影響でした。営業許可を得ていることが確認できたのは16.5%に過ぎません。これでは、外国人旅行者の信頼を得られません。

営業許可を得ていたのは2505件
同省は、昨年10~12月、インターネット上で紹介されている「民泊仲介サイト」から全国の1万5127件の物件を抽出し、営業実態について調べました。その結果、無許可営業が4624件。営業許可を得ていたのは2505件。残りの7998件(52.9%)については詳細な住所の情報がなく、物件の特定ができないなどの理由で、詳細な実態もつかめませんでした。

宿泊料半額以下の「安かろう悪かろう」
1泊当たりの平均宿泊料金は、許可を得ている物件が1万6571円。これに対し、無許可物件は7659円と半額以下です。「安かろう悪かろう」がまかり通っていると推測されます。旅館業法に基づく許可制の形式が最善かどうか議論の余地もありますが、無許可営業が横行していては、近隣住民とのトラブル、宿泊者同士のトラブルなど、アクシデントに対応できません。

罰則引き上げ、3万円から100万円に
この事態を受けて、厚労省は近く、無許可営業の罰則を大幅に引き上げる旅館業法改正案を国会に提出します。罰金を、現行の最高3万円から100万円に引き上げることが柱です。営業日数などを制限した上で旅館業法より緩やかな規制を適用する新法も検討中です。民泊という足元がぐらついては、「おもてなし文化」も実を結びません。何事も足元が肝心です。

[2017.3.9]

民泊拡大で先手先手の打つ企業
訪日外国人観光客が急増し、"おもてなし"文化を産業化するための根幹として重要な「民泊」。旅館業界などの反発があり、法整備が難航していますが、しびれを切らしたように、企業が先手先手を打ち始めています。ただし、その先頭に立つのが、米国企業であることが寂しい。

エアビーアンドビー利用の訪日客は約370万人
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いま注目を集めているのは、民泊仲介世界最大手、米エアビーアンドビー(カリフォルニア州 ブライアン・チェスキーCEO)。平成28(2016)年に同社のサービスを使った訪日客は約370万人で、平成27(2015)年に比べて約2.7倍に伸びました。今年2月、次の一手として、利用者が安心して利用できる新機能を盛り込む方針を表明。自社の独自システムで、貸し出し日数を自動的に管理し、予約などに不備が出ないようにします。一部の自治体が採用している宿泊税の徴収・納付を代行したり、自治体への民泊の申請を手助けしたりする機能も仲介サイトに加えます。

「民泊は安全で格安」を定着させるために
これらは、民泊を利用する際の手軽さを強化し、また、民泊自体の質を高める戦略の一環です。法整備が遅れるなか、旅館業法などが定める要件や基準を満たさないグレーな民泊を使う訪日観光客が相当数いるとみられます。彼らの間に「民泊」=「安全で格安」という認識を定着させることがなにより必要であり、それは民泊業界、観光業界全体の利益になるはずです。

鉄道業界で初の民泊運営は京王電鉄
日本でアイデアが目立つのは、京王電鉄(京王電鉄(株):東京都多摩市 紅村康社長)でしょうか。このほど、東京のJR蒲田駅近くの「カリオ カマタ」を公開しました。2DKのメゾネットタイプの客室に入ると、システムキッチンのほか冷蔵庫、洗濯機なども備えられ、マンションのデザインも洗練されています。鉄道業界で民泊物件を保有し、運営も手掛けるのは初めて。ともかく、新機軸を次々と打ち出し、民泊文化を熟成させてほしいと思います。


[2017.3.8]
事業再生

セントラル総合研究所
セントラル総研オフィシャル
返済猶予・リスケジュール
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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
著書の紹介はこちらから。

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