事業再生・会社再建・M&A・事業譲渡・会社分割・経営改善・債務・連帯保証問題に立ち向かうセントラル総合研究所・八木宏之のブログ

東日本大震災支援

東日本大地震、災害お見舞い

131026_27.jpg今年も3月11日を迎えました。東日本大地震発生から本日で3年が経ちました。地震のあとに発生した大津波によって沿岸部が被災する映像は脳裏を離れません。岩手県、宮城県、仙台市、福島県ほか太平洋側各地でお住まいの方、甚大な被害にあわれた方も数多くいらっしゃるでしょう。一年が経っても自宅に戻れず仮設住宅や他府県での生活を余儀なくされています。

地震当日は遠方の日本海側地域や東京ほか関東でも電話回線のパンクや交通混乱、ライフラインの損傷で甚大な被害が生じました。東京都内では多数の帰宅困難者が職場や施設に泊まったり、数時間かけて歩いて帰宅した方々が整然と歩く姿は、海外から驚嘆されました。

東日本大震災で、お亡くなりになった方々は1万9000人にも及びます。心からご冥福を祈ります。また、皆様のご家族、お住まい、職場が被災された方々には一日も早い復活をお祈りしています。

131026_28.jpgのちに明らかになった福島原子力発電所の事故、は日本経済を混乱に陥れました。情報を正確に報道しなかった為に、被害はいまだに拡がり原発事故終息の見込みが立っていません。全国的な節電ブームはエコとして定着しエコ商品、燃費のいい車など次々発表されています。被災地では地場産業が被災し、復興の目処が立たず、街ごと移転するような地域もあります。

一日も早く復旧、復興することを心からお祈りしています。何かお困りの方、被災された方々には出来る限り支援・協力させいただきたい所存です。私どもに何なりとお申し付てください。

筆者、八木宏之 拝

[2014.03.12]


復興予算、5年で25兆円に!
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政府は1月27日、東日本大震災からの復興事業の予算枠を6兆円上積みし、平成27年度までの5年間で25兆円にすることを決めました。
東日本大震災の復興予算枠は、民主党政権時には、国と地方を合わせて総額19兆円としていました。このうち17.5兆円は平成23~24年度の2年間に計上されています。来年度予算では突破が確実であり、安倍晋三首相は予算枠の見直しを指示していました。

株売却+剰余金で6兆円の上積み
被災地では仮設住宅の整備など応急的な事業はヤマ場を越える一方、道路整備などはまだ費用がかさむことが見込まれています。そのため、大幅な増枠が必要との判断。今回の6兆円の追加により、25~27年度に使えるお金は7.5兆円に膨らむこととなります。
追加する6兆円は日本郵政株の売却益で4兆円、一般会計の剰余金などで2兆円をかき集めて捻出するとのこと。27年度までの財源の確保にメドが付き、今後は予算の執行をどう迅速に進めるかが課題となります。

現場の実情に沿わず、予算塩漬けの自治体も
政府は平成23~27年度を集中復興期間と位置付け、被災地のインフラ整備や被災者の生活支援などで資金面の不安をなくし、復興に力を入れる姿勢を示しています。
ただし、被災地では人手や資材、土地の不足などで事業が進まず、確保した予算が自治体で塩漬けになる例も多いのが実情。現場では、復興が前進している実感が乏しいという声も絶えません。自治体の実情に沿いながら、予算を有効に活用して事業を軌道に乗せるための組織強化も不可欠です。

復興庁発足から1年/組織強化で事業のスピード向上を
2月で発足1年を迎える復興庁に関し、安倍晋三首相は機能強化を明言しています。省庁の縦割り行政を排して権限を集中させ、復興を加速させる狙いとのこと。これまで、被災地と関係の薄い事業が復興予算に多数まぎれ込むなどの問題も発生しており、復興庁の強化は急務。
根本匠復興相は、市町村への応援職員派遣も復興庁が担うことに意欲を見せていますが、「現場主義」を掲げる根本復興相には、復興の主体である市町村の仕事をしやすくして、事業のスピードを高めるため、縦割り打破と真の司令塔の役割を望みます。

[2013.1.31]

1,000件中、間接的被害による倒産が915件
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帝国データバンクは10月29日、「東日本大震災関連倒産」についての調査結果を発表。震災関連の企業倒産は10月26日現在、1,000件に上ったことが判明。直接的被害による倒産は85件、間接的被害による倒産が915件と、地域別でも関東が半数近くの477件となりました。
震災による企業倒産は、約20ケ月で1,000件を超え、阪神淡路大震災と同時点で約3.4倍とハイペース。今後は直接的被害による企業倒産の増加が懸念される被災地3県の動向が注視されます。

被災地3県の企業:借入の返済停止中565、リスケ中1万超え
金融庁によると、岩手、宮城、福島県に所在し金融機関から借入れをしている債務者のうち、今年6月末時点で返済を一時停止している債務者数は住宅ローンを除いて565先。さらにリスケジュール(条件変更)を契約した債務者数は1万3,461先あり、今後倒産に追い込まれる懸念も残ります。
被災企業への支援は、今年4月に福島の一部手形交換所を除き手形・小切手の不渡り報告への記載猶予措置策が終了。10月末には100%保証のセーフティネット5号の適用業種が縮小。さらに来年3月には中小企業金融円滑化法が終了。新たな経済、金融政策が急務です。

中塚金融相:リスケ延長ないが対応は「期限後も変わらない」?
中塚金融相は11月1日、全国の財務局長会議で中小企業金融円滑化法終了に向け、同法の3回目の延長はない方針を明確に示すものの「条件変更や資金供給に努めることは期限後も変わらない」と協調。経営の改善に向けた計画を提出した企業など支援を継続するよう金融機関へ促す見通しです。あとの処理は金融機関に任せ、貸し剥がし・渋りを懸念する企業へ不安を払拭するアピールしただけにとどめました。
先月には、復興予算が被災地とはかけ離れた地域で使われるなど、被災者、被災企業ならず国民の感情を逆なでするような問題が浮上。復興基本方針に「活力ある日本の再生」を組み入れ、これを口実に復興と直接関係のない予算がばらまかれました。霞ヶ関一流のテクニックといえるでしょう。

被災地以外に復興予算配分に野田首相、言い訳言いに被災地で「被災地優先」
復興を口実に各省庁が莫大な予算にむらがったとしか見えず、予算を捻出するための増税は誰が負担しているのか理解が問われます。野田首相は10月27日、被災地沿岸部を視察。復興予算が被災地以外で使われている問題に対し、「被災地が最優先」と協調。26日に閣議決定した緊急経済対策で、中小企業を支援するグループ補助金など約800億円を積み増すことを説明しました。
震災関連の企業倒産は、減少傾向を見せますが現在も1日1社以上が倒産に追い込まれ、水面下には予備軍も存在しています。被災地優先で、復興庁を牽引役に有効な政策への取組みが急務です。


[2012.11.5]


農地規制大幅改正:住宅地転用
111122_1.jpg東日本大震災の被災地で規制緩和や税制優遇措置などを認める復興特区法案を10月28日閣議決定、国会へ提出しました。11月18日から衆院本会議で審議入りされましたが、ねじれ国会とはいえ、何事にもスピード感なく、1,000年に一度の災害へ復興する意気込みが全く伝わってきません。
復興特区は、誘致する新設企業の法人税を5年間ゼロにするほか、農地の住宅地などへの転用の特例措置、農地規制の大幅な緩和が柱となっています。限られた平坦な高台への集団移転などを後押しします。国のリーダーは、いい加減台本読みは止め、被災地へ向かって「何する」のか、訴えて欲しいところです。

農地から再生可能エネルギー施設への転用も許可
農地規制の緩和は、住宅移転のほか、太陽光や風力発電など再生可能エネルギー施設の立地規制を緩くして、被災地を原発に変わる自然エネルギー拠点にすることも目指しています。スマートシティに向け、東北被災地が世界のエコタウンのモデル地区となり、諸外国からの視察や観光客などで地域に賑わいを取り戻し、スマートシティ関連産業の輸出をも促したいところです。
法案は、規制緩和にもとずく各種許認可の手続きの簡素化など特例措置も盛り込まれ、地元主体での理想の復興計画が現実化してきました。復興特区は、「特定被災区域」などに指定された11道県の222市町村が対象地域となっています。

閣議や審議で何も決まらず8ケ月、基本法成立からも5ケ月経過
国会審議で法案の課題となるのは、条例で法律上の規制を撤廃できるように「法律の上書き」を認めることです。「法律の上書き」は、国会が唯一の立法機関とする憲法上の規定が存在するため、慎重な意見も多くあります。しかし、1,000年に一度の想定外の災害からの復興。思い切った改革で被災地のニーズ捉えた法案でなければ意味がありません。
被災地で悩み望む声は、被災した住宅や企業をなおせばいいのか、移転しなければならないのか国のはっきりした方針です。これが決まらぬまま震災から8ケ月が過ぎ、特区を盛り込んだ「東日本大震災復興基本法」が成立してからも11月20日ですでに5ケ月も経過。この間、被災者は放置されたままです。

被災者ゼロからの生活へ条例で法令対応
政府は、ねじれ国会や円高、TPP問題など抱える問題は許容範囲を超えて見えるものの、復興を第一に掲げました。しかし、未だ被災者が仮設住宅や避難先、家族と離れマイナスの生活を強いられている姿を報道で多く見られます。多くの望む声は「元の生活に」とプラスでなくゼロに戻ることです。
被災者や被災企業が復興に向け、ゼロのスタート地点に立てる方法を知るのは地元の自治体などであり、官邸でも国会での審議でもありません。「法律の上書き」はゼロにするための条例で法改正でないことはわかっています。被災地ニーズを汲み取り、一日も早い法案成立で復興事業がスタートできることを望みます。

[2011.11.22]


足りるのか?何が出来る?2次補正2兆円成立
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復興に向けた第2次補正予算は7月22日の採決を見送り、25日可決成立されました。予算総額は1兆9,988億円。この有事に、この小さな規模感。政治が「政商」として合意した大きさなのでは?と勘繰りたくもなりますね。地方交付税交付金に5,455億円、原発損害賠償関連に1,200億円、二重ローン問題対策に774億円など振り分けられます。少ない予算で、どれだけの対応、効果があったのかをしっかり検証してもらいたいものです。
5月に可決成立した第1次補正予算では、がれきの処理、撤去に3,519億円が盛り込まれましたが、環境省では7月20日時点でわずか6%の消化にとどまっているとみています。枝野官房長官は22日、がれきの処理が滞っているのは市町村の対応能力を超えるためと指摘していますが、原因まで分かっているなら、全国で処理の支援をするための特別措置や、当該県及び市町村から持ち出せないならば、職員の増員など政府主導で対応策を打ち出して欲しいものです。

話し違う!焼肉食べに行ってキムチしかないようなもの
第2次補正予算について菅首相は7月21日の予算委員会で、「急いで必要な予算と、その可能性のあるものに予算を編成した」と発言しました。第1次補正予算案採決の際には、「2次補正では本格的な予算に」 と民自公3党で 合意したものの平気で破った結果となりました。同委員会では「焼肉屋で昼は軽く食べておいて、夜に出かけたらキムチしかなかった」と第2次補正予算額をキムチに例えられ批判が上がっていました。
震災からの復旧、復興、さらに日本経済の再生など被災者や被災企業など、これからの政策に期待の薄れ感が高まりを見せます。復興構想会議
は復興妨害会議に。新成長戦略は成長抑止戦略とならぬようしっかりしてもらいたいものです。

政府:新成長戦略「元気を失い、日本を衰退させる」政策だった
軽井沢で夏期フォーラムを開催していた日本経団連は、政策を打ち出さない政府に代わって震災からの早期復興や日本経済の再生などをまとめた「アピール2011」の骨子を採択しました。被災地の早期復興の遅れや、産業界が成長戦略の起爆剤と期待していたTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加が先送りにされるなど、政府の無策長期化に「日本がつぶれてしまいかねない」と不満が相次ぎました。
政府は昨年6月、「元気が出る日本を復活させる」ための新成長戦略を閣議決定したものの、フォーラムではほとんどが提言だけで実行されていないと不満が募るばかり。政府の「脱原発」発言には昨年、ベトナムやトルコで官民一丸で原発開発を受注したことは何だったのかと声も上がりました。新成長戦略発表から一年、「元気を失い、日本を衰退させる」結果に、責任はないのか問いただしたいところです。

復興庁創設:毎日視察、議論できる被災地に
フォーラムでは政策に見切りをつけ、日本経済復活に向けた企業独自のアイディアが議論され、「震災からの早期復帰」や「日本経済再構築」、「強い日本の再生」についての骨子が固められました。経団連が昨年打ち出した「未来都市モデル構想」では先端技術を結集し、さらなる技術革新と地域の活性を被災地にも拡大するなど意見もでました。また会員企業に対して本社機能の一部を被災地へ移転など「復興と経済」全体が地域産業再生へ繋がると意見もありました。
被災地では復興庁の現地対策本部が設置されるも閣僚が常駐しているわけではありません。企業同様に復興庁設置の際には、毎日現場を視察で き、議論できる被災地に設置し、腰を据えて復旧、復興を果たし、地域産業の活性化を成し遂げねばなりません。

[2011.7.26]

被災地支援の小規模業者に補助金:経産省
110725_1.jpg経済産業省は、東日本大震災の被災地で復興支援に取り組む小規模の事業者を対象に、1件500万円を上限に補助金を提供されることになりました。この補助金は従来の「ソーシャルビジネス・ノウハウ移転補助金」の予算の一部を活用するもので、東日本大震災の被災地支援に資する目的で行う事業について7月21日より公募開始。被災者の相談に乗ったり、自動車を共同利用するカーシェアリング事業を運営したりする非営利組織(NPO)などの育成事業が想定されています。
 
被災地、地元に後れを取る国の対応
このような被災地支援者に対する助成は、既に新潟県越前市の「越前市東日本大震災被災地支援促進事業補助金」や愛媛県の「被災地向け旅行商品造成支援事業助成金」など、地方自治体の取り組みの方が早く、支援の幅を広げています。政府も、直接被災した人ばかりでなく復興を助ける人たちへの支援にようやく着手できた模様ですが、片手落ちとならないよう継続的なフォローを望みます。
 
2次補正衆院通過/国債発行せず、剰余金全放出
東日本大震災の復旧政策を盛り込んだ2次補正予算案が7月20日に衆院本会議で可決され、ようやく設立の見通しが立ちました。2次補正は総額総額1兆9,988億円。東京電力福島第一原子力発電所事故の賠償関連経費や二重ローン対策、被災者生活再建支援金の補助金などが主要使途となります。財源については昨年度決算の剰余金をほぼ全額使い、新たな国債は発行しないとしていますが、増税か日銀の国債引き受けか、決断を迫られる日は遠くありません。
 
総理の言葉実行する子どもたち 「一定のメド」で宿題先送り?
国会遅延の原因とも揶揄される菅直人首相の発言は、マスコミの格好の餌食となっている感もあります。小学生の間で「一定のメド」という言葉が使われるようになっているとも耳にしました。菅首相が辞任の時期を問われた際に使われた言葉ですが、どうやら夏休みの宿題を先送りにするなど、物事を曖昧にしたいときに面白半分に使われている様子。親は「首相みたいなこと言うんじゃない!」と叱るのかと想像すると面白くもありますが、それ以上に情けなく、恐ろしくもあります。近隣諸国は経済成長著しく教育レベルも上がってきています。将来のためには一定のメドでは済まないのです。
 
[2011.7.25]

預金残高過去最高、融資も増加:岩手、宮城、福島、被災3県の地銀
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日銀の統計によると、岩手、宮城、福島3県の銀行預金が東日本大震災の発生以降大幅に伸びています。損害保険金の振込が増えたり、企業の手元資金の積み増しが影響しているとのことで、3県の地銀・第二地銀8行の5月末の預金残高は過去最高の17兆5,137億円(前年比9.8%増)。震災直前は約16兆円でしたが、震災後は月に約5,000億円ずつ増えている計算です。
また、5月末の融資残高は9兆7,024億円(同0.9%増)。増加に転じるのは平成21年12月末以来、およそ1年半ぶりのことです。融資を受けているのは多くが建設業など。復旧作業のための運転資金を借りているといいます。
ただし、中小企業が個人の二重ローン問題の深刻化が懸念されていることから、設備投資などへの融資は渋いままの様子。復興需要に対応するためには再生ファンドの設立が急がれます。

岩手県:ふるさと納税1億円突破/支え合い機運高まる
震災以来、ボランティアや義援金など、国内では「支え合い」の機運が高まっています。また、平成20年度に運用開始された「ふるさと納税」が改めて注目されました。被災地にはこれを活用した寄付が続々と寄せられ、復旧復興を支えています。岩手県では寄せられた寄付は1億円を突破したと報じられました。長期継続の意思を示す人もいるなど、地元ではどれほど心強いことでしょう。
国の補正予算はまだ当てには出来ない状況ではありますが、今国会ではNPO法人に関する法改正が成立し、寄付者に対する優遇税制が拡充されました。
欧米では支え合いの仕組みが発展しており、寄付文化も根付いて、社会を支えています。東日本大震災をきっかけとして寄付の文化が広まれば、社会の仕組みも変革出来ると期待しています。

「被災者の希望の星に――」 3・11に発見された小惑星:命名「GANBAROU」
7月3日の毎日新聞に、高知市のアマチュア天文家、関勤さん(80)が、22年前の3月11日に発見した小惑星を「GANBAROU(がんばろう)」と命名し、国際天文学連合小惑星センター(米スミソニアン天文台)から認定されたと報じられていました。心温まるとともに、御歳80歳となった今も彗星や未発見の小惑星を探しているという関氏に心服いたします。
関氏は毎日新聞の取材に対して「星は永久に力強く輝く。命名した星が(東日本大震災の)被災者らの希望の星になってほしい」とコメント。小惑星GANBAROUは肉眼では見えないとのことですが、折しも七夕から盆の時期、星に祈りをささげずには居られません。

[2011.7.11]

震災関連倒産累計204件、4ヶ月弱で阪神大震災を越えた!
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帝国データバンクの「東日本大震災関連倒産」の動向調査によると、6月に東日本大震災の影響をうけた企業倒産は78件。震災発生後、6月末時点の累計は209件となりました。負債総額の累計は1,011億6,800万円と、1,000億円の大台を超え、件数、負債総額とも4ヶ月弱で既に阪神大震災時(1995年)の年間合計(194件/600億7,400万円)を大幅に上回っています。また、地域別倒産件数は東北が8件に減少しているのに対して関東29件、中部が15件とそれぞれ増加しており、「2次被害」「間接被害」の広がりを思い知らされます。

1次産業(漁業、農業、林業)の被害額は2兆円の大台に
東日本大震災による農林水産関連の被害額は、6月末までで遂に2兆円を突破しました。農林水産省が7月1日に発表した被害額は2兆1,005億円。内訳を見ると水産関係:1兆2,074億円、農業関係:7,644億円、林野関係:1,284億円とのこと。ただし、今後被害の把握が進むにつれて、さらに膨らむと見られています。
漁港の被害は7道県の319港で計8,000億円超。農地の被害も、1万4734カ所で計約4,000億円にのぼります。

水産復興に193億円計上:2次補正案
待ち遠しいのは2次補正。政府は平成23年度第2次補正予算案で、約193億円を水産業復興の設備資金として計上する方針を固めました。具体的には、津波によって破壊、流失の被害を受けた魚市場や製氷施設、加工・流通施設などの整備に充てる計画です。
鹿野道彦農林水産大臣は7月3日に宮城県女川町を視察。「水産業は、魚を取ると同時に、加工して流通(経路)に乗せるところまで一体化して取り組まないといけない。2次補正できちんと対応したい」とコメントしています。サンマや秋鮭の漁盛期である秋までに漁港の機能を可能な限り回復させたい考えですが、利権漁りの政局で国民を放置していることは許されない。
松本復興相が大暴言で辞任しましたが、被災地は未だ混乱の中にあり、復興案が定まらないことは事実です。予算と権限がまったくないところで利害調整だけを求めても、住民との話合いだけでまとまるとは考えにくいもの。「コンセンサスを取れ」という言葉は果たしてどちらに向けられるべきでしょうか。

[2011.7.7]


外国人呼び込む「地方拠点」:東北から会津若松、仙台・松島、平泉を選定:観光庁

110704_1.jpg観光庁が外国人観光客の受入環境を重点的に整備する「地方拠点」として、東日本大震災の影響で選定を見合わせていた東北地方においては、福島県の会津若松、宮城県の仙台、松島、岩手県の平泉の3地域を選定しました。安心して快適に観光を楽しめる環境を整備することで今後増加が見込まれる外国人観光客の満足度を高め、リピーターを育てることを目的とした取り組みです。今後は観光庁をはじめ、地域の関係団体や住民組織、旅行業者が連携して、現地の観光案内や看板を必要に応じて多言語表記に改めるなど、外国人旅行客が訪れることを踏まえた受け入れ環境を整備します。ハード面の充実は大変結構なことですが、外国人リピーター客の育成に不可欠なのは「ソフト」。言葉などのコミュニケーションです。

会津若松「世界への観光拠点に十分」/「平泉文化の先駆けは横手」世界遺産登録で東北全体に活気波及

会津若松市で6月26日に開催された復興支援イベントに合わせて行った記者会見では、溝畑宏観光庁長官は会津若松を「十分に世界への観光拠点となるポテンシャルがある」と評価。東日本大震災からの復興を後押しするとしています。
国内旅行においても、ボランティアを兼ねた東北へのツアーが人気を集めるなど、変化が生じています。長年の悲願がようやく叶った岩手県平泉町ではすでに国内外から訪れる観光客に対して歓迎ムードに沸いているのはもちろん、お隣秋田県の横手市では「平泉文化の先駆けは横手だ」と名乗りを上げ、取り組むとしています。

駅舎リニューアル、限定ビール/地域のムード刷新に各社後押し
JR東日本盛岡支社は、東北本線平泉駅を全面的にリニューアルすることを決定しました。また、アサヒビールは平泉の文化遺産が世界遺産に登録されたことを記念してスーパードライの「平泉文化遺産」ラベルを東北6県限定で発売、売上1本につき1円を岩手県に寄付するとのことです。地元のメーカーや各産業も、大手に負けじと商品開発やサービスの充実を急いでいます。

弁慶の里、平泉最大の和風観光ホテル「平泉ホテル武蔵坊」民事再生へ
ところが、この平泉町内最大の観光ホテルが倒産したとの報せがあり仰天しました。㈱平泉ホテル武蔵坊(岩手県西磐井郡平泉町平泉字大沢15、代表:鈴木和博氏)は6月29日、盛岡地裁一関支部に民事再生法の適用を申請。東京商工リサーチによると、負債総額は約9億500万円です。
やっと客足が戻ってきたこの地域にとっては、なんとしても同社の立て直しを望みたいもの。矢の雨を浴び仁王立ちのまま往生した弁慶の名を負うからには、力の限り地域を強く支えて欲しいと望みをかけています。
事実、平泉の世界遺産登録後は予約も増えているとのことで、現在も営業を継続。55名の従業員の雇用も維持し、今後の健全経営を実現させることを目的に、民事再生法適用によって債務圧縮を図る方針です。

東北の救済「無用の倒産」こそ救済の手/菅政権の犠牲者
ホテル武蔵坊は地域でもトップクラスの施設を有する観光ホテルで、平泉の世界遺産登録を見据えて外国人観光客の受け入れ態勢の整備に力を入れていました。しかし、慢性的な債務超過に加え、東日本大震災の影響で営業できない状態が約1か月続いたことにより資金繰りが大幅に悪化し、今回の申請に至っています。まさしく、震災さえ起きなければ必要のなかった倒産と言えましょう。いまだ大揺れしている日本経済の立て直しのためには、このような企業にこそ、一早く救済措置を講じる必要があります。

●関連記事:外国人の「日本離れ」で冷え込む国内観光産業/旅行者の掘り起こしに新機軸[2011.5.28配信]
●関連記事:国交省:観光立国復活目指す。ミシュランガイド日本観光支援(5/13改訂)「松島」三ツ星評価、「平泉」世界文化遺産内定[2011.5.10配信]

[2011.7.4]

震災後の返済猶予12,000件超:読売新聞調査 
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読売新聞が独自に行った集計によると、金融機関が東日本大震災で被災した中小企業や個人に対して融資の返済を猶予している件数が、少なくとも12,000件を超えることが分かりました。
24日の紙面によると、岩手、宮城、福島各県の地銀、第二地銀8行と、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの大手3行でこれまでに判明している返済猶予の件数は、住宅ローンなど個人向けが6,414件、企業向けが6,276件で、合計12,690件でした。ただし、連絡がとれないままの融資先もあることから、件数がさらに膨らむのは確実と見られています。

東北の地銀15行中6行損失:純損益321億赤字
東北財務局は6月10日、東北の地銀、第二地銀の平成23年3月期単体決算の概要を発表しました。東日本大震災の発生を起因とした多額の損失計上により、全15行のうち6行が純損失。純損益の合計は321億円の赤字です。
合算の純損益が赤字となるのは、世界的な不況で11行が純損失を計上した平成20年3月期(赤字額840億円)以来2期ぶりとのこと。また、自己資本比率の平均は前期比0.6ポイント低下の11.0%。全国平均(11.6%)をやや下回り、全国を下回るのは平成12年3月期以来11期ぶりのことです。

S&P不良債権増なるも格付け「A」据え置き:七十七銀、岩手銀の安定性を評価
一方、同発表のなかで本業のもうけを示すコア業務純益に国債等債権損益を加えた実質業務純益は、債権売却益の計上や経費削減により前期比5.5%増の1、143億円と、増益傾向が見られます。また、金融再生法に基づく不良債権比率の平均は、全国平均を0.3ポイント上回る3.5%と、前期の値をキープしました。スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は東日本大震災発生後の発表でも、七十七銀行と岩手銀行の長期カウンターパーティ格付けは「安定的」と見て「A」に据え置くとしています。

被災地から海外進出を支援で提携:七十七銀行、バンコク銀行業務提携
東日本大震災の発生以来、国内では製造拠点の海外分散を検討する企業が急増しています。津波により製造拠点流失等の被害があった地域でもその動きは顕著。七十七銀行はタイ最大の商業銀行、バンコク銀行と業務提携を行いました。被災企業への資金供給で地域経済を支えるとともに、融資先企業の海外進出を支援するとしています。また、国内販売低迷に苦しむ企業の販路拡大も期待されます。

「良くも悪くも堅実」の面目躍如? 再評価される東北の金融
東北の金融機関の多くはバブル期も健全な経営を続け、自己資本比率も高水準を保ってきました。その体質は「良くも悪くも堅実」と評されてきましたが、この未曾有の大災害を受けては公的資金申請の検討が迅速であったり、中小企業の救済に積極的に策を講じたりなどの動きが改めて評価されています。国難の局面において、東北の金融は面目躍如に止まらず、面目一新たるものがあります。

[2011.6.30]

日本発中国:食品輸出再開へ規制緩和/放射能物質検査安全証明
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福島第一原発の問題発生以降、日本から中国への食品輸出は事実上停止していましたが、3ヶ月余り経過し、状況が変化し始めました。中国検疫当局は6月20日、福島県や東京都など10都県を除いた37道府県で生産される加工食品などに対して放射能性物質検査安全証明書の添付義務を免除することを発表。これにより、ようやく輸出再開の動きが本格化する見通しが立ちました。
今回の規制緩和で安全証明書の添付義務が免除された品目には日本酒やワインなどの酒類、調味料、お菓子などが含まれます。中国への食品輸出において、水産物の輸出については既に合意が済み一足早く再開の目途が立っていましたが、日本政府は野菜や肉など農産物の輸出についても、再開合意は間近と見ています。

食品輸出、原産地証明必須:書式統一など付随作業で足止め
日本から中国への食品輸出の再開にあたって、原産地証明書の添付は必要とのこと。書式を統一する作業等が組み込まれ、実際にはもう少し時間がかかります。とはいえ、食品輸出再開の目途が立ったのは中国の消費者の間に大きなニーズがあるからに他なりません。最近の風評被害から一転して輸出再開の報せは生産農家のやる気を高めることは間違いないと言えます。

風評被害払拭に生産者奮闘/宇和島の輸出促進共同企業体、山形のさくらんぼ農家
食品輸出再開の動きは両国政府間交渉だけで進んだものではありません。日本各地の生産者が食品の安全性を大々的にアピールしたことも功を奏しました。例えば愛媛県宇和島市の水産物輸出促進共同企業体、ナインウェーブ(最高執行責任者:中原道雄氏)は上海の輸出入卸売事業者を宇和島市に招致するなど、積極的に信頼の回復を図ってきました。さくらんぼ狩りのシーズンを迎えている山形県のさくらんぼ農家では、やはりツアー客の落ち込みに苦しみながらも、採算度外視の営業努力を続けています。全国の顧客にDMを発送したり、個人の来園者にパック入りのさくらんぼを贈呈したりと、「とにかく地域に活気を」と奮闘。私たち消費者も、節約節約の流言に惑わされることなく平常どおりの社会生活、経済活動を意識することが大切です。

電通:夏のボーナスアンケート/国内旅行、家電、外食:震災後の消費自粛の反動
6月21日、電通が今夏のボーナスの使い道に関するアンケート調査の結果を発表しました。使い道として検討している商品の1位は「国内旅行」で、年代別に見ても20代から60代までの全ての年代でトップを独占。節電の夏に向けて、2位「LED電球」、7位「扇風機」など、省エネ家電もランクインしています。
国内旅行については、震災後の消費自粛のムードが和らいできたことに加え、夏の連休を利用して、ボランティアを兼ねて被災地を訪問しようと考えている人も増えているようです。3位には「ぜいたくな外食」という結果も。電通は「震災後の消費自粛の反動」と見ていますが、これぞ正しいボーナスの使い道とも思えます。
同調査によると、今夏見込まれるボーナス額(世帯平均)は昨年比2.4万円減の60.7万円とのことですが、近年エスカレートしていた節約志向には歯止めがかかった様子。これをきっかけに社会が活気づいて経済が好調に転じ、景気回復のキッカケにしましょう。

[2011.6.29]

帝国テータ:広告関連業倒産3割増/資金繰りへの影響本格化
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帝国データバンクは6月15日、5月度の広告関連業の倒産件数が22件、前年同月比29%増で4ヶ月ぶりに増加したと発表しました。負債総額は前年同月比78%減の11億8,900万円。倒産件数が増加し、負債総額が減少するという妙なコントラストは、倒産した企業のほとんどが中小・零細企業だったためです。
平成22年の広告関連業の倒産件数は前年比8.5%減の236件、負債総額は1.2%増の373億9,400万円で過去最悪を記録しています。帝国データバンクは今回の発表で「今後、震災による資金繰りへの影響が本格化か」とも。政府対策がもたついている間に、とうとうキャッシュフローへの直撃が深刻になってきました。

売上よりも防衛:企業は宣伝自粛、手元を強化
広告関連業の倒産増加は、東日本大震災後、広告宣伝、販促活動、イベントなどが軒並みキャンセルになったことによる影響としていますが、これはスポンサー企業の予算削減が問題ではなく、カスタマーの自粛ムードによるものです。また、先行きの見えない社会の中で不測の事態に備えて手元資金確保する傾向も指摘されています。

企業の手元資金:過去最高211兆円/日銀:資金循環統計
6月17日の日銀による資金循環統計(速報)では、今年3月末の時点で企業が保有する現金と預金の合計額が昨年同時期よりより7%多い211兆円と過去最高だったことが分かりました。企業が持つ現預金が200兆円を超えたのは初めて。また、必要が生じたら即時引き出し可能である流動性預金が123兆円、前年比およそ1割増とのことで特筆されていました。

浅草の三社祭:神輿行列は中止境内神事を斎行、ムードはは「縮小、自粛」から「復興祈願」へ
震災直後は花見を初めとした各種イベントも自粛の動きが目立ちましたが、震災から百か日が経過し、過剰な自粛ムードは落ち着きを見せています。首都圏や西日本でも復興キャンペーンや復興支援イベントが各方面で開催されて反響を呼び、各地のお祭も単に自粛するではなく「復興祈願」などの趣旨を加えて実施しているところが目立ちます。
浅草の三社祭(5月20~22日)では公道の使用制限や警備の都合により名物の神輿大行列は中止したものの、神社境内での祭事は斎行されました。とはいえ、集客は例年を大きく下回り、地元の商店街は大きな打撃を受けました。これも震災による間接被害に違いありません。

東北夏祭りの季節:ねぶた、竿灯、仙台七夕の実行力
東北の夏祭りねぶた、竿灯、仙台七夕など、8月には代表的な祭りが目白押しの東北。復旧・復興に追われている地域のほうこそ、伝統を絶やすことなく開催できることを喜び、今年の開催に特別な思いを込めています。元々、もともと死者を弔い、その土地の安泰、繁栄を祈願する祭礼が原点なのですから、震災によってこれを自粛するというのは祭りの意味を無視していて本末転倒と言えましょう。警備の課題も、国家権力に頼るのではなく「地域の団結力でカバー」とする自治体も。東北魂の見せどころです
6月11日には岩手県盛岡市と滝沢村の無形民俗文化財、チャグチャグ馬コが無事開催されました。鈴の音を響かせる馬の歩みを、復興に足音に重ね合わせた方も多いことでしょう。既に震災から3ヶ月を経過して、自粛縮小から例年通り平常に戻りたいものです。


[2011.6.23]

復興事業補助:店舗・工場も対象、3/4補助、申請は6月13日~24日
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経済産業省中小企業庁は6月9日、震災による復旧、復興に向けた第1次補正予算の成立を受け、復興計画に必要な施設や設備に対する補助の申請を受け付けると発表しました。青森、岩手、宮城の3県(福島県は別の期日で予定の見込み)では、被災地域の中小企業などが復興事業計画を作成。県が経済、雇用に重要な役割を果たすと認めた場合、施設や設備の復旧、整備に関わる費用を国が1/2、県が1/4補助とあります。申請は6月13日から24日まで行われており、全壊などで移転を考える事業所や工場は、政府、自治体の支援で負担を軽減し、事業再開を目指したいものです。政府は6月13日、自治体の津波対策への財源支援に住宅や公共施設の高台・内陸移転費用の補助を実施してきましたが、対象を拡充し、店舗や工場などにも適用する方針を固めました。津波による災害の予防と復興の両面で強い街づくりを支援します。

工場・事業所の移転:設備、従業員、取引先など判断を鈍らせる問題
工場や事業所の移転は全国の市町村から支援策が発表され、移転費用や賃料、生産機械などのリース料、雇用奨励などの補助、助成が得られ、中には家族の住居や、子どもの学校の手配まで細かい配慮がなされている自治体もあります。移転は愛着のある土地から離れることで、機械、従業員、取引先など経営者の判断を鈍らせる問題はあるものの、心機一転やり直すことも復活への選択肢です。

和歌山県:企業誘致に奨励金交付、従業員移転費・住宅費負担
和歌山県では5月2日、震災によって操業停止に追い込まれた被災企業の支援に、工場などを一時的に再開するための奨励金や補助金の要件を緩和すると発表しました。県内に工場や物流施設などの移転する場合の地元雇用が条件となっていましたが、緩和し転入雇用者だけでも奨励金の対象と拡充。また建物を賃貸する場合の賃料や、従業員の移転費、住宅費も奨励金の対象に緩和され、検討する企業にとっては事業再開への負担軽減は移転決意のキッカケにもなりうるでしょう。新しい土地で、まずは事業の復旧を目指したいものです。

仁坂和歌山県知事は、「混乱に乗じて人やものを引っ張ってきて得をするつもりわない」
和歌山県では、移転した企業に対し10年以内に撤退した場合、奨励金の返還を義務付けていましたが、被災地の地域経済の復興に支障が出ないように撤退した場合でも免除することを決めました。仁坂和歌山県知事は、「混乱に乗じて人やものを引っ張ってきて得をするつもりわない」と説明しています。各自治体では、震災後、移転企業に支援策、優遇措置を発表していますが、さらなる移転促進に緩和策の追加が望まれます。
▼和歌山情報館:和歌山県企業立地ガイド

万協製薬:工場被災、倉庫に在庫はあるものの、「このままでは生きられない」
平成7年1月に起きた阪神・淡路大震災で神戸市長田区の工場が被災。本社工場の移転を余儀なくされた万協製薬株式会社(三重県多気郡多気町五桂1169-142 代表取締役社長: 松浦信男氏)は、平成8年に三重県に移転。3階建ての工場は崩れ、1階部分の工場は完全につぶれてなくなっていたと松浦社長の報道がありました。長田区は被災地の中でも被害が大きく、火災で数千棟の建物が焼失し、消火できず絶望的な気持ちになったと言います。幸い従業員は無事だったものの、工場はがれきとなりました。従業員からも「これからどうするのだ!」と詰め寄られ当時社長の父が倒れ、「このままでは生きられない。生きるために立ち上がらなくては」と行動を決意したとあります。

阪神大震災で工場破壊、従業員解雇、神戸から三重へ移転
復旧の見通しが立たない中ではすぐに倒産と判断。苦渋の決断で全社員を解雇し、家族と友人4人でがれきを片付ける日々が続いたそうです。医薬品業界は類似品が多く少しでも納期が遅れると他社に切り替えられたりしますが、幸い倉庫に破損せずに残っていた在庫があり、被災1週間目には納品にこぎつけました。さらに同社が火災で焼失とのデマが流れ、在庫の買い占めに走る取引先から一年先までの注文が入ったと言います。他社の協力で生産ラインを借り、商品を製造、苦境を乗り越えました。その翌年、三重県の山間部に中古の工場があると聞き視察に出かけ、行政の好意的な対応や、企業誘致に積極的な地元の姿勢、援助もあるなどが移転を決めました。

売上50倍、従業員100名:会社の発展は被災が教師になった
同社は震災翌年、神戸から三重県に移転、一から出直すつもりで従業員を地元で採用。医薬品には素人ばかりでしたが、教育の意味を込めて松浦社長がすべて指揮をとることによって「私自身、経営者として成長していた」と語っています。震災を経て、自ら立ち上がり、人の成長を見守り苦境に負けない忍耐力が身に付いたといい「震災がなければ、これほど経営の問題に踏み込むこともなく、会社は発展しなかった。震災が厳しい教師になったのだと思う」と言います。今では従業員は100名まで増え、売上も以前の50倍、年間20億円を達成しました。

各自治体で企業の移転支援を拡充/新しい環境で発展を
各自治体では、被災した事業所や工場、夏の電力供給不足を懸念する企業から移転の相談が相次ぎ、追加措置、緩和策が発表されています。広島県では移転企業に対して助成金を交付していますが、ニーズを見越し20億円から35億円に上限額を引き上げ、対象企業も環境・エネルギー産業だけでなく幅広く認めるとしています。奨励金、助成金のほか、取引先見込み企業紹介など、行政の支援策も幅を広げます。企業は、政府や自治体などの数多い移転の支援、後押しによって再び操業を再開、雇用など地域活性を目指したいものです。新しい環境に雇用や取引先など事前に調査、研究し発展を遂げたいものです。


[2011.6.17]

海運復興の一番船就航、仙台塩釜港「はるかぜ」大船渡港「第10日徳丸」
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東日本大震災の津波により甚大な被害を受けた宮城県の仙台塩釜港。昨年のコンテナ取扱量は約22万個分で、東北に九つある国際港の6割以上を占め東北最大の貿易拠点です。ところが、震災により多数のコンテナや専用クレーンが流失、破壊されその機能を失っていました。「完全復旧にはおよそ2年」との見通しが立てられていますが、6月8日、震災後初めてコンテナ船「はるかぜ」(749t)が出航しました。

仙台塩釜港コンテナ船「はるかぜ」輸出用タイヤ
はるかぜに積載されたのは同県岩沼市の東洋ゴム工業仙台工場で製造した輸出用タイヤ。仙台港からの主な出荷品としては、紙・パルプやタイヤ・自動車部品などがあります。東北の自動車工場の稼働率が高まりつつあるなかで、仙台港の復活が待望されていました。この国際物流の再開が、東北経済の復興に弾みをつけると期待されます。

岩手県大船渡港貨物船「第10日徳丸」セメント原料
岩手県大船渡市の大船渡港でも6月11日、震災後初となる貨物船「第10日徳丸」(748t)が、同県一関市のセメント工場に運ぶセメント原料2,040トンを積載して入港しました。震災発生以降、港湾を行き来するのは支援船や復旧作業用の船舶ばかりでしたが、3ヶ月が経過し、地元にとっては待ちに待った復興の一番船です。

東北の宝の海:カツオ・ウニ・わかめ・鮑・フカヒレ・サンマ・ホヤ/製氷工場、冷凍倉庫復旧急ぐ
夏に向かい、東北の海の街ではカツオの水揚げやウニ漁なども僅かずつながら再開しています。ただし、現地の漁師たちは水産庁から海岸のがれき撤去作業も請け負っているため、今年は週に1回程度の漁になるとのことです。わかめや鮑、フカヒレ、サンマ、ホヤ、東北の海産物を数えればキリがありません。三陸沖は世界中でも名高い宝の海です。一刻も早く取り戻したいと切望しています。漁業再開に伴い、海産物用の冷凍倉庫や水揚げに必要な製氷工場の復旧についても早急な対応が必要です。
宮城県石巻市では、冷凍庫を協業組合方式での再建を目指す方針を示しています。また、今回の震災の津波被害を受けて、建設場所については従来の港の後背地から内陸部へ移すことも検討しているとのことです。
宮城県女川町では、町内にあった3つの製氷工場が津波被害に遭いましたが、サンマの漁期である8月末を目途に、被災前の2分の1程度まで稼動率を上げる見通しです。女川魚市場買受人協同組合では「サンマの水揚げがなければ女川の復興はありえない」として、仮設の自動製氷機を魚市場の背後地に建設することを計画。また、民間の製氷工場に対しても再稼働を働き掛けています。地域産業の柱であるサンマの水揚げ復活を後押しするため、女川町では1億円を限度に補助金を支出する方向で調整が進められています。
いずれにしても、本格的な漁業再開には膨大な資金が必要です。国による融資制度の枠組みは示されたものの、限度額など具体的な中身が明らかにならず、現場ではもどかしさに喘いでいます。

池口国交副大臣:東北道、全車種無料通行を計画/20日から被災者対象に無料開放
国土交通省は6月1日、東北地方の高速道路の無料開放を20日から実施することを発表しました。東日本大震災による被災者と原発事故による避難者が対象で、最低1年間実施されます。また復旧・復興の物資輸送のため東北地方の中型車以上のトラック・バスについても無料開放するとしています。池口修次国交副大臣は民主党国交部門会議の席上で、2次補正で年間1,600億円程度の予算を確保できれば、本格的な復旧・復興支援として東北地方の全車種について1年間無料とする計画を示しました。

復興、復旧のスピードアップ念頭に、「罹災証明書」「被災証明」柔軟な対応を!
現時点では、被災者は自治体が発行する「罹災(りさい)証明書」「被災証明書」などを料金所で提示することで料金が無料になります。多くの自治体で証明書発行の増加が予想されるため、早くも懸念の声が上がっています。被災地では証明書発行よりも復旧作業に人員を投下したいところ。これについては、免許証の現住所で確認を行うなどの方がよいのではないでしょうか。自治体の手間を増やすのではなく、どうやって復旧・復興のスピードを上げるかを念頭に置いた施策を求めます。

[2011.6.16]

関西電力:15%節電要請に企業は海外へシフト検討/国内空洞化を促進?
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東京電力管内での夏の15%節電に大手企業は生産の拠点を西へ移動を検討、実施されるなか、関西電力は6月10日、急遽、電力需要増となる7月1日から9月22日まで企業、家庭などに対して15%程度の自主的な節電を要請すると発表しました。関西電力の節電要請は、第1次石油危機以来38年ぶりとなり、その理由を停止中の原発再稼働の遅れとしています。東北被災地のサプライチェーン(供給体制)が回復しつつあり、今回の震災で供給が停止したリスク回避から、大手製造業などは西へ工場、事業所を分散させよう、移動準備に入っていた矢先の発表でした。

東北の工場を西にリスク分散計画、突然の関西電力発表で白紙撤回
東芝は、岩手県内の工場で生産する半導体の一部を、リスク回避から兵庫県の姫路半導体工場へ生産を移動する予定でしたが、あまりに急な動きに、対応をこれから検討と戸惑いが隠せません。また大量のデータを管理するNTTは、首都圏のデータセンターにある自社サーバーを西へ移動する予定でしたが、関西電力の節電要請に「海外を含めて移転先を検討する」としています。製造業にとって電力は生産に欠かせないエネルギー。企業は、電力需要の高まる7月までの短期間に決断しなければならない状況におかれ、その下請けとなる中小・零細企業への影響も少なくはありません。

東京電力定期株主総会・株主402人:原発から撤退せよ
関西電力の15%節電要請は、東京電力の「電気事業法27条に基づく電力使用制限令」のような法的な強制力はないものの、電力供給権を握っているのは電力会社でしかありません。海江田経済産業相は、6月10日の会見で定期検査が終えても再稼働しない原発に「追加安全対策への対応を行い再起動をお願いする。地元自治体にもご理解いただきたい」と原発運転再開に政府が全力で取り組む姿勢を見せており、電力使用制限令も発令する考えがないことも示しました。

橋下大阪府知事:節電要請に「協力しない。根拠が分からない」
一方、脱原発発言を繰り返す大阪府の橋下知事は、関西電力の節電要請に「協力しない。根拠が分からない」と猛反発。「原発は必要だと言っているようにしか思えない」と批判しています。知事は関西電力に対してこれまで節電対策のための電力需給データなどを求めていましたが関西電力側は応じず、「電力は国策、知事が口を出すなというスタンスだった」と暴露し、不満をぶちまけました。福島第1原発事故によって「脱原発」の動きが広がりを見せる中、5月28日に行われた東京電力の定期株主総会でも株主402人が原発からの撤退を定款に加えるよう提案がありました。追加案は「古い原発から停止・廃炉に」、「原発の新設・増設は行わない」の2条の追加に、東京電力の取締役会では当然のように反対の姿勢を示しています。十数年先に次世代電線網・スマートグリッド構想が実現すれば「東電は必要ないと言われるのを恐れている」としか思えません。

トヨタ:2円の円高で2.5%値上げ、雇用拡大したいがグローバル競争に影響も
基幹生産工場を中部地方におくトヨタは6月10日、平成24年3月期の業績見通しの説明会で小澤副社長が、「中部電力と連携して最大限の節電努力をする」と協力の意思を示すも、「安定した安全な電力を供給していただきたい。電力供給がグローバル競争のハンディにならないことを望む」とコメント。トヨタは自動車各社や関連産業で7月1日から休日シフトを変更し、従業員や家族、さらには取引先などにも混乱をも起こしかねない状況ながらも、中部地方の電力確保のため新シフトを実施します。
 
円高「日本でのものづくりが、ちょっと限界を超えたと思う」とコメント/豊田社長
東京、東北電力に加え関西電力の節電要請、さらには九州電力にも広がりが見え始めている状況に豊田社長は、電力の安定供給を願うも、最近の円高傾向には「日本でのものづくりが、ちょっと限界を超えたと思う」とコメント。日本でのものづくりにこだわる同社だけに円高や電力供給、さらには自由貿易、法人税引下げなど課題解消が急がれます。
トヨタは1ドル80円台で1円の円高をリカバーするのに1.25%の値上げが必要と算出しており、82円から80円に円高がすすめば2.5%の値上げとなりますが、グローバル競争下では値上げは許されません。トヨタは円高で営業収支が減少するなか、被災地復興に傘下のセントラル自動車宮城工場や関東自動車岩手工場での雇用創出を目指します。同工場で生産されるのは北米市場向け小型車。こうした外貨獲得活動を政府が企業と一体となって取り組み、日銀の円高是正や金融緩和策を実施できないものでしょうか。

震災後の対日M&Aに急ブレーキ/レコフ調査結果
海外の企業や投資ファンドなどによる日本企業のM&A(企業の合併・買収)が、3月の東日本大震災後に低迷しています。調査したのは、M&A助言会社レコフ。3~5月の買収件数は前年同時期に比べ約2割も減少しています。政府の復興対策の遅れ、東京電力福島第1原発事故の影響、不安定で機能を果たしていない日本の政治が嫌気されています。
一方では、日本企業による海外企業に対するM&Aは震災後(3~5月)は4割近くも増加(件数ベース)しています。海外からの対日投資が震災の影響で停滞し、逆に日本企業が海外へのM&Aによって生産拠点の分散を進めています。これは大変なことです。海外の資金は日本への興味を失い、国内産業さえも我が国に魅力を感じなくなってしまった、ということです。当然、国内産業は空洞化、「お金がない」状態が加速してゆくことになります。

英マークイットエコノミック社:5月の製造業PMI指数「景況改善」へ
金融データや国際経済指標を提供する調査会社の英マークイットエコノミックス社が発表した5月の日本の製造業PMI(Purchasing Managers' Index:購買担当者指数)が51.3ポイントとなり、45.7ポイントに落ち込んだ4月から改善がみられました。PMIは、日本の製造業350社強の購買担当者を対象に、新規受注数や生産高、雇用、サプライヤー納期、購買在庫の5項目から算出されており、国内の製造業全体の経済状況が把握できるとしています。50.0ポイントを上回れば「景況改善」、下回れば「景況悪化」とし、震災から3ケ月が過ぎ設備の復旧やサプライチェーンの回復の見込みが公表されるなど製造業には薄日が射してきました。

第2次補正予算でピンチをチャンスに!日本の「復興力」示せ
ピンチをチャンスに。日本の「復興力」を示さねばなりません。すでに産業界は休日シフト変更や非常用電源確保、サマータイム導入と、夏の電力不足を乗り切るための企業努力を始めています。政府が今すべきことは、1日も早く第2次補正予算の早期成立させ、被災地、産業界とともに「復興力」示すことです。


[2011.6.15]

GDP成長予想0.1%:震災で下方修正
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「震災以来、消費者の動きが例年と全く違う。何をどれだけ仕入れるべきか、さっぱり読めない」とはとある小売業者の声。大震災の混乱から未だ脱しきれていません。
今年の日本のGDP(国内総生産)の伸びは、東日本大震災、原発問題の発生が大きく影響して、ほとんど見込めない様子です。世界銀行が6月7日に公表した世界経済見通し(改訂版)によると、予想される伸び率は0.1%。1月時点の見通し(1.8%)から大幅に下方修正されました。
破壊されたインフラの復旧に伴い、各方面で生産回復が図られてはいるものの、通年でも生産、消費の大幅な落ち込みを賄う程度に止まるとの見通しです。

企業行動の変化による影響/日本の実力「潜在成長率」も低下の恐れ
一方、復興需要の増加を見込み、平成23年に予想されるGDP成長率は2.6%増と上方修正が加えられ、その後も「緩やかな回復が続く」との見方もあります。
しかし、電力不足に対する懸念は影を落とし続けています。生産拠点を海外へ移す企業も増加しており、国内供給の低下や中小・零細企業の倒産増加も危惧されます。
さらに、震災をきっかけとした企業行動の長期的な変化が日本の潜在成長率の低下を招くとの懸念も広まっています。現在1%程度の潜在成長率が5年後には0%近くまで下がるとの試算も出ており、これを回復させるためには規制緩和や自由貿易体制の促進など、迅速な政策の実施が求められます。
*潜在成長率:国内総生産(GDP)を生み出すのに必要な供給能力を毎年どれだけ増やせるかを示す指標。技術革新などの生産性、工場や機械設備などの資本、労働力の3つの要素から算出します。

食料自給率UP計画にも暗雲
震災に伴う農業への被害は、被災地のみならず、大きなインパクトを与えています。政府は平成27年度までに食料自給率45%の実現を目指しています。しかし、食糧供給地域である東北地方が甚大な被害を受け、かつ放射能の不安、風評被害によって、現状のままでは目標数値の達成は大変厳しい道のりでしょう。
農林水産省によると、平成10年の日本の食料自給率はおよそ40%でした。政府は、国民を挙げての国産農産物消費拡大から、毎年1%ずつの自給率向上運動を推進。また安全・安心な農産物の安定供給に力を注いでもきました。しかし米農家の話では「一度壊れた田んぼが治るには数年かかる」というように、休耕田の活用や規制緩和策などを縦横無尽に打ち出してゆくべきではないでしょうか。
ちなみに、政府が先に発表した平成22年度版農業白書には震災特集が盛り込まれました。農地関係では、宮城の1万5,000ヘクタールをはじめ、福島6,000ヘクタール、岩手2,000ヘクタールなど、全体で2万3,600ヘクタールが流失や冠水被害を受けました。農林水産関係の被害総額は1兆7,746億円(5月18日現在)と推計しています。

醸造、グリーンツーリズム、バイオ:地域に根ざし、農業の先駆けに
被災農地の復旧が自給率の行方に影響することは間違いありません。同白書では本格復興に向け「災害に強い地域としての再生」「自然調和型産業を核とする活力ある産業の育成」「自然に根差した豊かな生活基盤の形成」をコンセプトに示しながら「被災地域の基幹産業である農林水産業の復興が何より必要」と強調。復興に当たっては、地域特産のみそ製造や日本酒醸造など6次産業、地域資源を生かしたグリーンツーリズム、バイオマス活用の農業推進など潜在的な魅力を評価したうえで、新たな農政の実現を願い、先進的な農業地域を目標に掲げています。
震災発生時は雪が降っていた東北地方でも田植えがほぼ終わり、夏に向かおうとしています。渦巻く不安を一刻も早く拭い、安全・安心な実りの秋を迎えたいと心から願います。

[2011.6.13]

増加止まぬ震災関連倒産
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帝国データバンクは、東日本大震災の関連倒産が5月末で131社になったと発表しました。震災から約2カ月半後の倒産件数としては阪神大震災の約2.5倍。5月、月間の倒産件数は前月比27%増の65社です。関連倒産の131社のうち、取引先の被災など間接被害で倒産に追い込まれたケースが全体の8割を超えています。「旅館・ホテル」は16社、「自動車関連」は14社に達し、地域別では関東(45社)に次いで東北(34社)、中部(13社)となっています。帝国データバンクは震災関連倒産について「当面は高水準で推移しそうだ」と分析しています。

東北の上場企業:7割減収
東北に本社を置く3月決算の上場企業(東北電力・銀行を除く)で、5月末までに平成22年3月期決算を発表した23社の最終損益の合計は、前期に比べ7割減少しました。今期の業績予想については先行きが不透明として8社が公表を見送っています。
ただし、震災の被害を受けながら、好業績だった企業も。酒類店チェーンのやまやは、純利益が20%増の8億円と最高益を更新しています。震災の影響で宮城、福島の3店舗を閉鎖するなど10億円の損失が出たものの、関東や関西の店舗の売上がこれを補ったものです。積極的な店舗展開が奏功しました。

震災から3ヶ月、改善を示し始めた国内景気
帝国データバンクは6月3日、5月度の景気動向調査を発表しました。公開されている資料によると、5月の景気動向指数(景気DI)は前月比1.0ポイント増の31.4となり、震災前の2月の指数は未だ大きく下回っているものの、3 カ月ぶりに改善を示しました。
業界別では、全10業界が3ヶ月ぶりにそろって改善。地域別では東北が最大の改善幅を示しています。震災後のデフレや円高、雇用不安など、国民にとって不安材料は尽きず、回復の傾向は「弱含みの状態にある」とされていますが、今後も緩やかに回復するとの見通しです。

人材流出を食い止めに一手/大量採用、稼動9割目指す:関自工岩手
関東自動車工業株式会社(神奈川県横須賀市田浦港町、取締役社長 服部哲夫氏)岩手工場(岩手県金ケ崎町)は、東日本大震災の影響で低下していた稼働率の回復を受けて、期間従業員100人の募集を始めました。同工場は震災後の部品供給不足で稼働率を5割に抑えていましたが、今月から9割に戻すとのこと。被災者の雇用支援にもつながると、増員を決定しました。雇用期間は半年更新で最長2年。この増員で、同工場の従業員数は約2,550人となります。
また、今後の生産増も予定されており、追加募集も想定されます。同工場の工場長、田ノ上直人氏は「震災の影響で優秀な人材が県外に流出しないよう、お役に立ちたい」とコメントしています。

緊急雇用対策活用で地元紙創刊:震災で解雇の記者
東日本大震災の被災地、岩手県釜石市では、地元紙「岩手東海新聞」も被災し事業継続を断念。3月末には残った全従業員の解雇に至りました。しかし、同じく被災により広報の発行が停止していた市からの打診により、同紙の元従業員たちが中心となって「合同会社釜石新聞社」を設立。人件費などが支給される市の緊急雇用対策を活用し、新たな新聞発行の道が開けたのです。
市の広報紙を兼ねており、月530万円の運営費は緊急雇用対策事業として全額国費負担となる見通しで、予算は半年間確保されます。行政とマスコミによる異例の共同事業には互いに違和感があるに違いありませんが、釜石新聞側は「今は地域に新聞を残すことのほうが大切」、市では「地元メディアが立ち上がるきっかけになれば」と、気持ちを揃えています。釜石新聞は今月11日に創刊予定。1年後には通常の新聞社としての自立を目指すとのこと。一面に「復興」の2文字が踊る日が待たれます。
 
大連立は戦前の体制大政翼賛会か?利権の確保、震災を口実に大増税!
民間企業はこうした必死の努力を続けている一方、政治はいったい何をやっているのでしょうか?大連立だと騒いでいますが、大連立をすれば何ができるのでしょうか。国内景気回復の足枷となっているのはやはり福島第一原発の問題ですが、自民党と連立すれば原発問題が解決できるのでしょうか。はっきりと道筋を示してもらいたい。「脱原発」路線は一定の評価は得ているんですよ、民主党さん。エネルギー支配からの脱却を目指し、代替、次世代エネルギー政策から新しい産業を生み出し、新しい日本に生まれ変わって行くチャンスの芽を摘むようなことはしませんよね? 民主党さん、自民党さん。大連立の動きは、利権の政治的な分配のためだ、と、早くも見られているんですよ、大連立で消費税増税を目論む一部の政治家さん。

[2011.6.8]

「不渡付箋」付き手形で不渡り処分猶予のはずが102社倒産
今、まさに私たちセントラル総合研究所の出番です。3月11日、東日本大震災による被害を受け、自見金融相は、日銀・白川総裁と連名で災害に対する金融上の措置について金融機関や証券・生命保険業界、火災共済協同組合などへ特例措置を要請しました。被災した中小企業の支援に中小企業金融円滑化法の努力義務や、支払期日が経過した手形の扱いについて緩和など要請しました。中小企業の危機的な状況下、同日即座の発表、要請はスピードがあり、被災者や被災企業に精神的な安心を与えました。
金融庁では、災害のため支払ができない手形や小切手について不渡りにしないことを金融機関などに要請しています。企業は、2回目の手形不渡り後、金融機関との取引停止処分により倒産となりますが、金融庁では、手形に「災害による」と主旨の記載した「不渡付箋」を貼れば、手形交換所規則に基づく不渡り処分は猶予されるとしています。しかし5月17日時点、震災によって直接・間接的に影響を受けて倒産に至った企業が102社あることがわかりました。

間接被害型倒産型が約9割!新たな被害発覚で中小企業へも影響
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帝国データバンクが5月18日に発表した「東日本大震災関連倒産の動向調査(5月17日時点速報)」によると、震災による企業の倒産は、震災から67日目に102社となり、100社を超えた倒産は、阪神・淡路大震災が129日目と約2倍速いスピードで倒産に至っています。地域別では被災地の岩手、宮城、福島の3県が構成比19.6%の20社となり、東北、関東以外での倒産が目立っています。直接被害を受け
た企業の倒産は構成比12.7%にとどまり、間接被害による倒産が同比87.3%の89社を占めました。「不渡付箋」の情報が行き渡らなかったのか、自主的に事業継続を断念したのか疑問が残ります。
得意先の被災による売上減少や消費マインドの低下など、間接的な被害による倒産が9割近くを占め、直接被害型が中心だった阪神・淡路大震災と大きく異なっています。福島第1原発事故も未だ収束せず、内陸部の被害状況がさらに明るみになれば、間接的被害を受ける企業の増加も予測され、その川下にある中小・零細企業へも影響が出ると懸念されます。

中小企業再生協議会:事業再生相談数3割減、9割はリスケで解決も、その先は・・
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金融庁が5月30日に発表した「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況」によると、今年3月末時点で中小企業が金融機関などへリスケジュール(条件変更)の申込みを行った数は176万5,072件(速報値)に上りました。震災による金融庁の再要請により、努力義務を課せられた金融機関などへの申込みに対して、リスケジュールの実行率も97%と高い推移を示しています。同法の施行から約1年半、震災により申込みは驚異的に増え、中小企業の資金繰りには安堵感をもたらしました。住宅ローンのリスケジュールも、15万9,080件(同)と昨年12月末からわずか3ケ月で約6万件近く急増しています。
中小企業庁では、5月31日、事業再生を支援するため各都道府県に設置した中小企業再生協議会の「平成22年度の活動状況」を発表。窓口相談に訪れた企業は1,929社と前年から33%減少しました。同庁では、再生計画を完成させた企業は、前年度比24%減の364社で、このうち9割近くが中小企業金融円滑化法のリスケジュールを活用したとありました。平成21年、亀井元金融相が唱えたリスケジュールは見事に中小企業の支援となりました。

保証協会付き融資最大5億6,000万円に
中小企業は、政府の資金繰り支援によって体力を温存し次への政策が待たれるところです。東北被災地では、復旧、復興に向けた設備資金など資金調達に動きが出ています。信用保証協会が100%保証するセーフティネット(5号)は、今年9月30日まで受付け、融資限度額が最大で2億8,000万円となっています。さらに政府は、震災の甚大なる被害から別枠で復興緊急保証を新設。セーフティネット同様に信用保証協会100%保証で最大で2億8,000万円、両者合わせ最大で5億6,000万円の貸出しを実施とあります。信用保証協会の4月の保証承諾数は、被災地の岩手県で前年月比129%増、福島県が同比177%増、青森県は131%増と復旧、復興に向けた資金調達が順調に実施されているようですが、今を切り抜けるのではなく、しっかりと立ち直るための企業再生をしてゆかなければなりません。私たちセントラル総合研究所は、5、000社を超える中小企業の資金調達、返済のリスケ、そして経営再建を行ってきました。
今後は、国内市場の先行き縮小傾向に新成長産業への参入や転業、新興国など成長市場への進出、生産品の輸出と、過去の常識が通らなくなる産業も出てくるでしょう。平成23年、変革の年と言われ産業や農林漁業が大きく変わろうとしています。私は「我が企業の再生元年」と言われるような手伝いをしてゆきたいと思います。


[2011.6.3]

ユネスコ記憶遺産:筑豊の炭鉱画登録決定
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世界の貴重な古文書や映像などを人類の財産として保護することを目的としたユネスコ(国連教育科学文化機関)の「記憶遺産」に、福岡県・筑豊の炭坑の生活を描いた山本作兵衛氏(1892~1984)の絵画や日記およそ700点が登録されることが決定しました。日本からユネスコ記憶遺産へ登録されるのはこれが初めてのことです。ユネスコでは平成4年から登録を行っており、これまでには「アンネの日記」や、フランスの人権宣言、ベートーベンの「交響曲第9番」の直筆の譜面などが、登録されています。

石炭・歴史博物館/世界遺産登録で地域浮揚につなげたい
記録画を所蔵している田川市石炭・歴史博物館(福岡県田川市大字伊田2734)の安蘇龍生館長は「長年、炭坑労働を経験した人が絵や文章を書いたことがドキュメントとして世界的に高い価値が認められたことはすばらしく喜ばしいことだと思う。筑豊の代表的な文化の発信につながると思って、これからも記録画を大切にしていきたい」とコメント。「九州産業遺構の世界遺産登録運動とも連携し、地域浮揚につなげたい」と県に協力を要請しています。

自然、文化、記憶:世界に誇る日本の宝
今回の記憶遺登録に先駆けて、国内では自然遺産に小笠原諸島、文化遺産に奥州・平泉が登録される運びとなっています。それに続いての記憶遺産登録は、地元だけでなく、日本中に大きなエネルギーを与える喜ばしい知らせです。
また、東日本大震災の被災地でもある仙台市の博物館が所蔵する、伊達政宗がヨーロッパに送った使節に関する資料などが次回の登録候補として推薦されることも決定しています。世界遺産という大きな看板を負わずとも、大きな時代の変化を乗り越えたもの、あるいはその変化を記録したものも、私たちにとって貴重な財産であることは間違いありません。

屋上乗り上げたバス「防災モニュメント」に!調査チームが提案
東日本大震災の被災地である宮城県石巻市では、2階建ての公民館の屋上に津波で流された大型バスが乗り上げたままとなっており、街を壊滅させた津波の大きさを物語っています。県内の大学教授らで組織する調査チームは、この公民館を震災の被害を後世に伝える「防災モニュメント」として現在のまま保存するように石巻市などに提案しています。
同教授らは、同じく津波の被害を受けて骨組みだけになった同県南三陸町防災対策庁舎なども候補として検討しています。

米で大絶賛:手書きの壁新聞「時代を超えたメッセージ」/石巻日々新聞
石巻市の石巻日日(ひび)新聞(宮城県石巻市双葉町8−17、代表取締役社長:近江弘一氏)は、震災の被害を受けて輪転機が使えなくなったにもかかわらず、報道の本分を果たすべく、手書きの壁新聞を震災後6日間発行し続けました。この奮闘振りが米紙「ワシントン・ポスト」などで報じられたことがきっかけで、この壁新聞は米国にある報道の総合博物館「Newseum(ニュージアム)」に寄贈され、5月2日から展示されています。
ニュージアムは「この新聞は、人間の知ることへのニーズと、それに応えるジャーナリストの責務の力強い証しである」と紹介し、「時代を超えたメッセージを持った新聞」と賞賛しています。
同新聞は5月14日から、横浜市の日本新聞博物館(神奈川県横浜市中区日本大通11横浜情報文化センター)でも展示されています。当初は5月29日までの展示予定でしたが、6月22日まで延期が決定。甚大な被害を受けながらも、復興に向けた希望を捨てずにペンを握ったジャーナリストの思いを伝えています。

[2011.6.1]

ホンダ、サプライチェーン寸断で生産8割減
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自動車大手8社は5月27日、4月の国内生産台数を発表。東日本大震災によるサプライチェーン(供給体制)の混乱で製造ラインが停止するなど、各社とも前年同月比で3割~8割減と大幅な減産となりました。さらに、震災後の福島第1原発事故によって電力供給不足から計画停電となり、部品などの生産が減少。サプライチェーンの寸断は、組み立てメーカーの減産に滑車をかけましたが、その後、急速に回復。トヨタやホンダなど当初の見込みより生産回復を前倒しにすると発表しています。

ホンダ、トヨタ、三菱/自動車各社秋以降には震災前水準
4月の生産が8割減となったホンダは、生産の正常化を今年12月頃としていましたが、8月をめどに前倒しを目指しました。トヨタも6月の生産目標の7割を9割に引き上げました。また、正常化を11~12月としていましたが早まる可能性が高いとしています。三菱も同様に5月は前年同月比10%増、6月も6%増と計画より上回るとしています。夏の電力供給不足に懸念は残るものの、各社とも秋以降には震災前の水準に戻るようです。

自動車工業会13社:夏の供給不足/木金曜休業、土日曜操業
政府は、東京電力や東北電力、さらに浜岡原発が停止した中部電力管内の製造業など、夏の電力供給不足に備え、休日をずらして平日の電力消費を抑える輪番操業を呼びかけています。日本自動車工業会(自工会)は5月19日、7月から9月の期間、加盟工場の休日を木・金曜日とし、土・日曜日は操業と決め、夏の電力供給不足に対応します。自工会では、東京電力管内の工場での電力消費を調査した結果、木・金曜日に消費が多くみられた事から休日を決定。下請けとなる部品メーカーや3次、4次の川下の中小企業への混乱を避けるため、加盟13社が一斉に休日をずらすとありました。

海外に拠点工場の移転検討メーカー増加/中小メーカー移転やむなし
国内の電力供給不足や円高によって、これを機に海外へ工場移転を検討する企業も増えています。川上の工場が海外へ移転すれば、その川下にある中小零細企業は、ともに移転するか、受注先を失うことにも繋がりかねません。特に自動車産業では部品によって5次、6次まで下請けが下支えしており、体力のない企業にとっては事業継続に大きな影響を与えます。政府は、国内の空洞化を防ぐための対策を強化し、支援策を打ち出します。

国内工場立地件数:3年前の半分に
政府は5月19日、東日本大震災で中断していた新成長戦略実現会議を4カ月ぶりに再開。震災を踏まえた新成長戦略の見直しに着手しました。昨年6月に閣議決定した原発エネルギーなど目標、行程に見直しが必要な政策など年内にまとめ、具体像を提示するとしています。この中で柱の1つとなっている戦略に空洞化防止・海外市場開拓対策があり、「日本国内投資促進プログラム」などの再検証や「立地競争力の強化」などが検討される事になります。
企業は、厳しい国際競争に打ち勝つために、生産拠点の海外シフトを検討、移転するなか、昨年11月に策定された同プログラムは、国内投資を促し新たな雇用を創出するため官民一体となって取り組むとしています。同プログラムの資料によると、国内の工場立地件数は、3年前の約半分にまで落ち込み、統計を公表した昭和55年以来、最低水準となりました。対策が打ち出されなければ、産業の空洞化はさらに進みます。スピード感をもって支援策を発表して欲しいところです。

東の工場は西へ、西の工場は東へ国内リスク分散政策
政府は国内の工場建設に関連する規制を大幅に緩和と報道がありました。工場の敷地面積の10%以上の緑地化や、自治体の判断で緑地を5%まで引き下げられるなど規制を緩めるとしています。環境汚染や、安全対策の規制も柔軟に見直され、高い能力や技術を持つ外国人の入国審査や永住権付与など優遇することも含まれるようです。また、枝野官房長官は5月27日の会見で、サプライチェーンの混乱について「東北に拠点を置いた企業が西日本へリスク分散で、東北の空洞化が加速しないように、逆に他の地域を拠点としている企業が東北に工場を立地してもらえるよう政策誘導も進める」としています。
各自治体でも企業誘致支援は行われ、設備資金の助成や人件費補助など、従業員の家族まで考えられた優遇措置なども発表されています。新たな企業の進出で地域を活性化させ、強いサプライチェーンを作り上げ、国内の産業を発展させ、輸出拡大を図りたいところです。

▼関連サイト:内閣府「日本国内投資促進プログラム」

[2011.5.31]
事業再生

セントラル総合研究所
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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
著書の紹介はこちらから。

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