伸び率は低いが、6月の銀行貸出残高も伸び基調。業態別では、都銀は中堅の中小企業に貸出先が広がる。
M&AやREIT関連の貸出が好調
日本銀行が、景気判断の1つの材料となる6月の「貸出・預金動向速報」を発表しました。
都市銀行、地方銀行、第二地銀など「全国の銀行」の貸出平均残高は、前年同月比2.6%増の424兆2125億円。伸び率は2月以来の低さですが、所管の日銀金融機構局は「伸び基調に変化はない」としています。企業のM&A(合併・買収)や不動産投資信託(REIT)関連の貸し出しが好調のようです。
経済活動が活発ならお金も動く
「貸出・預金動向」とは何でしょうか。
日銀は、銀行の預金や貸出などの集計値を毎月作成し、翌月上旬、前月の速報値を公表します。「貸出動向」は、全国の銀行が、国内の経済活動のために貸し出した総額の集計。実体経済の動きを把握するため、金融機関や中央政府向けの貸し出しは含みません。一方、「預金動向」は、未決算の手形や小切手などを差し引いた、資金運用が可能な預金の集計をいいます。
実体経済とお金の供給量との間には、長い目でみれば一定の関係があります。単純に言うなら、景気がよく、経済活動が活発な時は、お金も動くということです。実際は詳細な分析が必要で、あくまで目安としてください。
都銀は中堅中小企業に貸出先が広がる
さて、6月の速報値を細かく見てみましょう。
業態別では、都銀は1.2%増。中堅の中小企業に貸出先が広がっており、全体としては増加基調です。ただし、伸び率は前月から0.1ポイント縮小し、2014年9月以来の鈍さでした。企業の設備投資は回復しつつありますが、大きな投資に回すにはまだ時間がかかりそうです。
地方銀行と第二地銀の貸出総額は3.8%増で、前月から0.1ポイント縮小。信用金庫は1.9%増で、3カ月続けて高い伸び率を維持しています。
預金残高は、都銀、地銀、第二地銀の合計で4.3%増の633兆9732億円でした。都銀は5.3%増ですが、伸び率は前月より0.7ポイント鈍化。消費税の納付が進んでおり、預金の伸び悩みにつながったようです。
[2015.7.15]
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