中小企業の法人税減税措置、平成28年度末終了予定を2年延長!中小の業績回復を支援
業績回復が遅れる中小企業への特例措置
安倍政権は、平成21年から中小企業の法人税(国税)を軽減する特例措置を平成28年度末の期限到来から、2年延長する方針を示しました。大企業の法人所得の税率23.4%より年800万円以下の企業にかかる税率を低く抑え、15.0%とし、優遇策を2年延ばします。この措置は、大企業に比べて地方の中小企業の業績回復が遅れていることや、米国次期大統領の経済公約や中国経済などの失速で先行きが不透明になっていることなどに配慮しています。
優遇策は、平成28年12月上旬にまとめられる平成29年度税制改正大綱に盛り込まれます。税制改正大綱は、翌年度以降に実施される増税や減税、新税などの税制改正をまとめた文書。与党ベテラン幹部でつくられる「インナー」と呼ばれる非公式会合が実質的な決定権を持っています。
従業員の賃上げにはより法人税減税額を拡大
税制改正大綱は、法人税のほか消費税や所得税、事業承継税、相続税など税に係る増減や廃税・新税などが各省庁から要望され、議論されます。この度の法人税の軽減措置延長は経済産業省からの要望でした。
法人税減税を平成29年度税制改正で見直される方針ですが、同じ法人税でも従業員の賃上げを実施し、賃上げ率が高い中小企業ほど減税額を拡大する方針も示しました。 平成28年度から大企業並の2%以上の賃上げ率を達成した中小企業には、賃上げ総額の20%を法人税から差引くことを検討。安倍首相自ら「賃上げを要望」しているだけに、中小企業の賃上げ意欲を向上させる効果を狙います。
麻生財務相も法人税減税措置に前向き
麻生財務相は平成28年11月16日、「働き方改革実現会議」で中小企業に、賃上げのインセンティブを付与する施策を前向きに検討することを表明。ただ、第2次安倍政権誕生時に30%台だった法人税率は現在20%台まで減少しています。過度な優遇施策による中小企業への賃上げ要請策には批判的な意見があるのも現実です。
世界的に英国のEU(European Union:欧州連合)脱退や中国の景気悪化・減速、米国次期大統領・トランプ氏独自の施策など、日本経済にとって先行きが不透明なことが現状。中小企業の設備投資や消費者心理は節約志向に偏っているため、この課題を打破することが第一優先と言えるかもしれません。
世界的にも法人税が高い日本は、社会保障や医療費負担率など様々な要因を考慮してのこと。具体策を講じなければ財政はさらにマイナスに進む可能性があります。
消費者は「節約志向」、中小企業は「賃上げに慎重姿勢」
安倍政権は、経済界に対し4年連続で「賃上げ」を要請。企業の業績は頭打ちとなっていますが、働く従業員の手取り額を増やし、個人消費の底上げに繋げる狙いです。ところが消費者は節約志向、中小企業は賃上げに慎重姿勢が根付いていて安倍政権の思惑通りにはなかなか進みません。安倍首相は、「働き方改革実現会議」で「アベノミクス好循環の継続には経済界の賃上げ」と強調しています。
安倍政権の大胆な財政出動、日銀の大規模異次元金融緩和と景気を下支えしていますが、思うほど景気回復の勢いが鈍いといらだち感もみられます。平成29年度春の中小企業の賃上げ率がどのくらいになるか注視されます。
[2016.11.22]
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