復興支援決定事業者「7年でまだ732件?」金融庁、支援期間延長で金融機関へ支援要請
債権買取で負担軽減、再生を支援
金融庁は2月2日、東日本大震災事業者再生支援機構の被災者事業に対する支援決定期間について、2月1日で同機構法の一部を改正する法律が成立し、支援決定期間を2021年3月31日まで延長しました。
金融庁は、同機構の活用について、全国銀行協会や全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、農林中央金庫代表理事に対し要請しました。
東日本大震災事業者再生支援機構は、震災被害により過大な債務を負う事業者で、被災地域で事業再生を図ろうとする事業者に対し、金融機関が保有する債権の買取などを通じ、債務負担を軽減、再生を支援することを目的にしています。
支援決定事業者、宮城県が全体の半数近い340件
東日本大震災事業者再生支援機構が1月11日公表した「活動状況報告」によると、平成29年12月末時点での支援決定件数は732件と宮城県が340件と半数近く占めています。相談受付件数は、2,724件で、こちらも宮城県が1,211件と最も多く、深刻さが伺えます。
一方、被災事業者の支援内容に債権買取を伴う支援決定は698件で、買取対象債権の元本総額は1,306億円で、このうち債務免除となった総額は647億円と、約半分額が免除されました。
ただ、相談・依頼受付件数は2,724件に上っており、調整中や待機中の案件もあり、この3年間の延長期間で地域での再生が期待されます。
支援内容、債権買取・一部債務免除が698件
東日本大震災事業者再生支援機構によると、これまでの支援内用の特徴として、債権買取や一部債務免除が698件と最も多く、新規融資への保証が228件、つなぎ融資が37件、出資が13件と支援手法では債権買取が多く、また、効果的てもあります。
債権買取価格では、2,000万円未満が363件、2,000万円〜5,000万円未満が151件、5,000万円〜1億円未満が85件、1億円〜10億円未満が97件、10億円以上が2件となっています。
平成29年7月〜9月に支援決定し再生支援を完了した事業者は17件で、ほぼ岩手・宮城・福島県沿岸部の製造業が多く事業所や倉庫の破損、在庫の流出などの災害に見舞われましたが、ようやく再生にこぎつけています。
支援にとどまらず、事業・企業価値の向上まで提案
東日本大震災事業者再生支援機構は、支援決定を行った事業者に対し、債権管理や資金繰り管理だけにとどまらず、事業者の事業価値や企業価値を向上させるためソリューションの提供業務を実施しています。
これは、平成27年10月のソリューション業務開始から着実に対象事業者が増え、昨年12月末時点で226件に達しています。商品開発・販路開拓支援や、営業戦略・営業手法・経費削減策の発案、補助金・助成金の活用支援、事業承継先の紹介など多岐にわたり事業者を支援しています。
東日本大震災からまもなく7年となるこの時期に、ようやく被災事業者の再生状況が明らかになってきています。
●関連記事:「東日本大震災、二重ローン支援対策3年延長!震災復興へ金融支援」[2018.1.19配信]
[2018.2.6]
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