賃上げより雇用維持重視で春闘スタート!業種により要求に明暗

コロナ禍における経営状態や損益は業種ごとにばらつき
大手自動車メーカーなど大企業の労働組合が2月17日より春闘の要求書を一斉に企業側に提出し、今年も労使交渉が本格化してきました。
今年は、昨年初頭からの新型コロナウィルス感染症患者の急増により経営状態や損益が業種ごとにばらつきが見られ、各労働組合の要求内容もにも明暗が分かれています。
労働組合の中央組織である連合は2月5日、春闘に向け総決起集会をオンラインで開催し、「コロナ感染に便乗した賃上げストップなどは絶対に許されない」と主張しています。
自動車業界だけでもベア見送りや例年通りと二極化

自動車業界の今年のベア(ベースアップ)要求書を見ると、新型コロナ禍による業績への影響を背景にホンダや三菱自動車、マツダの各労働組合は、賃金体系を底上げするベアの要求を見送っています。
ただ、トヨタ自動車や日産自動車、スバル、スズキの各労働組合では、ベア要求の有無や額は、下請けとなる中小企業や小規模事業者との賃金格差を広げかねないと考え、いづれも非公開となっています。
これまで自動車業界は、春闘を牽引してきた経緯があるものの、コロナ禍においては全産業を牽引するリード役ではなくなりつつあり、業界の裾野は広く下請けや孫請けとなる中小企業や小規模事業者にも大きく影響がでます。
コロナ感染で大きな影響を受けた業界ではベアより雇用維持を要求
新型コロナウィルス感染症拡大により、自動車業界よりもより打撃が大きい航空・鉄道会社、飲食・宿泊業では、ベアよりも雇用維持を要求する労働組合が大きく見られます。
不要不急の外出自粛や県を跨ぐ移動禁止の要請、時短営業など先行きがなかなか見えてこないのが実態で、国では雇用調整助成金や家賃補助金、事業継続給付金などの対策を講じており、この雇用維持要求が企業側へ通るのか注視されています。
大手の労働組合の要求提出はピークを迎えており、企業側からの回答は3月17日に集中する見込みです。
コロナで売上減少の業種、様々な努力で雇用維持
一方、国や自治体が推奨するテレワーク、在宅勤務の定着により、業績が堅調なったNECなど白物家電などが好調な電機産業や、NTTなど情報通信、インターネット回線、接続危機などの労働組合では例年並みのベアを要求しています。
業種によって大きくベアが変動するコロナ禍の中、飲食業でもケータリングに業務転換したり、宿泊業や鉄道列車でもテレワークスペースとして貸し出すなど、コロナ化を乗り越えようと努力が見られます。
今年1月の11都府県での緊急事態宣言の再発令で、感染者数は減少傾向にあるものの、重症患者や医療機関の逼迫状態は横ばいの推移と、雇用維持やコロナ後の成長に向けた政策が例年以上に議論されそうです。
●関連記事:「春闘2017②:関西企業もベアはほぼ維だが"顔"のパナソニック、JR西日本は前年割れに」[2017.3.24配信]
[2021.2.26]
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