◆二十四節気◆令和6年(2024)10月23日「霜降(そうこう)」です。◆
◆二十四節気◆令和6年(2024)10月23日「霜降(そうこう)」です。◆
10月23日7時15分「霜降」です。旧暦9月、戌(いぬ)の月の中気で、天文学的には太陽が黄経210度の点を通過するときをいいます。
「霜降(そうこう)」とは、秋も末の霜が降りる頃の意で、「しもふり」とも言います。この頃、露が冷気によって霜となり降り始め、ひっそりと秋が深みゆき、もの寂しい風趣があちらこちらに醸されます。冷え込む早朝には霜が生じ始め、一歩ずつ冬の到来が感じられるようになります。晴れた日に時おり小雨ほどの秋雨が降り、楓や蔦の葉が見事な紅葉を見せ始めます。
「霜降」の頃を暦便覧では「露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆゑ也」と説いています。「霜降」から「立冬」までのあいだに、地を這って吹く冷たい北風を「木枯らし」と呼びます。
◆七十二候◆
◆初候「霜始降」(しもはじめてふる):霜が始めて降る。
◇田園にも霜が降り始める時節。
◆次候「霎時施」(しぐれときどきほどこす):小雨がしとしと降る。
◇秋も終わりとなる頃で、小雨がしとしとと降ってわびしい時節。霎(そう)=こさめ。雨の音が本意。施す=広い範囲に行き渡らせる。
◆末候「楓蔦黄」(ふうかつきなり):紅葉(もみじ)や蔦(つた)が黄葉む。
◇紅葉や蔦の葉が黄葉する時節。黄ばむ=黄葉する。
◇10月の紅葉◇
草木、特に落葉樹の葉が晩秋に赤や黄に色づくことを指します。秋になると山々や街路樹が一斉に紅葉し見事な景観が見られる場所は、観光の名所になっています。カエデ科の数種を特に「モミジ」と呼びますが、紅葉が鮮やかな木の代表種です。
また赤色に変わるのを「紅葉(こうよう)」、黄色に変わるのを「黄葉(こうよう、おうよう)」、褐色に変わるのを「褐葉(かつよう)」と呼ぶこともあります。これらをハッキリと区別できない場合も多く、総称して「紅葉」として呼びます。
同じ種類の木でも、生育条件や個体差によって、赤くなったり黄色くなったりすることがあります。葉がどうして色づくのか。そのメカニズムは分かってきていますが、なぜ紅葉するのかはまだ明らかになっていません。なお、常緑樹でも紅葉するものがありますが、緑の葉と一緒の時期だったり、時期がそろわなかったりするため目立ちません。
秋になると草や低木の葉も紅葉し、それらを総称して「草紅葉(くさもみじ)」と呼びます。尾瀬の湿原や日光の小田代原(おだしろがはら)、長野県下諏訪の八島湿原(やしましつげん)などでは、樹木の紅葉よりも一足早く赤やオレンジに染まる秋の景色が広がります。
日本における紅葉は、北海道の大雪山を手始めに9月頃から始まり、徐々に南下します。紅葉の見頃の推移を「桜前線」と対比して「紅葉前線」と呼びます。紅葉が始まり終わるまで約1ヶ月、見頃は紅葉が始まった後20〜25日程度。時期は北海道と東北地方が10月、関東から九州では11月から12月初め頃まで続きます。ただし、山間部や内陸では少し早目です。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
「霜降」の時期は秋から冬への「土用:火墓気」の時期です。この時期は無理に問題を解決しようとせず、受け流すことが肝要です。土用の作用で万物が腐することから、問題が混沌としてしまいます。無理をせず受け流す余裕を身につけましょう。
令和6年は「三の酉」までの年です。酉の日の参拝と、そして日ごろから火廻要慎(ひのようじん)をこころがけましょう。
皆様、時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白
◆二十四節気◆令和6年(2024)10月8日「寒露(かんろ)」です。◆
◆二十四節気◆令和6年(2024)10月8日「寒露(かんろ)」です。◆
10月8日4時00分「寒露」です。旧暦9月、戌(いぬ)の月の正節で、「秋分」から15日目にあたります。天文学的には太陽が黄経195度の点を通過するときをいいます。
寒露とは、野草に宿る冷たい露のこと。この頃になると秋も一段と深まり、朝晩は寒気を感じ始めます。山野には晩秋の色どりが濃くなり、櫨(はぜ)〔※〕の木の紅葉が美しい頃。雁(がん)などの冬鳥が渡って来て、菊が咲き始め、コオロギが鳴きやみます。
暦便覧では「陰寒の気に合つて露結び凝らんとすれば也」と説明しています。
「ひと雨一度(ひとあめいちど)」 この時期秋の長雨やにわか雨がよく降ります。読んで字のごとく、雨のたびに気温が下がって秋の気配が深まる喩えです。
「観天望気(かんてんぼうき)」 風や雲の動きや形で、これからの天気を予測することです。天気の諺では「朝焼けは雨の予兆、夕焼けの翌日は晴れ」といったものが有名。「秋の夕焼け鎌を砥げ」は、秋の夕焼けの翌日は天気がいいから収穫が出来るように鎌を研いで用意しようといった意です。寒露の頃は、五穀の収穫も最盛期に入り農家では繁忙を極めます。
先人は天気とともに生活をしていました。雲の形を見て、「すじ雲」「いわし雲」「ひつじ雲」など天気の下り坂を予期したりしていました。
※櫨(はぜ):うるし科うるし属の植物。6月頃に円錐状の黄緑色の小花を咲かせます。雄株には灰色の小果が実り、これから蝋(ろう)が取れます。山漆(やまうるし)によく似ていて触るとカブレるので注意。天正年間(1570年頃)に中国から種子で伝わり、蝋燭の原料として筑前で栽培され九州一円に広まりました。櫨の紅葉は、赤色がモミジより美しく鮮やかです。
◆◆「七十二侯」◆◆
◆初候「鴻雁来(こうがんきたる)」雁が飛来し始める。
◇雁が飛来し始める時節。鴻雁=秋に飛来する渡り鳥のがん。鴻鴈とも。「鴻」はがんの大型で「雁」はがんの小型のものをいいます。また、鴻雁は大きながんを指すとも。
◆次候「菊花開(きくかひらく)」菊の花が咲く。
◇菊の花が咲き始める時節。
◆末候「蟋蟀在戸(しつそくこにあり)」蟋蟀が戸の辺りで鳴く。
◇蟋蟀(こおろぎ、きりぎりす)が戸にあって鳴く時節。蟋蟀=秋に鳴く虫の総称。『万葉集』に「こおろぎ」とあり、平安時代や中世には「きりぎりす」と呼ばれた。近世以降は「こおろぎ」で、今のコオロギを指す。
◆◆「10月の花」◆◆
「菊」きく科きく属 学名「クリサセマム」 ラテン語の chrysos(黄金)+ anthemon(花)が語源。開花時期は10月20日~12月20日頃。平安時代に中国から渡来。その後、改良が重ねられ多くの品種が生まれ、春のサクラ、ウメと並んで、秋の代表的な花とされます。
「きく」は「菊を音読み」したもので、菊の字は「散らばった米を一箇所に集める」の意。菊の花弁を米に見立てたもの。「菊」の字は「鞠」とも書き、「究極」「最終」を意味し、1年の終わりに咲く花であることからそう名付けられたといわれています。
中国では「菊」は不老長寿の薬効があると信じられ、陰暦9月9日「重陽の節句」には菊酒を酌み交わし、長寿を願いました。これが日本に伝わり「重陽の宴」が催されるようになりました。後に菊は「皇室の紋章」となり、日本の国花になりました。
花言葉は「思慮深い」「真実、元気」「いつも愉快」「私はあなたを愛する」など。
◆◆「秋の七草」◆◆
秋の野山は、春や夏とはまた異なる趣きの草花が彩ります。「秋の七草」とは、ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウのこと。『万葉集』で山上憶良(やまのうえのおくら)が
「秋の野に 咲きたる花を 指折りて かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」
「萩の花 尾花葛花(おばなくずはな) なでしこの花 女郎花(をみなへし) また藤袴(ふぢばかま) 朝がほの花」
と詠んだ歌が広まって親しまれるようになったと言われています。山上憶良が「朝顔」と詠んだのはキキョウの花だとされています。「春の七草」は、1月7日に「七種菜羹(しちしゅさいこう)=七草がゆ、七種がゆ」を食べ無病を祈るという「食」に関する風習ですが、「秋の七草」は「花を楽しむ」ことに所以しています。
◆ 参考ページ:「秋の七草」https://kisetsunootayori.com/october/20241008_aki7kusa/
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
秋の天気は移り変わりが激しく、「女心と秋の空」と喩えられたりもします。秋は台風来襲、上陸して被害を出すことも。台風が秋雨前線を刺激して局地的に大雨を降らすことがあります。天気予報の精度が上がった今でも、台風の被害はなかなか減りません。じっと通り過ぎるのを待って台風一過、秋の青空を眺めたいものです。
朝夕、冷え込みがきつくなってきました。読者の皆様、時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白
◆二十四節気◆令和6年(2024)9月22日「秋分(しゅうぶん)」です。◆
◆二十四節気◆令和6年(2024)9月22日「秋分(しゅうぶん)」です。
9月22日21時44分、「秋分」です。旧暦8月「酉」(とり)の月の中気で、新暦9月22~23日頃。天文学的には、太陽が黄経180度の「秋分点(しゅうぶんてん)」を通過するときをいいます。
秋分点とは、黄道と赤道が交わる点のうち、赤道の北から南へ向かって太陽が横切る点のこと。この日、太陽は真東から昇り、真西に沈みます。昼と夜の長さがほぼ等しいと言われていますが、実際には秋分から3日後です。「暦便覧」では「陰陽の中分なれば也」と説明しています。
北の方から冬篭りの準備を始める頃です。残暑の名残も感じられますが、秋分を過ぎると日に日に肌寒さを感じます。北のほうから紅葉の便りが聞こえてくるようになり、もみじが色づき始めます。例年北海道では大雪山の初冠雪が観測される時期です。
また、この日は「彼岸の中日」にあたります。彼岸の名称は、仏典の「波羅蜜多(はらみつた)」という梵語の漢訳「到彼岸(とうひがん)」という語に由来します。「現実の生死の世界」から煩悩を解脱し、生死を超越した「理想の涅槃の世界」へ至るの意。煩悩や迷いに満ちたこの世「此岸(しがん)」に対して、向こう側の悟りの境地を「彼岸(ひがん)」といいます。
お彼岸の頃になると、寒暑ようやく峠を越して、しのぎやすくなってくることから「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉が使われるようになりました。
◆◆七十二候◆◆
◆初候「雷乃声収」(らいすなわちこえをおさむ)
◇雷乃ち(すなわち)声を収む。雷が鳴り響かなくなる時節。
◆次候「蟄虫坏戸」(ちゅっちゅうこをはいす)
◇蟄虫(ちっちゅう)戸を坏(とざ)す。土中の虫が土で穴の隙間を塞ぐ時節。坏(つき)=ふさぐ。
◆末候「水始涸」(みずはじめてかる)
◇水始めて涸(か)る。※水田の水を干しはじめ、収穫に備える時節。涸る(こる)=水が尽きる。
◆春分点・秋分点
天球上における「太陽の道」を「黄道(こうどう)」といいます。地球上の赤道を天球に延長させた大円を「天の赤道」といい、恒星や惑星の位置を決める基準となります。地球の公転面の垂線に対して地軸が傾いているため、黄道は赤道に対して23.4度傾いています。
黄道と赤道の交点を「分点」といい、黄道が南から北へ交わることを「春分点(しゅんぶんてん)」といい、黄道が北から南へ交わることを「秋分点(しゅうぶんてん)」といいます。秋分点での黄経は180度です。
太陽が秋分点を通過する瞬間が「秋分」,秋分を含む日を「秋分の日」と呼びます。
ちなみに「月の通り道」は「白道」といいます。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
季節は少しずつ秋に向かっています。外路地の広葉樹が幾分か幾分か色づき始め、落葉を予感させます。
秋分の「昼と夜の長さが等しい」に掛けて、均衡を失っている今の社会ですが、これを機会に陰陽のバランスを取り戻して頂きたいものです。
読者の皆様、猛暑でも朝晩は冷え込みます。お体ご自愛専一の程
筆者敬白
◆二十四節気◆令和6年(2024)9月7日「白露(はくろ)」です。◆
◆二十四節気◆令和6年(2024)9月7日「白露(はくろ)」です。◆
9月7日12時11分「白露(はくろ)」です。旧暦8月、酉(とり)の月の正節で、天文学的には太陽が黄経165度の点を通過するときをいいます。新暦9月7日か8日頃。「秋分」前の15日目にあたります。白露とは「しらつゆ」の意です。
二十四節気による四季の区分では、秋の中旬「仲秋(ちゅうしゅう)」〔※〕にあたります。暦便覧には「陰気やうやく重りて、露こごりて白色となれば也」とあります。
陰陽五行説によると、「秋」は金の五時で方位は西、色は白です。白露の時期とは、秋雨の時期を表わす「露」と五行説での秋色の「白」で白露です。また白は無色なので秋の風を特に「色無き風」「金風(きんぷう)」と呼びます。
秋気も本格的になりはじめ、大気が冷えて野草にしらつゆが宿り、秋を感じさせます。鶺鴒(せきれい)が鳴き始め、燕(つばめ)が去って行きます。
※仲秋(ちゅうしゅう):白露から寒露の前日までのことを言います。すなわち9月7~8日から10月7日頃のことで秋の期間のことです。
※中秋(ちゅうしゅう):旧暦8月15日の満月の日だけのことを指します。
※秋の定義:秋とは旧暦で7月・8月・9月です。二十四節気で7月を孟秋(もうしゅう)、8月を仲秋(ちゅうしゅう)、9月を季秋(きしゅう)と分けて表しました。
●鶺鴒(せきれい):
セキレイ=セキレイ科。羽色が鮮やかで、嘴が長い鳥。キセキレイ、セグロセキレイ、ハクセキレイの3種。全長20cm前後の半分は尾。スズメよりやや大きく、ムクドリよりやや小さめで細身です。体は黒白、又は黄と黒色で、尾羽を上下に振りながら歩くのが特徴。山地の川・海岸・水田などの水辺に住み、昆虫などを捕食します。
●燕(つばめ):
ツバメ=スズメ目ツバメ科。全長約17cm。背が黒く、赤いノドと額を持つ。飛行する昆虫を空中で捕食します。日本には3月下旬~4月上旬に飛来。繁殖期には「チュビチュビチュビチュルルルル」というさえずり声で鳴きます。民家の軒先など人が住む賑やかな環境に、泥と枯草で巣を作ります。これは、天敵であるカラスやスズメが近寄りにくいからだそう。穀物を食べず、水稲栽培で発生する害虫を主食とするため、益鳥として古くから大切に扱われてきました。ツバメを殺したり、巣や雛に悪戯をする事を慣習的に禁じていました。燕には帰巣性があり、前年と同じ巣に帰り、修繕して利用したり、巣がない場合はその付近の別の個体の巣や前年営巣した付近に巣を作ります。順調にいけば2回の子育てをし、9月から10月にかけて東南アジアに渡ります。
◆◆七十二侯◆◆
◆初候「草露白」(そうろ しろし):草に降りた露が白く光る。
◇草に降りた露が白く光って見える時節。
◆次候「鶺鴒鳴」(せきれい なく):鶺鴒が鳴き始める。
◇小川や沼などの水辺で鶺鴒が鳴き始める時節。
◆末候「玄鳥去」(げんちょう さる):燕が南へ帰って行く。
◇つばめが南へ帰っていく時節。玄鳥(げんちょう)=つばめの異称。乙鳥(いつちょう)。また、鶴の異称。
◆◆9月の花◆◆
◆彼岸花(ひがんばな)曼珠沙華(まんじゅしゃげ)
ヒガンバナ科。学名:Lycoris(リコリス)。ギリシャ神話の海の女神の名前 Lycoris のこと。原産地中国。別名の「曼珠沙華」は「天上の花」の意。目出度い事が起こる兆しに、赤い花が天から降るという経典に由来。
開花時期は9月15~末日頃。秋の彼岸の頃に、突然茎が伸びてきて、鮮やかな色の花を咲かせ、数日で花が終わって茎だけなります。花のあと葉が伸びてきますが、冬と春を越して夏近くなると消えてしまいます。ですから花と葉を同時に見ることは出来ません。葉のあるときには花はなく、花のときには葉がないことから、韓国では「サンチョ(相思華)」と呼ばれます。「花は葉を思い、葉は花を思う」の意。
花言葉は「情熱」「悲しい思い出」「独立」「再会」「あきらめ」など。
◆金木犀(きんもくせい)
Fragrant olive。モクセイ科。学名:Osmanthus fragrans(オスマンサス)。語源は、ギリシャ語の「osme(香り)+anthos(花)」。原産地は中国南部。
開花時期9月下旬~10月10日頃。花が咲いている間、強い香りを放ち、春の沈丁花(じんちょうげ)、夏の梔子(くちなし)に並びます。開花のあと、風雨があるとあっけなく散ってしまいます。
中国名「丹桂」。丹=橙色、桂=モクセイ類のこと。日本には江戸時代初期に渡来。静岡県の県の木になっています。
花言葉は「謙遜」「真実」「陶酔」「初恋」など。
◆水引(みずひき)
タデ科。学名:Polygonum filiforme。語源はギリシャ語の「polys(多い)+gonu(節)」から。茎の節が膨らんで関節のように見えることに由来。「水引草」(みずひきそう)とも。
開花時期は8月5日頃~10月中旬。上から見ると赤く見え、下から見ると白く見える花を、紅白の水引に見立てたもの。日陰に生えます。葉は時折変わった斑が入ったもの(ふいり)が見られます。
花言葉は「感謝の気持ち」など。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
「白露」からが9月節です。この時期台風が多く、「八朔(はっさく)」「二百十日」「二百二十日」など、風雨の被害で収穫が影響が出ないようにと暦の上でも用心を促しています。近年、気候変動により、これまでとは異なる進路をとる台風が上陸したり、線状降水帯が発生したりするなど、より一層注意が必要です。
また、夏バテの出る時期でもあり、「二日灸」もこの頃です。体調管理には充分気を配りましょう。
繰り返し読者の皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白
◆二十四節気◆令和6年(2024)8月22日「処暑(しょしょ)」です。◆
◆二十四節季◆令和6年(2024)8月22日「処暑(しょしょ)」です。◆
8月22日23時55分「処暑」です。旧暦7月、申(さる)の月の中気で、新暦8月23日頃。天文学的には、太陽が黄経150度の点を通過するときをいいます。
暑さがとどまる、止むの意から処暑といいます。涼風が吹きわたる初秋の頃で、暑さは峠を越えてようやく過ごしやすくなります。暦便覧では、「陽気とどまりて、初めて退きやまんとすれば也」と説いています。綿の花が開き、穀物が実り始め、収穫も目前といった時期です。
また、この頃は「八朔」「二百十日」「二百二十日」と並び台風襲来の多い時期とされ、暴風雨に見舞われることが少なくありません。
日に日に北から秋の気配がしてきます。道端や河川敷ではススキが目立ち初め、秋をところどころに感じるようになります。どうやら秋はすぐそこまで来ていて、残暑厳しい中でも秋の気は感じられます。台風でさえも秋の気は感じられるものです。
秋は感じ方で長くもあり、またあっと過ぎてしまうような短さの中に「もの悲しさ」をも含んでいるのでしょう。
「処」の字は、人がよりかかる台(机)に足を乗せている様を表わす漢字で、「安心している」「落ち着く」さまを表わしています。処暑は暑さがひと段落して、暑さが落ち着くということからの語源です。
■「七十二候」■
◆初候「綿柎開(めんぷひらく)」
◇綿を包む咢(がく)が開く。綿を包むガクが開き始める時節。
◇柎(うてな)=「はなしべ」は古訓で、花のガクをいいます。また、はなぶさ。
◆次候「天地始粛(てんちはじめてしじむ・しゅくす)」
◇ようやく暑さが鎮まる。ようやく暑さが鎮まる時節。
◆末候「禾乃登(かすなわちみのる)」:稲が実る。
◇穀物が実る時節。
■■8月 処暑の頃の花■■
綿(わた)(Cotton plant)、葵(あおい)科 学名 Gossypium:わた属
Gossypium(ゴシピウム)は、ラテン語の「gossum(腫(は)れ物)」が語源
ボールのように膨らんだ実の形から。紀元前2500年頃から、古代インダス地方(インド)で繊維作物として栽培されていました。
開花後5週間くらいすると実が熟して、はじけて綿毛に包まれた種子を外に吹き出します。綿毛は、布地やふとん綿の原料に。
「綿100%」綿は、世界の繊維材料の約7割を占めます。その昔「腸」を「わた」と読み、衣類の中に綿毛を詰めることから、体の腸に見立てて「わた」呼ぶようになりました。「綿」の字は漢名の「葉綿」から。
・「棉」とも書く 英語では「コットン」。
・「しらぬひ 筑紫の綿は 身につけて いまだは着ねど 暖かに見ゆ」万葉集 沙弥満誓※
※沙弥満誓(せみまんせい、せみまんぜい):万葉歌人。生没年不詳。飛鳥時代から奈良時代、和銅年間にかけての貴族・僧・歌人。俗名は笠朝臣麻呂(かさのあそんまろ)
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
8月後半になると、朝晩の涼しさを感じます。7月後半から8月は夏の花火大会のピークでした。花火大会に出かける浴衣姿も、処暑の頃になると想いのほか減ったように感じます。
処暑が過ぎると、これからは台風到来の季節です。
残暑の疲れが出て、食欲不振や精力減退の方に、お勧めは規則正しい生活です。
皆さん、お体ご自愛専一の程
筆者敬白
◆二十四節気◆令和6年(2024)8月7日「立秋(りっしゅう)」です。◆
■令和6年(2024)8月7日「立秋(りっしゅう)」です。■
8月7日9時09分「立秋」です。旧暦7月、申(さる)の月の正節で、天文学的には太陽が黄経135度の点を通過するときをいいます。
この日から暦の上では「秋」になりますが、まだまだ残暑は厳しく、平均気温はピークに達します。一年の中で最も暑い時期といえます。
「そよりともせいで秋たつことかいの」上島鬼貫
◆真夏日◆日中の最高気温が30度を超えた日が真夏日です。蒸し暑く、多くの人が不快感を感じる気温です。近年では、群馬県館林市や埼玉県熊谷市など内陸部や盆地で最高気温の更新が続いています。
◆熱帯夜◆最低気温が25度以上ある夜が熱帯夜です。とても蒸し暑く、就寝しても不快感を感じて深い睡眠がとれないことがあります。
それでも空を見上げると、秋の「巻雲(けんうん)」が、心なしか高いところに見え始め、雲の色や形、風のそよぎに「秋の気配」が感じられるようになります。山間部など内陸では霧が発生することがあります。
秋は移動性高気圧に覆われる日が多く、日中晴れて風の強い夜には「放射冷却現象」による霧が発生します。気温が下がれば空気中の水蒸気が結露し始め、霧が発生します。霧は秋の季節の風物詩といえます。
公園や林でヒグラシが鳴き始めるのは、この頃です。ヒグラシは、早朝と夕方に鳴きますが、薄暗い日中に鳴くこともあります。「カナカナ」と鳴くことから、カナカナとも呼ばれます。
「立秋」は「秋立つ」「秋来る」などとともに、代表的な秋の季語になっています。
「初めて秋の気立つがゆゑなれば也」暦便覧
「夏雲は岩の如く、秋雲は砂の如く」正岡子規
「木の間よりもりくる月の影見れば心づくしの秋は來にけり」古今和歌集
この日より夏の便りの「暑中見舞い」から「残暑見舞い」になります。
◆◆「七十二侯」◆◆
◆初候「涼風至」(りょうふう いたる)
◇涼しい風が立ち始める時節。
◆次候「寒蝉鳴」(かんせん なく)
◇ひぐらしが鳴き始める時節。寒蝉=ひぐらし。また、秋に鳴く虫をいいます。「かんぜん」とも読みます。
◆末候「蒙霧升降」(もうむ しょうごう)
◇深い霧がまとわりつくように立ち込める時節。蒙霧=もうもうと立ち込める霧。
◆◆「8月の花」◆◆
「向日葵」ひまわり、Sunflower 菊科・ひまわり属。学名「Helianthus(ヘリアンサス)」ギリシャ語の「helios(太陽)+anthos(花)」が語源。「太陽の花」の意。
原産地は北アメリカ。紀元前からインディアンの食用作物として使われていました。日本には、17世紀に伝来。開花時期7月10日~9月10頃。別名は、「日輪草(にちりんそう)」「日車(ひぐるま)」など。
花の形は太陽を思わせ、太陽の動きにつれて回ることから「日まわり」と呼ばれます。花首は、夕方には西を向いていますが、夜には向きを戻し、夜明け前には再び東を向きます。ただし、太陽を追いかけるのは、花首の柔らかい頃だけ。花が完全に咲いてからは、東の方向を向いたままほとんど動かなくなります。
ひとつの大きな花のように見えますが、「頭状花序(とうじょうかじょ)」といって、多数の花が集まってひとつの花の形を作っています。これは「キク科の植物」に見られる特徴です。
種は長楕円形。種皮色は油料用品種が黒色で、食用や観賞用品種には長軸方向に黒と白の縞模様があります。種は絞って「ヒマワリ油」として利用されます。ヒマワリ油には「不飽和脂肪酸」が多く含まれます。種子を煎って食用とすることも。また、ペットの餌に利用されます。
近年、ディーゼルエンジン用燃料(バイオディーゼル)として利用する研究も進められています。乾燥した種子を用いる生薬名は「向日葵子(ひゅうがあおいし、こうじつきし)」。
花言葉は「私はあなただけを見つめる」「あなたは素晴らしい」など。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
近年、梅雨が明けてもカラッとした暑さにはなかなかならず、蒸し暑い日が続く猛暑の夏です。局地的な豪雨も頻発して、各地で被害が出ています。夏休みの水の事故にもご注意ください。
夏バテで体調を崩しやすい季節です。
皆さま、体が資本です。お体ご自愛専一の程
筆者敬白
◆二十四節気◆令和6年(2024)7月22日「大暑(たいしょ)」です。◆
◆二十四節気◆令和6年(2024)7月22日「大暑(たいしょ)」です。◆
7月22日16時44分「大暑」です。旧暦6月、未(ひつじ)の月の中気で、天文学的には太陽が120度の点を通過するときをいいます。
夏の季節の最後の節気で、「大暑」の期間は「夏の土用」にあたります。「土用」があければ「立秋」になります。
「夏至」から約1ヶ月後、梅雨明けのこの時期、日照時間は日に日に短くなってきていますが、快晴の日が続いて暑くなります。強い日差しで大地は潤って蒸し暑くなり、時折り「ゲリラ豪雨」が降ります。近年しばしば「雹(ひょう)」が降り、内陸部では「竜巻」が観測されています。
甚だしい暑さを「炎暑・酷暑」、焼け付くような空を「炎天」、ジッとしていても汗の吹き出る暑さを「油照り」などと表現して、微妙な暑さを表現しています。
夏の太陽が雨粒を輝かしながら降る雨を「白雨」また、突然の夕立が涼しさを運んできて「慈雨」となります。
地表の気温が上がって、入道雲が湧きはじめると、上昇気流が起こり、それを補うように周囲から風が吹き込みます。特に海から陸に吹く風を「海風」、夕刻から夜にかけて反対の風を「陸風」、この風の向きが入れ替わるときを「朝凪(あさなぎ)」「夕凪(ゆうなぎ)」といいます。
この時期、桐のつぼみが付き始め、油蝉がうるさく鳴き、さるすべりが真紅の見事な花を咲かせます。
■「七十二候」■
◆初候「桐始結花」(きりはじめてはなをむすぶ)
◇桐の実が生り始める時節。
◆次候「土潤溽暑」(つちうるおいてあつし)
◇土が湿って蒸暑くなる時節。
◆末候「大雨時行」(たいうときにゆく)
◇時として大雨が降る時節。
■「季節の花」■
「蓮・はす」 睡蓮(すいれん)科 ハス属
蓮(はす)は、蜂巣(はちす)の略で、実の入る花床にはたくさんの穴があいていて、蜂の巣に似ていることがその名の所以です。原産はインド。アジアの多くの国の国花になっています。
夏の朝、水面まで花茎を伸ばして開花し、午後3時頃に閉じます。花の開閉を3回繰り返したのち4日目には花びらが散ります。泥中の根は蓮根(レンコン)です。また、花、葉、茎、種子も食用になります。
西方浄土「極楽」は神聖な蓮の池と信じられていることから寺の境内には蓮池を作ります。仏典の「蓮華」も同じで、仏像の台座にその形が用いられます。
※大賀ハス※
昭和26年(1951)岡山県出身の植物学者・大賀一郎は、千葉市内の泥炭層(弥生時代の地層)から、3粒の古代蓮の実を発見。翌年、うち1粒が発芽し開花に成功しました。その可憐な淡紅色の花が「大賀ハス」と名付けられたことは有名です。日本国内はもとより世界各地に分植され、博士の功績と生命の神秘を今に伝えています。
▼「ほのぼのと 舟押し出すや 蓮の中」夏目漱石
▼「久方の 雨も降らぬか蓮葉(はちすば)に たまれる水の玉に似たる見む」(万葉集)新田部皇子(天武天皇の第7皇子)
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
早いもので大暑の次の二十四節気は葉月8月「立秋」です。
今年もまた大雨により各地ですでに被害が出ています。大気の状態が安定しません。温暖化の影響でしょうか。先祖からの土地で、ここは安全だと思い込んでいる場所でも、土砂崩れや地すべりが起こることがあります。避難場所の確認など、もしもの時の備えを心がけましょう。用心に越したことはありません。
読者の皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白
◆二十四節気◆令和6年(2024)7月6日「小暑(しょうしょ)」です。◆
◆二十四節気◆令和6年(2024)7月6日「小暑(しょうしょ)」です。◆
7月6日23時20分「小暑」です。旧暦5~6月、未(ひつじ)の月の正節で、新暦7月7日頃。天文学的には、太陽が黄経105度の点を通過するときをいいます。
梅雨明けが近づき、暑さが本格的になる頃で、「暦便覧」には「大暑来れる前なればなり」とあります。夏至を境に日足は徐々に短くなりますが、日々それほど実感できません。夏の太陽が照り付けて、暑さは日増しに厳しくなってきます。一方、梅雨明け前の集中豪雨に見舞われることも多いので、注意が必要です。
小暑の日から「暑気(しょき、あつけ)」に入ります。小暑から立秋までの間が「暑中」で「暑中見舞い」はこの期間に送ります。
蓮の花が咲き始め、鷹の子が巣立ちの準備を始め、蝉が鳴き始めます。
◆七夕(たなばた)◆
古く中国から伝来した暦注です。当時は女の子が縫い物や習字の上達を祈願したお祭で、平安時代には宮廷行事でした。七夕祭りの行事が広がったのは江戸時代です。穢れ(けがれ)を祓う信仰と結びついたものが現在の七夕の原型です。かつて習字の上達を願ったことが、短冊(たんざく)に短歌や願い事を書く習慣のなかに伝わっています。
◆◆「七十二侯」◆◆
◆初候「温風至」(おんぷう いたる)
◇暑い風が吹いて来る時節。
◆次候「蓮始開」(はす はじめて はなさく)
◇蓮の花が開き始める。
◆末候「鷹乃学習」(たか すなわち がくしゅうす)
◇鷹の幼鳥が飛ぶことを覚える。
◆◆「7月の花」◆◆
★朝顔(あさがお)
開花時期は7月1日~10月10日頃。原産は中国で、平安時代に日本に渡来しました。朝のうちだけ開花するので「朝顔」と呼ばれますが、日陰に咲くものは夕方まで咲き続けることもあります。
古代中国では高価な薬として牛と取引されたほどです。漢名を「牽牛(けんぎゅう)」とする所以です。漢方では現在でも種子が下剤や利尿剤として使われています。花言葉は「愛情」「平静」「結束」「短い愛」「はかない恋」など。
★半夏生(はんげしょう)
Saururus の語源は、ギリシャ語の「sauros(トカゲ)+oura(尾)」。トカゲの尾のような穂状の花を咲かせます。七十二候の「半夏生」の頃になると、葉がペンキを塗ったかのように白くなることから、名が付いたとも伝わります。「半化粧」「片白草」とも呼ばれます。
開花時期は、7月1日~20日頃。花の時期に葉が白くなるのは虫を誘うためで、夏が終わると葉はもとの緑色に戻ります。山の水辺に群生することが多いですが、都会でも時々植えられてるのを見かけます。
★鬼灯(ほおづき)
花びらは五角形で、開花時期は6~7月。オレンジ色の実の中に、オレンジ色の球体があり、これが本当の実です。
「ほおつき」(頬突き)は、子供が口に入れて鳴らす頬の様子から名前がつきました。「鬼燈」「酸漿」とも書きます。花言葉は「心の平安」「不思議」「自然美」「いつわり」。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
梅雨明け宣言が沖縄・九州から次第に北上してきました。これから本格的な夏がやってきます。感染症への注意もまだまだ緩められないようです。
食事・睡眠をよくとり、体調の維持に努めましょう。皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白
◆二十四節気◆令和6年(2024)6月21日「夏至(げし)」です。◆
◆二十四節気◆令和6年(2024)6月21日「夏至(げし)」です。◆
6月21日5時51分「夏至」です。旧暦5月、午の月の中気で、新暦6月21~22日頃。
天文学的には太陽が黄経90度の点を通過するときをいいます。太陽は赤道から最も北に離れ、北半球では南中高度が最も高くなります。この日、北半球では昼が最も長くなり、反対に夜が最も短くなります。
夏至は、夏季の真ん中にあり、ほとんどは梅雨の真っ盛りで、シトシト長雨が続きます。農家では田植えが繁忙を極めます。道端では菖蒲が咲き始め、半夏(はんげ=からすびしゃく)が葉を広げます。
◆◆七十二候◆◆
◆初候「乃東枯」(なつかれくさ かるる)
◇夏枯草(ウツボグサ)が枯れる
◆次候「菖蒲華」(あやめ はなさく)
◇あやめの花が咲く(時期的に「ハナショウブ」を指すのではないかといわれる)
◆末候「半夏生」(はんげ しょうず)
◇カラスビシャク(烏柄杓)が生える
「暦便覧」には「陽熱至極し、また日の長きのいたりなるを以てなり」と記されています。しかし実際には梅雨の真っ只中なので、昼は長くても日照時間は冬よりも短いことが多いようです。
夏至線は北回帰線ともいい、北緯23度27分を走る線のことです。北上してきた太陽は、夏至の日にこの線の真上を通過し、以後再び南下します。
◇天文学的にみる「昼」とは◇
地球は地軸を軌道面と垂直な方向から約23.4度傾いて、太陽のまわりを自転しながら公転しています。太陽は、天の赤道から約23.4度傾いた黄道上を1年かけて1周するように見え、太陽の赤緯が変化します。夏至の頃、北半球では昼が最も長くなり、南半球では最も昼が短くなります。冬至の頃には、この逆です。なので、日本が冬至の日は、南半球は夏至ということになります。
昼と夜の長さの変化は、高緯度地域になるほど大きくなり、太陽がまったく沈まず一日中昼となる「白夜(びゃくや)」と、太陽がまったく昇らない一日中夜となる「極夜(きょくや)」が生じます。
冬至の日は、北極圏全域で極夜となり、南極圏全域で白夜となります。ちなみに、赤道では、昼夜の長さはほとんど変化しません。
また、日の出、日の入りの定義が「太陽の上端が地平線または水平線に重なった瞬間」であること、さらに地平線や水平線付近では、大気の影響で「太陽が実際よりも上」に見えることから、春分・秋分の日でも、昼と夜の長さは等しくならず、昼が少しだけ長くなります。
日の入りの最も遅いのは夏至から7日後で、最も早いのは冬至の15日前になります。
◆◆夏至の頃の花◆◆
ザクロ(石榴、柘榴、若榴) ザクロ科 ザクロ属、落葉小高木、果実のこと。原産地は、西南アジアや南ヨーロッパ、カルタゴなど北アフリカなどはっきりしません。庭木などの観賞用ほか、果実は食用にもなります。
古くエジプトからギリシア時代には、ヨーロッパに広く伝わったとされます。東方へは、武帝の頃、紀元前2世紀の伝来。日本には延長元年(923)に中国から渡来しました。
果実は食べられて、生食もできます。果汁をジュースにしたり清涼飲料水の原料とするほか、料理などに用いられます。
花言葉:優美、円熟した優美、優雅な美しさ
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
6月下旬、二十四節気「夏至」の頃は「梅雨」の最中です。7月に入り梅雨が明ければ本格的な夏です。
体調を崩しいやすい季節です。これから暑い夏がやってきます。体調管理にはくれぐれもご注意ください。
筆者敬白
◆二十四節気◆令和6年(2024)6月5日「芒種(ぼうしゅ)」です◆
◆二十四節気◆令和6年(2024)6月5日「芒種(ぼうしゅ)」です◆
6月6日7時18分「芒種」です。旧暦5月、午(うま)の月の正節で新暦6月5~6日頃。天文学的には太陽が黄経75度の点を通過するときをいいます。
芒種(ぼうしゅ)とは、稲や麦など「芒(のぎ)」〔※〕のある穀物を植え付ける季節の意です。芒の付いた実とは「もみ」を指します。梅雨入り前、いよいよ田植えの時期です。雨が降り続き、農家は田植えの準備などで多忙を極めます。
芒種のおよそ5日後が「入梅」となります。梅の実が熟する頃。雨が降って、カビが生える、うっとうしい季節でもあります。カマキリや蛍が現れ始め、梅の実が黄ばみ始めます。
◇◇◇五月雨(さみだれ)◇◇◇
陰暦5月(現在の6月)に降る雨で梅雨のことを指していました。すなわち日が差さないほど厚い曇が垂れ込めている状態の雲を「五月雨雲」と呼んで、曇天の代名詞でした。
◇◇◇五月晴れ(さつきばれ)◇◇◇
陰暦(旧暦)では「五月晴れ」は、曇天の中のほんの少しのぞいた青空を指ました。それが明治3年(1870)からの新暦5月は小満芒種のいい気候が続く時期で、いつの間にか「五月晴れ」は雲ひとつない晴天の意味に変化しました。改暦によって暦の解釈が変わったケースです。
◆◆「七十二侯」◆◆
◆初候「螳螂生」(とうろう しょうず):螳螂が生まれ出る時節。
◇蟷螂(とうろう)=カマキリ。昆虫綱・カマキリ目(蟷螂目、Mantodea)に分類される昆虫の総称。前脚が鎌状に変化し、他の小動物を捕食する肉食性の昆虫。
◆次候「腐草為蛍」(ふそう ほたる と なる:腐った草が蒸れ蛍になる。
◇腐った草が蒸れて蛍となる時節。この頃、腐った草などの下から、蛹(さなぎ)から孵化した蛍が夕闇を知り光を発し始めます。腐草(ふそう)=腐った草。
◆末候「梅子黄」(うめの み きなり):梅の実が黄ばんで熟す時節。
◇梅子(ばいし)=梅の実。
◆◆「6月の花」◆◆
「紫陽花(あじさい)」アジサイ属 雪の下科
学名:Hydrangea(ハイドランジア)水の器 語源:ギリシャ語のhydro(水)と
angeion(容器)開花時期:6月1日~7月15日頃。「あじさい」は、青い花が集まって咲く「あずさい」が変化したもの。「あず(集)+さあい(真藍)」
「紫陽花」は、唐の詩人・白居易〔※〕が命名した別の紫色の花のことで、あじさいの花のことではなかったのですが、平安時代の学者が「あじさい」にこの漢字を当て、その誤用が広まってしまったのだそう。中国では、「八仙花」「綉球花」などと呼ばれます。
日当たりと水はけの良い肥えた土を好みます。花の色は、紫・ピンク・青・白など。土壌が酸性なら青味が強く、アルカリ性なら赤味が強くなります。この色の付いている部分は実は「ガク」で、花は小さな点のようにガクに付いています。日本特有の花木で、西洋アジサイは江戸末期に長崎のオランダ商館の医師シーボルトらがヨーロッパに持ち帰って改良した品種の逆輸入品種です。
花言葉は「辛抱強い愛情」「元気な女性優しい心」「謙虚」など。北鎌倉の「明月院」〔※〕は、境内に多くのあじさいが植えられ「あじさい寺」として有名。
※芒(のぎ・はしか):稲や麦などの植物で、花の外側の穎(えい)の先端にある針状の突起。「禾」とも書く。
※白居易(はくきょい):中国、唐代の詩人。字(あざな)は楽天。本籍は太原(たいげん)、生地は新鄭(しんてい)。地方官吏の次男として誕生。口もきけぬ幼時、すでに「之」と「無」との字を弁別し、5歳のころから作詩を学び、16歳で早くも人を驚かす詩才をひらめかした。
※鎌倉明月院(かまくら めいげついん):通称「あじさい寺」は平治元年(1159)平治の乱で戦死した首藤(山ノ内)俊通の供養として、息子の經俊が明月庵を建てたのがはじまり。神奈川県鎌倉市山ノ内189 ◇JR北鎌倉駅より徒歩10分
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
芒種から数えて5日後の6月10~11日頃が暦の上での入梅です。
例年だと小満(5月21日頃)から芒種(6月6日頃)を経て入梅(6月11日頃)までは気候もよく過ごしやすい日が続きますが、近年、線状降水帯やゲリラ豪雨による水害が発生しています。
ともあれ暦の上では入梅のあとは「夏至」。夏本番です。
梅雨時は食品の傷みに注意です。学校給食などで食中毒も出ます。食肉など食品関係の方は注意を要する時期です。
読者の皆様お体ご自愛専一の程
筆者敬白
◆二十四節気◆令和6年(2024)5月20日「小満(しょうまん)」です。◆
◆二十四節気◆令和6年(2024)5月20日「小満(しょうまん)」です。◆
令和6年5月20日22時00分「小満(しょうまん)」です。旧暦4月巳の月の中気で、立夏から15日目にあたります。5月20~21日頃。天文学的には、太陽が黄経60度の点を通過するときをいいます。
万物が次第に成長して一定の大きさの達し、満ち始めるという意味から「小満」といわれます。
「暦便覧」には「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」と記されています。また一説には「小満」とは昨年秋にまいた麦の穂がつく頃に「ほっとひと安心して、もう少しで満足する」といった云われもあります。
麦畑の穂が成長して緑黄色に色づき、山野の植物は花を散らして実を結びます。田では苗を植える準備を始め、蚕が桑を盛んに食べ始めます。この頃、紅花が咲きほこり、日々ようやく暑さが加わり始める季節です。
GW明けの西日本では、蛍が姿を見せはじめ、小満を境に「走り梅雨」が始まる年もあります。
◆小満芒種◆沖縄編
梅雨は南から始まり、九州や沖縄では梅雨入りを小満芒種(すーまんぼーすー)とも呼びます。
◆小満芒種◆東日本編
関東から東では、小満から芒種までの梅雨入り前(5月下旬~6月中旬)が一年で最も過ごしやすい季節です。「薄暑(はくしょ)」(うっすらと汗をかく)の時期で、5月の南風「薫風(くんぷう)」とあわせて入梅前の過ごしやすい季節のたとえです。
この頃から梅雨になる年が多く、降水量は「台風シーズン」と、これからの「梅雨時」のふたつのピークがあります。豪雪地帯の日本海側一部の地域と北海道を除いて、これからを「雨季」と呼んでいい時期です。
■■「七十二候」■■
◆初候「蚕起食桑」(かいこ おこって くわを くらう):蚕が桑を盛んに食べ始める。
◇蚕が桑の葉を盛んに食べ始める時節。
◆次候「紅花栄」(こうか さかう):紅花が盛んに咲く。
◇紅花(べにばな)の紅黄色の頭花が盛んに咲く時節。
◆末候「麦秋至」(ばくしゅう いたる):麦が熟し麦秋となる。
◇麦が熟して畑一面が黄金色になる時節。初夏の爽やかな好季節。麦秋=陰暦4月の異称。
■■小満の頃の花■■
「ツツジ(躑躅)」 ツツジとはツツジ科の植物、ツツジ属の植物の総称。ドウダンツツジのようにツツジ科に属さない植物もツツジと呼ばれるものがある。また、古くから、ツツジ属のツツジもサツキ、シャクナゲとを分けて呼んでいて、学術的な分類とは一致しない。
長寿な樹木もあり、最も樹齢の長い古木は、800年を超え1000年に及ぶと推定されている。
ツツジ属の植物は、4月から5月の春先にかけて、先端が5裂している花を枝先につける。咲いた花を採ると、花片の下から蜜を吸うことができ、戦時中は子どもたちの甘味となっていた。一部レンゲツツジには毒があり、注意が必要。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
その昔、株式市場や商品相場を生業にする方々の間では、「素人の小満過ごし」と言われていました。これは麦畑に穂が付き始めてまずはひと安心、が転じて、タイミングを見過ごさないように戒めた言葉です。
小満から芒種の時期、気候の良さから緊張感がなくなり、つい安心してしまい、相場に限らずタイミングをみすみす逃す事に警鐘をならしています。それほど良い気候が続いて「のほほん」とした陽気が続きます。
6月には梅雨に入ります。
季節の変わり目、時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白
◆二十四節気◆令和6年(2024)5月5日「立夏(りっか)」です。◆
◆二十四節気◆令和6年(2024)5月5日「立夏(りっか)」です。◆
令和6年(2024)5月5日9時10分「立夏」です。旧暦4月、巳(み)の月の正節で、新暦5月5日~6日頃。天文学的には太陽が黄経45度の点を通過するときを指します。旧暦では3月15日~4月15日の間のどこかになります。
立夏は、春分と夏至の中間にあたります。昼夜の長さを基準に季節を区分すると、立夏から立秋の前日までが「夏」となります。暦便覧には立夏を「夏の立つがゆへなり」と記されています。立夏は「夏立つ」「夏来る」などとともに夏の代表的な季語になっています。
春ようやく褪せて、山野に新緑が目立ち始め、吹く風は爽やかになり、いよいよ夏の気配を感じられる頃。ほととぎすが忍び音※で鳴く頃で、蛙も鳴き始め、ミミズが地上に這い出て、竹の子が芽を出します。ゴールデンウィークの終盤で、歳時記の上では立夏といっても、体感的にはいまだ春の感じがします。
※忍び音(しのびおと):小声での初鳴きのこと
◆◆「七十二侯」◆◆
◆初候「蛙始鳴」(かえる はじめて なく):蛙が鳴き始める
◇雨蛙が鳴き、産卵を始める時節。
◆次候「蚯蚓出」(きゅういん いずる):蚯蚓が地上に這出る
◇蚯蚓が地上に這い出る時節。蚯蚓(きゅういん)=ミミズ。目もなく手足もない紐状の動物。名の由来は「目 見ず」から。多くは陸上の土壌中に生息。
◆末候「竹笋生」(ちくかん しょうず):筍が生えて来る
◇タケノコが生えて来る時節。タケノコ=若い竹の幹の部分。食用としては、日に当たったものほどアクが強いため、土から顔を出す前に掘るのが望ましい。
◆◆「5月の花」◆◆
◆「文目」(あやめ) あやめ科 アヤメ属
学名:Iris sanguinea ギリシャ語で「虹」の意。開花時期:5月1日~5月20日頃。
剣形の葉が整列して生える様子から「文目・あやめ」(筋道、模様の意)と呼ばれます。花弁の中央に網目模様があり、葉は細くて長い。「綾目」とも書く。よく「菖蒲」と書いて「あやめ」といいますが、菖蒲とは別種で、湿地ではなく乾いた土地に生えます。「いずれ文目か杜若(かきつばた)」とは、区別できないことの喩え。
花言葉は、「良き便り」「吉報」「愛」「優しい心」「メッセージ」「希望」など。
◆「杜若」(かきつばた) あやめ科 アヤメ属
学名:Iris laevigata 開花時期:5月5日~月末
花は紫、青紫、白。その昔、花の汁で布を染めていました。これを「書き付け花」といい、「かきつばた」と変化したもの。水中に生えます。葉は幅広で長い。「燕子花」とも。万葉の頃には「垣津幡」「加古都幡多」などと書いていました。
花言葉は、「妖艶」「幸運が来る」「美人の眠り」など。
◆「菖蒲」(しょうぶ) 里芋科 ショウブ属
学名:Acorus calamus var. angustatus。「美しくない花」の意。漢名の「菖蒲」を音読みしたもの。
沼や川などの水辺に群生し、初夏にうす茶色の花を咲かせます。葉の途中に花穂をつけ、見た目には空中に浮いているようにみえます。端午の節句(5月5日)に菖蒲の葉を風呂に入れる習慣があります。薬効と香りによって邪気を祓います。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
今年の夏は晴天の日に突然前ぶれもなく雨が降る「狐の嫁入り」に出会う方もいるでしょう。入道雲が出来やすい夏独特の天気です。二十四節気「立夏」で暦の上では「土用」が明けます。これまで停滞していた事柄の解決に奔走するのはまさしくこれからです。
季節の変わり目です。読者の皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白