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増加する「コロナ破たん」、過剰債務に苦しむ中小企業に出口はあるのか?

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増加する「新型コロナウイルス関連倒産」、ついに累計3500件を突破
帝国データバンクの調べによると、「新型コロナウイルス関連倒産」は2022年6月22日時点で3570件にのぼりました。
「新型コロナウイルス関連倒産」とは、新型コロナウイルス感染拡大が倒産の要因となり、法的整理または事業停止となったケースです。3570件のなかには個人事業主および負債1000万円未満の倒産も含まれます。
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業種別では、「飲食店」が最も多く、「建設・工事業」、「食品卸」、「ホテル・旅館」と続きます。

全体の倒産件数は、政府のコロナ関連支援策などによって低く抑えられてはいます。しかし、そのうち「新型コロナウイルス関連倒産」が占める割合は、2020年でおよそ1割だったのが21年は約3割に増え、今年に入ってからは5月末の時点で35.9%にまで増大し、コロナ禍の長期化が企業経営に与える影響の深刻さを物語っています。
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コロナ禍が始まる前から、中小企業は過剰債務に悩まされていました。新型コロナ関連の資金繰り支援として行われた緊急融資は、倒産の危機を回避するために必要な施策でしたが、一方で、企業の借入を増やして債務をますます膨れ上がらせました。債務の利払いを事業利益で賄えず、慢性的な財務不健全リスクを抱える「経営破たん懸念企業」は、2021年3月の時点で約30万社にのぼると見られています(帝国データバンク試算)。

いまだコロナ禍が収束していないうちにウクライナ情勢の緊迫化も重なり、急激な景気回復はすぐには期待できそうにありません。当面は、資金難による息切れやあきらめから倒産の選択肢をとらざるを得ない企業は増えるでしょう。

過剰債務の出口戦略「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」
「新型コロナウイルス関連倒産」のおよそ9割は「消滅型」の破産です。「再建型」の倒産は、会社更生と民事再生を合わせても1割未満にとどまっています(東京商工リサーチ調べ)。残された唯一の道が法的整理で会社を畳むのみという状況になる前に、早めに手を打つことができれば、債務者である企業と債権者である金融機関、双方にとってダメージが小さくてすみます。たとえ小さな規模の会社でも、ぎりぎりまで借金を重ねて経営破たんした場合には、地域経済や住民にも大きな打撃を与えてしまいますから、経営者に何より求められるのは方針決定の迅速さです。

とはいえ、経営環境の変化に対応するため事業再構築に取り組みたくても、過剰債務がネックになって思い切った動きがとれないという経営者も多いでしょう。あるいは、いったん廃業したのち再スタートしたくても、自己破産してしまっては再起どころか生活していくことすらままならないのではと危惧する経営者も少なくないと思います。

こういった過剰債務の出口戦略として、そして、事業価値の毀損リスクを減らして再生や廃業への道筋をつけるツールとして、今年4月に策定されたのが「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」です。経済産業省・金融庁・財務省が連携して進めている「中小企業活性化パッケージ」の柱とされ、すでに4月15日から適用されています。
次回は、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の柱のひとつである、事業再生等を目的とした「私的整理」についてお話ししたいと思います。


[2022.6.24]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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