3省庁が連携して中小企業を支援、「中小企業活性化パッケージ」に期待
コロナ関連の経営破たんは減るきざしなし
東京商工リサーチによると、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1000万円以上)が13ヶ月連続で100件を超えました。3月も11日現在で80件と高水準が続いています。飲食業や消費関連企業を中心に、膨らんでいく債務に苦しむ中小企業が増えているのが現状です。
中小企業支援をひとつにまとめた「中小企業活性化パッケージ」
コロナ禍の長期化に加えてウクライナ情勢の悪化などで景気回復の見通しはいまだ立たないなか、3月4日、経済産業省は金融庁、財務省と連携して「中小企業活性化パッケージ」を策定しました。
※ 経済産業省「中小企業活性化パッケージを策定しました ~コロナ資金繰り支援の継続と収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進~」(2022.3.4)
「Ⅰ. コロナ禍の資金繰り支援の見直し・継続」と「Ⅱ. ポスト・コロナを見据えた収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援」が二本柱です。
Ⅰ. コロナ禍の資金繰り支援の見直し・継続
(1)セーフティネット保証4号の期限を3月1日から6月1日までに延長
(2)日本政策金融公庫、商工中金による実質無利子・無担保融資の融資期間を15年から20年に延長した上で期限を6月末まで延長
(3)資本性劣後ローンを来年度末まで継続
Ⅱ. ポスト・コロナを見据えた収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援
(1)認定支援機関の伴走支援(フォローアップや助言等)の強化
(2)4月1日以降、中小企業再生支援協議会(4月1日から「中小企業活性化協議会」)が実施しているコロナ関連の特例リスケジュール支援を、ポスト・コロナを見据えた収益力改善支援にシフト
(3)「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の策定(4月15日適用開始)
(4)中小企業再生ファンドの拡充
(5)再生事業者の収益力改善支援の拡充
(6)個人破産回避に向けたルールの明確化......廃業時における経営者の個人破産回避に向け、「廃業時における経営者保証ガイドライン」に基づく保証債務整理の申出に対し、金融機関が誠実に対応するとの考え方を明確化したもので、債権者、保証人、弁護士等の専門家について基本的な考え方を示しています。
(7)再チャレンジ支援の拡充
(8)収益力改善・事業再生・再チャレンジの一元的な支援体制の構築
(Ⅱ-3)の「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」は、「事業再生を目指す中小企業への朗報となるか?『私的整理』の要件緩和へ」の記事で注目した「私的整理」に関するものが含まれています。今回、「中小企業活性化パッケージ」の一部と位置づけられたようです。
全銀協は、従来の私的整理ガイドラインとの違いとして「第三者支援専門家の関与」「中小企業の実態に即した基準への変更(債務超過解消を3年以内から5年以内へ変更、経営者退任を必須としないなど)」「計画案に反対する債権者に対して誠実な説明を求めることの明記」などを挙げています。
中小企業を支えることは日本経済を支えること
「中小企業活性化パッケージ」の骨子には、日本の企業数の99.7%、雇用の7割を占める中小企業は「成長と分配の好循環のエンジン」であるという考え方があります。
これまで複数の省庁がばらばらに行なってきた中小企業支援を、経産省、金融庁、財務省が手を携えて「中小企業活性化パッケージ」というひとつのかたちにまとめ上げたことに、中小企業を守ろうとする政府の本気を伺えます。
[2022.3.16]
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