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中国生産拠点からの移管増!領土問題、技術流出、人件費高騰により「強いものづくりへの再検証」の機会

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中国生産比率:船井電機9割から5割、イトーヨーカ堂8割から3割へ縮小
尖閣諸島の領土国有化問題による日中関係の悪化や労働コスト上昇を受け、日系企業が中国の生産拠点を他のアジアへ分散する動きが増えています。船井電機は来年、フィリピンの新工場を稼働させ、中国での生産比率を昨年度の9割から5割に縮小。イトーヨーカ堂も衣料品の生産を昨年度の8割から来年度は3割に引き下げ、商品の価格競争力を維持する方針です。中国の国内に対応した製品以外の生産は中国依存を避ける動きが見られます。
日本企業の移転先として注目を高めているのは、経済成長が進むASEAN(東南アジア諸国連合)のベトナムやタイ、インドネシアなどで、安倍首相の初外交もベトナムでした。日本・ベトナム首脳会談では、レアアース発掘や交通インフラなど経済協力のほか、ベトナム・中国間の領土問題についても海洋秩序の維持で一致しました。
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米GE、中国から米国へ生産移管:「米国生産の方が利益を生む」
米国ではここ数年、"The Insourcing Boom"や"Comeback"(製造業の本国復帰)がメディアを賑わせています。米GE(ゼネラル・エレクトリック)は昨年、ケンタッキー州に50年以上ぶりとなる生産ラインを始動。8億ドルを投じラインを新設し、地元に18億ドルの経済効果と1万2,000人の雇用を創出しました。
米国の製造業は、平成に入ってから徐々に人件費の安い中国へ生産拠点を移転。GEのケンタッキー工場では、昭和48年に労働者が2万3,000人いたものの平成23年には1,863人に激減しました。中国から米国へ生産拠点を戻すブームは、利益を度外視し米国内の雇用を守るためでなく、米国内での製造が利益を多く生むことが実証されたためとしています。

米ケンタッキー州製の方が中国製より安く品質も向上
米GEでは、中国で製造する湯沸かし器の部品を米国内の工場に取り寄せ、従業員が組み立てたところ余計なコストがかかっていたり、デザインを損なわせる行程が判明。今まで気づかなかった無駄な部品や行程は、ただ製品をつくるだけの中国工場では発見することができません。
同社では、米国内で改善を繰り返し製造したところ中国製よりケンタッキー州製が約20%安く、しかも品質も向上したと言います。製品の付加価値を高めるクリエイティブな発想や工夫、改善は、まだまだ中国に期待することはできないようです。

NEC米沢工場:中国から一部生産を移管、日本の「少・多・短」のものづくりに驚愕
人件費高騰や技術の流出、模倣品製造などチャイナリスクが高まりを見せ、キャンプ用品の米コールマンや空調の米スアレスなど中国から米国に生産拠点を移管。日本企業でもNECが、中国レノボのパソコンの一部を中国工場から山形の米沢工場に移し、昨年から生産が始まりました。
NECと提携直後に中国レノボ幹部は、約30年のパソコン生産実績のある米沢工場を視察。人海戦術に頼る中国生産とは一転、無人配送車が一定間隔で巡回し、少ない従業員に無駄な動きが全くない「少・多・短」のものづくりに驚愕、日本での生産を決めました。人件費の高い日本でも5日で納品可能と中国産の半分の納期です。製造を自国に戻す動きは、国内消費される製品など、強いものづくりとは何かを再検証する絶好の機会となりそうです。


[2013.2.26]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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