日本の労働力、3人に1人以上が非正規雇用、上昇傾向の継続は自治体職員へも連鎖
厚労省の非正規雇用策:有期労働契約を無期へ法改正
総務省は11月13日、今年度第2四半期(7月〜9月)の労働力調査を発表。労働力人口5,156万人のうち非正規雇用者(アルバイト、パート、派遣社員など)は、前年同期比から0.3%上昇し18万人増加。非正規雇用者は、労働力全体の35.5%にあたる1,829万人になりました。一方、正規雇用者は3,327万人と前年同期から7万人減少しました。
平成14年の同時期には、非正規雇用者は1,483万人と全体で29.8%でしたが、10年で労働人口の約5%、400万人以上が非正規雇用者となりました。厚生労働省では、日雇い派遣を原則禁止する改正労働者派遣法を今年10月に施行。来年4月からは、有期労働契約を契約が5年超えた場合、労働者の希望により無期契約に変える改正労働契約法も施行します。
非正規雇用者:増えるパート・アルバイト、減る派遣社員
非正規雇用者のうち全体の68%を占める1,245万人は、パートやアルバイトで前年同期から18万人増加。増加は3期連続しています。一方、派遣社員は全体の4.8%の87万人で前期から12万人が減少。3期連続で減少しています。派遣社員が減少した分、パート・アルバイトが増加する傾向に法改正が有効か腑に落ちない部分もあります。
大企業では、相次いで大量の早期退職希望者を募り、人件費を削減。必要な時に必要な人材を雇用できる非正規雇用は、人件費を抑え、業務に応じた雇用の調整も楽ではあるものの、企業の宝となる人材を育成する社会的な役割は果たせないでしょう。
自治体も1/3が非正規職員
非正規雇用は、自治体でも広がりを見せており、事務や看護士、保育士、図書館員など職員全体の1/3が非正規職員であることが10月29日、労働組合「自治労」の調査でわかりました。自治労は、今年6月1日時点の全国の47.2%にあたる845自治体を調査。警察や消防、教員を除く非正規職員は、30万5,896人と非正規率は全体の33.1%に上り、前回調査の27.6%から上昇しました。
非正規率は、都道府県よりも町村など小さな自治体ほど高くなり、5割を超える自治体もありました。財政が厳しい状況の自治体では、正規採用を見送り非正規に変えていることが伺えます。
正規雇用化には雇用戦略より経済発展
文部科学省によると、今年大卒約56万人のうち、非正規雇用か就職、進学をしない学生は12万8,000人。大卒の4人に1人が安定した仕事に就いていません。卒業時に正規雇用で採用されないと不安定な雇用から抜け出すことが困難な状況は続いています。
日本の将来を担う若者のため、政府は今年6月に若者雇用戦略を掲げ、新卒者やバブル崩壊時の就職氷河期に正規雇用されず今も非正規雇用の30〜40代も対象とするとしています。企業の正規雇用数の増減は、経済状況により大きく変わりますが、経済を上向きにするためには政策や緩和、優遇措置、そして何よりも強靭なリーダーシップが欠かせず、次のリーダーが誰になるか期待と不安が残ります。
●関連記事:「大卒採用内定者数、2年連続増加!実態は2割が非正規雇用に、高卒内定者数は6年連続減少」[2012.10.26配信]
●関連記事:「日本再生戦略:医療・介護50兆円市場、雇用284万人創出と意気込む!目標57件中2件達成が実態!」[2012.7.16配信]
[2012.11.19]
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