大卒採用内定者数、2年連続増加!実態は2割が非正規雇用に、高卒内定者数は6年連続減少
小売など非製造業は増加、製造業は減少
日本経済新聞社が10月21日まとめた平成25年度の採用状況調査によると、大卒採用内定者数は今春実績比で3.5%増と2年連続増加しました。内定者数増加の要因には、小売など非製造業が6.6%増と5年ぶりに大幅増加。団塊世代の大量退職への対応や、成長分野への人材確保とみられます。一方、製造業では、同比1.6%減と産業空洞化の影響が見られています。
調査は、主要1,012社を対象に実施され、平成25年度の大卒内定者数は8万4,424人。今春の採用計画に対する充足率は94.8%。内定者数の水準は平成20年度を100とすると25年度は69で止まり、2年連続増加するもののリーマン・ショック前の水準に戻った訳ではありません。
ホテル・旅行業が採用5割増、JTBグループは7割増
非製造業では、20業者中15業種で内定者数が増加。業種別では、ホテル・旅行が今春実績比で48.1%増と大幅に増加。不動産・住宅が22.8%、百貨店・スーパーが10.6%と続きます。企業別では、JTBグループが約7割、三井住友銀行が約4割採用が増加。東京電力は、前年に続き採用を見送り、電力会社全体でも前年から14.0%減少しています。
一方、製造業は、17業種中9業種が採用を減らし、造船が9.6%減、電機が3.5%減と国際競争力の弱さが露呈。HV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)など開発が先攻している自動車・部品は2.5%増と堅調でした。今後は、中国経済の鈍化や欧州債務危機、政治の不透明感など景気次第では、採用を抑制するなど懸念も残ります。
高卒内定者数2割減:大卒に職場を奪われた?
グローバル経済が急速に進み、国内採用を抑え海外採用を増やす企業が増えています。パナソニックは国内採用350人に対し、海外現地法人での採用が1,100人。ユニクロも国内500人に対し海外で950人と、人材確保のグローバル化が進んでいます。
一方、深刻なのは、主要企業の高卒採用内定者数で平成25年度は1万1,618人と前年から18.1%減り、6年連続減少しています。小売やサービス、製造業など大卒内定者が増えるなか、高卒者の雇用の場が奪われてしまったようにも見えます。
就職・進学しない大学卒業者8.6万人
文部科学省が今年8月に発表した今春の大卒就職率は、昨年から2.3%増の63.9%。今春の大学卒業者55万9,030人のうち就職したのは35万7,285人。改善傾向にはあるものの、このうち契約や派遣社員など非正規での雇用は3.9%に当たる2万1,990人。進学も就職もしない15.5%の8万6,638人と、アルバイトなど一時的な仕事に就く3.5%の1万9,596人と合わせると22.9%が不安定な雇用に就いているのが現状です。
政府は、各都道府県に新卒向けハローワークを設け、学生と地域・中小企業の橋渡しをしますが、一部を民間に開放するなどノウハウを持つ人材サービス会社などとも連携し、学生がより多くの求人情報を得られるよう緩和するなど施策が求められます。
●関連記事:「若者の52%が「非安定就職」厳しすぎる現状が浮き彫り!雇用推計発表:内閣府/「若者雇用戦略」のカギは若者のキャリア支援、雇用マッチング促進」[2012.3.24配信]
[2012.10.26]
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