住宅エコポイント終了前倒し:太陽光発電、耐震強化/クリーンエネルギーに新ポイント
震災効果!?エコカー同様に駆け込み需要でさらに終了早まるか
国土交通省は5月13日、住宅エコポイントが発行される工事の対象期間について、5ケ月短縮し今年7月末着工分までとすると発表しました。同省では、新築やリフォームともに60万戸ずつ約2,442億円の予算枠でスタートしたものの、4月末時点で予想を上回る申請に、今年12月末までのポイント付与を前倒しとしました。
大畑国交相:住宅エコポイントも予算オーバーする可能性があるため期限前の終了
国土交通省、経済産業省、環境省ならびに住宅エコポイント事務局の4月末時点での発表では、66万戸に達し、申請件数では新築が228,023件、リフォームが368,147件となっており、予算オーバーによる混乱を防ぐための措置となります。また7月末までの期間に予算額に達すればその時点で終了と、エコカー補助金と同様の人気ぶりです。大畠国土交通相は、13日閣議後の会見で「経済産業省のとき家電ポイントも混乱が起きないよう前倒しして終了しましたが、住宅エコポイントも非常に好評で予算オーバーする可能性があるため期限前の終了とさせていただきました」と、周知を計りたいとしています。
住宅エコポイント:6割が「窓の断熱改修」、13%が「バリアフリー改修」、太陽光発電わずか5件
住宅エコポイントは、新築やリフォームなど太陽光発電や二重サッシなど一定の省エネ水準を満たす場合に最大30万円相当のポイントが付与され、商品券やプリペイドカード、新たな追加リフォーム工事に使える政府の経済支援です。家電エコポイントやエコカー補助金など政府の経済支援策はいずれも成功と言えるでしょう。住宅エコポイントも予想を上回る申請数と、震災前まで住宅着工件数は増加傾向にあり、リフォーム産業にも大きな経済効果をもたらしました。
住宅エコポイントを申請したリフォームの内訳を見ると、「窓の断熱改修」が構成比61.3%の347,509件で圧倒し、次いで「バリアフリー改修」が13.4%の75,887件、「外壁、屋根、天井または床の断熱改修」が3.2%の18,089件となっています。原発事故による電力不足の影響で改めて注目される「太陽熱利用システムの設置」は、わずか5件でした。
理想のスマートグリッド構想は現在ではコストに見合わない
太陽光発電システムの設置は、政府が目指すスマートグリッド構想実現への第一歩と言えるでしょう。しかし、価格はまだ高く、いいとは思っても後手に回ってしまうのも事実です。国や自治体などでは太陽光発電導入で補助金は出し、電力会社は余剰電力を1kWあたりで買い取ってくれるシステムもあるものの普及に至っていません。今回の震災によって政府や自治体などからはクリーンエネルギー普及にさらなる補助金拡充や思い切った経済支援策をお願いしたいところです。
クリーンエネルギー:山手線内にソーラーパネル全部設置でも原発1基分
太陽光発電は、屋根に大きなソーラーパネルを設置しますが、その面積の割には発電効率はよくないと言われ、経済学者の池田信夫氏は、原発1基分1,000万kWの電力を発電するのに、山手線内全域にソーラーパネルが必要と言います。しかし技術は進歩し東京大学やシャープでは、発電効率を4倍以上に上げる技術も解明されています。太陽光発電などクリーンエネルギーの普及がすすめば、原子力発電を増やす必要もなく、石油高騰による影響も受けません。普及へ向けた新エコポイントに期待したいところです。
どうする?新成長戦略エネルギー:海外は「フクシマ」セールストークで新興国へ原発売込み
原発事故による計画停電、電力供給不足と震災によって改めて電力のありがたさが再認識させられました。政府は昨年6月の新成長戦略実現会議で原子力発電などパッケージインフラの輸出を掲げ、トルコやベトナムと交渉してきましたが今回の事故で戦略は白紙に。浜岡原発も中部電力に停止を要請しました。政府は、現在国内の電力供給の3割を占める原子力を将来的に5割に引き上げ、Co2削減、クリーンエネルギー化を目指しましたが、数年で原発を太陽熱や風力などのエネルギーへ変える事は不可能です。今後の行方について液化天然ガスの代替えなど様々な分野で議論されるでしょう。
便利になりすぎた中で「節電」、クリーンな国、安全、安心な国へ
あまりに便利な世の中に忘れられていた「節電」が呼びかけられ、産業界では夏を乗り越える準備が進められています。家庭ではクーラーの温度調整、冷蔵庫の設定など、まずはひとり一人ができることしたいものです。そして住宅エコポイントの終了を前倒しに、新たに太陽光発電普及にエコポイントなどの支援策で普及すればわずかでも省エネ効果は期待できます。家電、自動車、住宅とエコポイントの経済効果は計り知れません。次は発電や耐震リフォームなど、これからの次世代に繋げる政策で経済を活性化し、東北復興とともにクリーンな国、安全、安心の国として「行ってみたい国」、「住んでみたい国」で世界一となりたいものです。
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[2011.5.17]
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