住宅エコポイント:新築住宅、リフォーム業に薄日、6か月連続増/経済波及効果
新成長戦略、対象を拡充、延長でデフレ脱却
昨年10月に閣議決定された「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」において、住宅エコポイントの対象を拡充しました。今年1月以降、着工される太陽熱利用システム(ソーラーシステム)や節水型トイレ、高断熱浴槽についても拡充、住宅エコポイントが適用となり、1月11日から戸別の申請を開始しています。また昨年9月の閣議決定では「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」において住宅エコポイントの延長が位置づけられ、エコ住宅の新築や、バリアフリーなどリフォームに対してのポイント発行を今年12月31日まで延長となりました。
政府では、内需産業の柱として住宅、リフォーム産業を新成長戦略として掲げ、昨年9月、円高などに対する緊急対応として、予算費9,179億円を活用した即効性のある施策。10月には補正予算による経済の活性化、国民生活安定のための施策。そして今年、新成長戦略の本格実現としてデフレ脱却、雇用を起点とした経済成長を目指します。
リフォーム45%増、融資より仕事の即効性
国土交通省、経済産業省、環境省と住宅エコポイント事務局は、1月12日、昨年12月末迄の「エコポイント活用による環境対応住宅普及促進事業(住宅エコポイント事業)」の申請状況を公表しました。12月末時点の累計は新築は167,195件、リフォームは242,455件。12月の住宅エコポイントの申請は、新築が前月28,434件から3.2%増の29,345件。リフォームは同30,620件から45.3%増の44,485件とリフォームの申請が急増しています。1月から太陽熱利用システムや節水型トイレ、高断熱浴槽の対象拡充でさらなる経済効果が期待したいところです。
住宅リフォームを地域経済の活性化にと各地方自治体では、リフォームセミナーや助成を積極的に行い、住宅・住宅設備業・リフォーム業者では体験フェアや購入キャンペーン、イベントなど行っているようです。住宅エコポイントは中小企業にとって地域の経済対策としてお金を借りる「融資」よりお金にする「仕事」として即効性ある政策で期待が持てるでしょう。
対象商品の周知徹底でさらなる消費意欲へ
即効性のある住宅エコポイントは、今月から対象が拡充されたものの周知が十分でなく、施工業者からの関連省庁への問合せが相次いでいると報道がありました。住宅・住宅設備業では住宅エコポイントの周知に消費者へPRなど強化していくようです。各社では、今回の拡充対象は生活に身近な水回り製品であることから講習会やガイドブックなどで広く消費者にアピールし、売上げ増加に繋げたいとしています。
住宅エコポイントの申請を都道府県別で見ると、主要都市のほか、北海道や東北地方、新潟県や富山県など日本海側に多く見られています。暖房効率を上げるための窓の二重構造や、外壁・屋根・床の断熱改修など、昨年から今年にかけての大寒波にも灯油など暖房エネルギーを抑えられたのではないでしょうか。より多くの消費者へ周知、徹底したいものです。
住宅エコポイント:3兆円を超える経済効果/新築住宅とリフォーム
政府では、昨年3月に始まった住宅エコポイントによる住宅の新築とリフォームの経済効果を3兆4,000万円と試算。CO2の排出削減効果と合わせてまさしく一石二鳥の経済、環境効果となりました。今月から新たに対象商品が拡充され、一層の同効果をもたらしてくれるでしょう。
新設住宅着工戸数:6.8%増で6ケ月連続増
国土交通省が12月に公表した「11月新設住宅着工戸数」は前年同月比6.8%増の72,838戸で6ケ月連続増となっています。持家は同比7.1%増で13ケ月連続、分譲住宅は同比46.3%で9ケ月連続の増加となっています。日本鉄鋼連盟(東京都中央区日本橋茅場町3-2-10会長:林田英治)が1月14日発表した昨年11月の普通鉄鋼材料の受注量は同比8.6%増の602万トンと3ケ月ぶりに前年実績を上回るなど、住宅着工件数の伸びが起因と見ています。一つの産業に薄日が見え始め、関連する産業へも波及をもたらすなど政府の経済支援はデフレ状況下にある日本の産業には欠かせません。住宅エコポイントの拡充、延長でさらなる波及効果でデフレを脱却するきっかけになって欲しいものです。
[2011.1.18]
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