中小企業の後継者不在率、8産業で5割以上が後継者不在!新たな施策が課題
中小企業、後継者不在率は55.6%に
東京商工リサーチは令和元年11月7日、令和元年の「後継者不在率」調査を発表し、中小企業において後継者が決まっていない「後継者不在率」は55.6%と半数以上に上ることが判明しました。
中小企業では、経営者の高齢化や深刻な後継者・人手不足と課題に直面しており、中小企業数の減少が止まらないのが実態です。
総務省の統計によると、中小企業数は、平成11年から平成26年の間に100万社以上が減少しており、令和2年には高齢化の進展から中小企業経営者が数十万人が引退すると予測しています。
情報通信業の後継者不在率は7割超え
「後継者不在率」を産業別で見ると、情報通信業が74.1%と最も多く、システム開発などIT(Information Technology:情報技術)関連業種がほぼ占めているため、業歴が浅い企業も多く、代表者の年齢も若いことが影響しています。
一方、人手不足が深刻な業種では、小売業が59.3%、建設業が54.9%、運輸業でも52.2%と半数を超えており、全産業10業種全体では平均55.6%と、50%を割った業種は、全10産業中、製造業と農・林・魚・鉱業の2産業だけとなりました。
10年前より国も事業承継支援の政策打ち出すものの・・・
この現状に中小企業の危機的状況を支援すべく安倍政権は様々な施策を打ち出しており、平成20年5月に中小企業の事業承継を支援する「経営承継円滑化法」を制定し、金融支援や事業承継時の税負担の軽減など導入してきました。
この政策に合わせ、事業引き継ぎセンターを全国各所に設置し、中小企業の事業をマッチングさせる民間事業者も支援してきましたが、現状では、予測通りの結果が得られていないとの声も聞かれます。
事業承継できなければ従業員や取引先、外注先にも大きな影響
中小企業において、後継者が決まっていない場合、経営者など急病などで事業承継が困難となるケースも増加しており、従業員や取引先、外注先にも大きな影響を与え、何より日本の技術などが消滅してしまう懸念もあります。
経済産業省中小企業庁では、事業承継税制の拡充や、事業承継診断など承継支援を優先して実施しているものの、生産年齢人口も年々減少し、先行きが不透明な「後継者不在」の企業へ安易な支援は競争力を阻害する可能性も出てきます。
事業承継のための支援、政策も10年以上たち、未だ課題が残っているのが実態で、中小企業の技術力などを引き継ぐ事業承継のあり方が問われます。
●関連記事:「「中小企業白書」公表、自由貿易迎え「鍵」は生産性向上、事業承継、M&A、IT利活用!」[2018.4.25配信]
[2019.11.15]
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