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メガバンク、純利益は「増収」地銀は「減少」に再編進むか!?日銀も懸念

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メガバンク純利益増は一時的?
3メガバンク(三井住友、三菱UFJ、みずほ)フィナンシャルグループの今年9月期の中間決算が14日に公表され、「融資先の業績回復」や「貸倒引当金が必要ない戻り益」収益が支えとなり、3社ともに純利益が前年同期を上回りました。
収益を押し上げたのは、東芝などの大口融資先の財務改善や、政策保有株の売却などであり一時的とも見られ、超低金利が継続する中、先行き懸念も残ります。
日銀のマイナス金利政策により超低金利で、融資での収益向上は難しい状況で、本業の収益である業務純利益は、3メガバンク合計で前年同期を下回っています。

地銀63行、純利益は3割減
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一方、全国地方銀行協会が発表した9月期の中間決算では、公表した63行の純利益は前年同期から30.3%減少し3,555億円でした。
ただ、本業の収益、業務純利益は同3.9%増の5,559億円で、超低金利による融資の縮小には歯止めがかかったものの、貸倒引当金などの「与信関係費用」がかさみ、純利益は減少しました。
今年は、不正問題を起こしたスルガ銀行の与信費用が1,196億円を計上したことで、全体を押し下げた結果となりました。
ただ、これを除いても与信費用は412億円で前年同期の195億円の戻り益から約600億円が増加しました。

与信費用とは・・・
与信関係費用は、与信に関わる費用全体を示し、与信先の状況に応じて引当金を積み増すことにより発生する「貸倒引当金繰入額」や、債権の回収が不可能となったことで確定した損失を計上する「償却額」などがあります。
与信先の業績が改善したことで貸倒引当金の取り崩しを行った場合には、マイナスの費用(利益)となります。
地域の事業者の業績が改善し、雇用も維持され、地域が活性化すれば、新たな業務拡大に向け金融機関は融資を行い、地銀などの業績も改善します。
この好循環サイクルは、金融行政方針にも記載されています。

日銀、 マイナス金利政策の副作用を懸念
3メガバンクは、増益となったものの国内に比べ、海外への投融資の拡大が支えにもなっている一方、上場地銀80行は対照的に約7割近くが最終減益となり、マイナス金利政策を継続する日銀も、その副作用を懸念し始めています。
3メガバンクでも、この先の数年で数万単位の人員リストラを公表しており、地銀でも店舗網や人員配置の見直しなど、収益低下に伴う経費削減対策が必要になってきます。
地銀では、他行との再編も選択肢となりますが、長崎県内の地銀再編で公正取引委員会が独禁法に触れると難色を示すなど、今後、地銀や金融庁、公正取引委員会などの動向が注目されれます。


[2018.11.27]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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