「セクハラ・パワハラ保険」販売急増!慰謝料に備え予備軍は未知数?
「#Me To」運動、世界的に拡大
セクハラやパワハラなど、企業が従業員に訴えられ損害賠償を請求された際に、賠償金を備える「ハラスメント保険」の販売が急増しています。
数年前、米国で女性の勇気あるセクハラ告発に「#Me To(私も)」運動を発端とし全世界に拡大し、日本でもここ数年で、企業の経営者・管理者のほか、自治体、行政にまで告発する従業員、職員の報道が多くなってきました。
これは、「日本人はおとなしい」から「言いたいことは言う」と、日本の文化も少しずつグローバル化しているのではとも考えられます。
企業側、「損害賠償金や慰謝料、訴訟費用」を保障
「ハラスメント保険」は、正式名称「雇用慣行賠償責任保険」で、セクハラやパワハラに対し、管理責任や不当解雇を巡り、企業が従業員から訴えられた訴訟が対象となっており、損害賠償金や慰謝料、訴訟費用などを保障します。
保険会社は、企業に保険商品を販売し、保険料は企業が負担しますが、該当本人に負担なければこの問題は解決しないと考えられます。
例として、今年の報道でも、上司から度重なる暴言で退職した従業員が慰謝料を運送会社へ請求し、約200万円の保険金が支払らわれ、飲食店男性店長から長期に渡り、体を触られると言うセクハラを受けた女性従業員へは、約90万円の保険金が支払われた事例があります。
セクハラ・パワハラ保険加入企業、前年度の5割超え
三井住友海上火災保険と、あいおいニッセイ同和損害保険を傘下にもつMS&ADインシュアランスグループホールディングスによると、「雇用慣行賠償責任保険」の販売件数は、平成29年度に約2万件と前年度比で5割を超え、現在も問い合わせが多く今後も増加する見通しです。
これは、2年前に比べ2.5倍以上の伸びとなっており、企業の従業員の権利意識の高まりで、訴訟などのリスクの認識が中小企業にも浸透し始めていることがわかります。
中小企業においても人手不足などを原因とするトラブルなども、企業の懸念を強め保険商品購入を促しています。
厚労省、「法整備」か「ガイドライン策定」議論開始
厚生労働省の労働政策審議会は9月25日より、セクハラ、パワハラ対策の本格的な議論を始め、企業に義務付ける「法制化」するか、法的強制力のない「ガイドライン」に留めるか年内に具体案をまとめるとしています。
議論は、労使各々の代表と有識者らが参加し、労働者側は「法整備が必要」と主張し、経営者側は「ガイドライン策定が現実的」と白黒ハッキリ別れた意見で、年内に具体案が出されるか懸念されます。
ただ、パワハラ被害は年々増加しており、全国の労働局へのパワハラ相談は約7万2,000件と6年連続で最多であることも事実であり、「心の病」で労災認定された労働者も増加していることから、今後の相互の論議が注目されます。
●関連記事:「アルバイトまでブラック化していた! 労働条件を巡るトラブル続出で、学業に支障の出た学生は2割に」[2015.12.1配信]
[2018.10.2]
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