輸出額10年ぶりの高水準!日米貿易は「TPP」か「FTA」?
リーマン・ショック前の輸出額に改善
財務省が4月18日に発表した平成29年度(29年4月〜30年3月)の貿易統計速報によると、輸出額は前年度から10.8%増え79兆2,219億円とリーマン・ショック前の平成19年度以来10年ぶり、過去2番目の輸出額となりました。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支はプラス2兆4,559億円と2年連続黒字になりましたが、原油相場の価格上昇で輸入額は上昇し、前年度から38.2%減少し、黒字額は縮小しました。
日米貿易、米トランプ大統領「不公平だ」
地域別に貿易動向を見ると、4月18日から日米首脳協議が行われた米国への貿易収支はプラス6兆9,990億円と、米国トランプ大統領が「不公平だ」というのもわからないでもありません。ただ、TPP(Trans-Pacific Partnership:環太平洋戦略的経済連携協定)からはいきなり抜けたり、同盟国でありながら鉄鋼などの関税を引き上げ、日米だけでのFTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)を推し進めるなど方針が毎回変わるのも懸念されます。
日本は米国に対し、自動車や自動車部品の輸出が好調でしたが、輸入では、シェールガスで作ったLNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)を前年度からプラス94.3%買い入れています。
対アジア貿易、過去最大の輸出額
一方、アジアでは、スマートフォンや電子機器類の急速な普及で、日本からは半導体製造装置や半導体部品が前年度から13.1%増加し43兆4,485億円と過去最大の輸出額となりました。
ただ、アジアで製品化されたスマートフォンなどが輸入され前年度から19.5%増えましたが、貿易収支はプラス5兆8,557億円と4年連続で増加しています。
ただ、中国だけを見ると貿易収支はマイナス3兆3,648億円とスマートフォンなど通信機器や音響・映像機器の輸入が増加し2年連続で貿易赤字となりますが赤字幅は縮小しています。
欧州からの輸入、自動車が牽引し過去最高額
EU(European Union:欧州連合)からは、自動車や化学工学機器など過去最高額の輸入額となりましたが、貿易収支はマイナス1,827億円にとどまっています。
訪米した安倍首相は、日本時間4月19日未明、日米貿易取引のための新たな協議をすることを発表。日本は「TPPが最善」、米国は「日米での2ケ国間FTA」を譲らず、今後の日米間の貿易に注目が集まります。
●関連記事:「農業の景況、過去最高を更新!自由貿易11ケ国TPP発効で日本の農業の行方は?」[2018.3.23配信]
[2018.4.23]
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