住宅セーフティネット法施行!空き家・空室を活用「住宅確保要配慮者」へ供給
制度開始1ケ月半で登録業者、わずか30社
今年10月25日、新しい住宅セーフティネット法「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律」が施行され、約1ケ月半が経ち、「家賃債務保証業者登録制度」には、大手を中心に約30社が登録。国土交通省には、未だ保証業社などから「申請方法が不明」などの問い合わせがあり、今後の登録への申請の進捗が注目されます。
住宅セーフティネット法は、新たな業態のため、保証業社などに関する法規制はありませんでした。業界団体には、家賃債務保証事業者協議会(会員61社)や全国賃貸保証協会(同13社)、賃貸保証機構(同5社)の3団体あり、各々の自主規定に任され統一したルールがなかったことが背景があります。
業界団体に加盟しない保証業者は全体の6割
ただ、これら団体に属していない保証業社は全体の6割を占めており、適正な保証業務が担保されているかは不明。国土交通省では、研修の実施や適正な救済権の行使方法などの基準を満たす業者のみ登録できるため、「適正な保証業社」とアピールできるとし登録を推奨しています。
消費者相談センターなどには、家賃債務保証に関する苦情・相談件数が高止まりしていることからも登録が薦められます。
これまでも悪意のある入居者は、保証の説明がなく「聞いていない」と家賃滞納の言い訳を繰り返し、業者に対し「義務を怠った」と問題を大きくしており、「国土交通省に苦情を申し出る」と脅迫めいた入居者もいるため登録を申請する業者も躊躇う理由の1つとなっていました。
「住宅確保要配慮者」の入居は拒まない「登録住宅」
「家賃債務保証業者登録制度」創設のもう1つの理由は、改正住宅セーフティネットへの対応で、高齢者や子育て世代など「住宅確保要配慮者」の入居を拒まないよう民間賃貸住宅と新たに「登録住宅」を創設し、保証業者にメリットを付与しました。
「登録住宅」に入居する要配慮者に家賃保証する場合、住宅金融支援機構が保険を引き受け、要配慮者だけが入居する場合には、低額所得者へ家賃低廉化に必要な費用と家賃債務保証料に補助金が出ます。
これらは登録業者の保証リスクを軽減するためリスクヘッジになり、要配慮者の家賃債務の引き受け義務がないため、どれほどの登録業者が恩恵を受けるかは未知数です。
悪質な保証業者を排除
今回の登録制度は、悪質な保証業者などを排除し、一定の要件を満たす家賃債務保証業者を適正に行う業者を国に登録するほか、民間の空き家や空室を活用し、高齢者や低額所得者、子育て世帯の住宅確保を目的に施行。安心し安全な生活がおくれるよう配慮された法案です。
12月1日現在、国土交通省の「セーフティネット住宅情報提供システム」によると、「登録住宅」は、岐阜県に4戸、静岡県に15戸と全国でわずか19戸。制度開始の直後だけに少ない戸数ですが、来春にかけ「登録住宅」の増加、「保証業者」の登録数増加が期待されます。
●関連記事:「国交省「家賃債務保証業者登録制度」を開始!賃貸借契約トラブルを回避」[2017.10.7配信]
[2017.11.9]
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