国交省「家賃債務保証業者登録制度」を開始!賃貸借契約トラブルを回避
親類・知人の代わりに保証人となる家賃債務保証事業者
国土交通省は、10月2日、新たな住宅セーフティネットの一環として、家賃債務保証を適切に、確実に実施できる事業者を登録する制度を創設。登録に要する事項を定めた「家賃債務保証業者登録規程」を公布し、10月25日から施行することとなりました。
家賃債務保証を実施できる事業者とは、賃貸借契約において連帯保証人となる業者であり、これまでの常識としては、親類・知人などが賃貸契約でマンションやアパートを契約するときに連帯保証人となっていましたが、少子高齢化や親類・知人などとの関係が希薄となっていることから、連帯保証人を代行する事業者となります。
国が進めている住宅セーフティネットの構築では、住宅確保が必要な人が賃貸住宅へ入居しやすい仕組みづくりにおいても、家賃債務保証事業者の存在は重要であり期待され、年々増加傾向にあります。
▼国土交通省:登録申請の手続き
17年前から検討、ようやく施行に
国土交通省では、賃貸住宅市場の適正化に向け、これまで制度改正に取り組んでおり、昨年9月1日には、改正賃貸住宅管理者登録規定や同業務処理準則が施行されましたが、今回は引き続いて検討されていた家賃債務保証業者に対する登録制度の導入でした。
これは、昨年3月に住生活基本計画に関連しており、登録制度そのものは17年前から検討が進められていました。このことから昨年12月の「家賃債務保証の情報提供などにに関する検討会」で今年10月25日から家賃債務保証業者登録制度を開始することとなりました。
これまで、国が進めていた住宅セーフティネット構築において、住宅が必要な人が民間の賃貸住宅へ入居しやすい仕組みを作ることが大きな課題でもありました。
賃貸借契約、約6割が保証人が親類でなく家賃債務保証事業者
国土交通省によると、家賃債務保証の契約件数は昨年3月末時点で48社、約347万件。賃貸借契約全体に占める家賃債務保証業者を利用する賃貸住宅は約6割となりますが、同省では、契約数はさらに多いとみています。
これは、消費者からの賃貸借契約の相談件数が年間600件を超える推移が続いていることが背景にあります。さらに、公的機関などで相談できないトラブル・相談件数も数多く潜在していると思われます。
相談例を見てみると、「身に覚えのない請求」や「不明瞭な請求」「過大な手数料の請求」「説明不足」などが多く、入居者が家賃を滞納し、保証事業者が立て替えた後、保証事業者から入居者への賃料取り立ては厳しくなりがちになると国土交通省では推測しています。
保証事業者団体に加盟する事業者はわずか3割弱
現在、保証事業者業界でも自主規制ルールを策定しており、「家賃債務保証事業者協議会」や「一般社団法人全国賃貸保証業協会」「一般社団法人賃貸保証機構」などの団体もあり、いづれかに属しているのは55社。国土交通省が把握している保証事業者は147社であり加盟率は3割弱にとどまっています。各々の団体では、共通ルールはあるものの、方向性が異なったり連絡が行き届かないなどの問題もあります。まして、未加盟業者においてはルールさえ把握もできていないのが現状です。
家賃債務保証業者登録が始まれば、保証事業者、入居者にとっても信頼性、公正性が向上しトラブルなく安心して住居が確保されることになります。そのためにもルールをしっかり根付かせることが欠かせません。
●関連記事:「URの特別借受賃貸住宅、99%が赤字30億円!総額13兆円の赤字にUR改革か、再び白紙か問われる政府の行政革新会議」[2013.11.5配信]
[2017.10.7]
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