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今春の賃上げ企業9割弱が実施!来春3%超の賃上げなら税制優遇!実施なければ減税措置解除

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引き上げ額は18年ぶりに過去最高
厚生労働省は11月29日、今春の賃金引き上げ、改定の実施状況の実態調査を発表。定期昇給やベースアップなど賃上げを実行した企業は前年から1.1.%増え全体の87.8%に及びました。一人当たりの月額賃金の引き上げ額では、同451円増の5,627円と、平成11年以降、過去最高を更新しました。
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一方、賃金引き上げを見送った企業は、6.3%と前年から0.8%減り、賃金引き下げは0.2%と同0.6%減少しました。
実態調査は今年8月、従業員100人以上の1,606社の企業を対象に実施。従業員100人〜299人までの企業では賃上げは85.6%、5,000人以上の企業では95.2%が賃上げを行い、規模が大きい企業ほど賃上げを実行したことがわかりました。

建設業、人手不足で5%アップ
引き上げ額を産業別で見ると、建設業が8,411円と前年から5.05%上昇。人手不足が大きく響いています。次いで不動産業・物品賃貸業が6,341円、情報通信業が6,269円と続きます。
一方、引き上げ額が低い産業では、宿泊・飲食サービス業が3,040円と前年から30.6%も減少。人手が確保できず営業時間短縮や、定休日の増加などに繋がった結果です。他に分類されないサービス業でも3,923円と引き上げ額は抑えられました。
今年の賃金引き上げで最も重視した点については「企業の業績」が55%と最多で、「労働力の確保・定着」が8.7%と続きました。

安倍政権、来春3%超の賃金引き上げを要請、経団連は了承
安倍政権は、消費者心理改善を目的に来春の賃上げ3%超を経済界に呼びかけ、これを受け経団連も来年の春闘で5年連続となる賃金引き上げを会員企業に呼びかける方針を決めました。安倍政権の言われるまま、定期昇給とベースアップ合わせ、月額でこれまでの水準を上回る3%超の引き上げを求める方向で調整しています。
また、安倍政権の「働き方改革」では、長時間労働を是正するため、残業が減ることで残業代が抑えられ実質月額が減ることとなります。これに対し、経団連では、個人消費を後押しする必要があるなどを踏まえ、残業代分を手当として支給するなど、月額が減らぬよう会員企業へ配慮を求める方針です。
日本の企業の9.5割以上を占める中小企業、小規模事業者に経団連と同じことを要望するには無理がありすぎるでしょう。

賃上げすれば法人税軽減のご褒美
11月29日には、政府・与党が来年度の税制改正で、3%超の賃上げを実施した企業には、法人税を25%程度へ引き下げる軽減措置で税制面からも賃上げを後押しする方針です。さらに、生産性を上げるための設備投資を実施する企業に対しては、追加で税優遇を支援することも検討しています。
一方、利益を上げながら賃上げに消極的な企業には、研究開発減税の対象から外すなど、極端な経済政策。経団連のトップが政府のような構図です。
米国では約90年前、フーバー政権が賃上げ圧力で、失業率が25%にまで上昇し大恐慌の一因にもなった経緯もあり、時代は違うものの、安倍政権の賃上げ圧力にリスクはないとは言えないでしょう。


[2017.12.4]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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