貿易収支5ケ月連続黒字、中国向け輸出額は過去最高!
輸出額では11ケ月連続増加中
財務省が11月20日発表した10月の貿易統計速報によると、貿易収支は2,864億円の黒字となり、円安の影響などで輸入額も増加していますが黒字は5ケ月連続です。特に中国向けの輸出では、半導体などの製造装置が堅調に伸び、金額では過去最高となりました。
10月の輸出額は、前年同月から14.0%伸び6兆6,931億円と、11ケ月連続で増加しています。半導体などの製造装置は同29.5%増加。また、有機化合物も同30.9%増、自動車が6.5%増と伸びています。
中国向けの輸出では、同26.0%増加し1兆3,541億円と、昨年12月の1兆3,011億円を超え、過去最高を記録しました。
半導体製造装置はMade in JAPANが世界シェア3分の1
半導体製造装置は、携帯電話やスマートフォン、パソコン、自動車、家電製品などなど、現在私たちが生活の中で日常的に使われる製品の重要なパーツとなっています。半導体は情報処理を司る人間でいえば頭脳の役割を果たし、その半導体を製造する装置においては、日本の技術は国際競争力が高く、シェアは全世界の約3分の1にもなります。
一方、有機化合物は、合成樹脂や合成繊維など石油製品に使用されるプロピレンやエチレンなどで、輸出先はほぼアジア向けで、自動車や自動車部品などの日系工場で製品に組み込まれ、製品として日本を含め各国に再輸出したり、国内で販売しています。
よって、両者とも元はMade in JAPANであり、日本の技術がなければ魅力的製品は産まない証となっています。
トヨタ初の逆輸入車、タイからハイラックス輸出
トヨタ自動車は、ピックアップトラック「ハイラックス」を13年ぶりに日本で発売することを決め、今年10月にタイの工場から日本へ輸出。トヨタ自動車初のタイからの逆輸入車となります。タイのトヨタ工場では、タイからの輸出はすでに129ケ国を超え拡大してきましたが、確かな品質を確証し日本市場への投入を決めたと言います。
タイから日本への輸出では、日産自動車がすでに始めていますがトヨタ自動車は初。激しい製造コスト競争が続く自動車産業の生産拠点はしばらく動くことはないでしょう。
輸入も10ケ月連続増加、円安、資源高騰が要因
一方、輸入額では前年から18.9%増加し6兆4,077億円と、輸入も10ケ月連続で増加しており、伸び率では平成26年1月の25.1%増に次ぐものでした。中東国など原油価格が上昇したことに加え、為替も約1割ほど円安傾向で円建て価格が押し上げられた結果となりました。
米国からは、エネルギー資源の液化プロパンの輸入が増加し、中国からは、衣類のほかスマートフォンが伸びて8ケ月連続の貿易赤字となりました。半導体を作る製造装置を中国に輸出し、中国で出来上がった製品を日本が輸入する、ここだけを見れば完全な貿易赤字です。
半導体は今後も伸びしろは大きくあり、自動車はこの先数年でEV(電気自動車)に移り変わり、蓄電池など新たな技術開発の競争がすでに始まっています。
●関連記事:「実質輸出、リーマンショック前の水準回復!貿易収支は9ケ月連続前年超え」[2017.9.25配信]
[2017.11.29]
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