冷夏・長雨で百貨店には「追い風」スーパーは「逆風」
今年8月は、例年になく長雨が続き冷夏となるなど異常な夏となり、降水量は高松で前年同月の224%、名古屋でも同175%と農産物にも影響が出ました。長雨、冷夏によって百貨店では追い風となる一方、スーパーでは逆風となる結果となりました。
百貨店、2ケ月ぶりに前年同月からプラス
日本百貨店協会が9月21日に発表した8月の「全国百貨店売上高概況」によると、売上高総額(全国80社227店)は4,127億円と前年同月から2%増加。2ケ月ぶりにプラスに転じました。
気温の低下によって、晩夏・初秋物を中心に衣料品などが好調に推移し、前年並みに復調しました。顧客別では、訪日外国人客のシェアが5.2%に伸び、売上が215億円と過去4番目の売上高を記録、客単価も約2割増え6万7,000円となりました。特に化粧品は同19.5%増と外国人客の人気が現れています。一方、国内シェアも前年並みに回復しています。
スーパー、売上増加は畜産品、惣菜、家具だけ
一方、日本チェーンストア協会が9月21日に発表した8月の「チェーンストア販売統計」を見ると、全国のスーパー(56社9,622店)の売上高は1兆779億7,178万円と前年同月から0.5%減少。取り扱い品別では、畜産品や惣菜、家具・インテリアだけが微増で、ほか食料品や農産品、衣料品、日用雑貨品などは全てマイナスとなりました。
悪天候を理由に、遠出を避けて近場の百貨店で買い物を楽しむ一方、スーパーでは低気温でアイスや飲料、夏物衣料が不振となりました。
東日本を中心とした長雨の影響が百貨店とスーパーの明暗を分けました。
新宿高島屋、ロボット売り場新設
高島屋は9月25日、百貨店初となるロボットの常設販売コーナーを10月4日、新宿店にオープンすると発表。AI(Artificial Intelligence:人工知能)搭載の英会話練習用のコミュニケーションロボット(13万8,240円)や、自動で洗濯物を折りたたみ、専用棚に分ける全自動洗濯物折りたたみロボット(199万8,000円)など約20種のロボットを取り扱います。ロボットを暮らしに中に入れ生活がどう変わるか実感してもらう売り場にするとしています。
また、心斎橋大丸では、訪日外国人客向けにGPS(衛星利用測位システム)を使用した販促アプリを導入。心斎橋周辺を歩き回る外国人向けにセール情報などを自動配信します。
スーパー、集客に「野菜一円セール」で警告
一方、愛知県内のスーパーでは、ライバル店2社が値下げ競争の果て、大根やモヤシを1円で販売し、他社の事業活動を困難にさせる過度な安売りとして、独禁法により公正取引委員会が2社に警告しました。
消費者の節約志向は根強く、集客のための手法と言えますが度が過ぎれば違法ではないにしろ、他店に大きな影響を与えてしまいます。
傷んだ野菜など一円で販売しても不当廉売にはあたりませんが、各々のスーパーが始めれば市場全体で値崩れ起きかねません。両者は警告を受け「再発防止に努める」とコメントしましたが、新たな試みがないとスーパーも百貨店も客離れに繋がると必死さが伝わってきます。
●関連記事:「アマゾンが、1200億円規模とされるネットスーパー市場に参入! プライム会員向けに、スーパー並みの割安商品を、段ボール1箱分290円で配送するサービスをスタート」[2015.9.25配信]
[2017.9.27]
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