いよいよ来た北朝鮮ミサイル、日本上空通過の危機に為替市場は「なぜか日本円買い?」
日本初のJアラート発信
平成29年8月29日午前5時58分頃、北朝鮮が日本の上空を飛び越えるミサイルを発射。日本ではじめてJアラートが発信されました。
北朝鮮は平成27年頃よりミサイル発射が増え始めましたが、これまで多くのミサイルは日本海側に落ちるもので、今回は日本上空を通過するという大胆な狙いで、鉄道などの交通機関にも影響が出ました。
今回は、事前予告もなく日本本州を中心にJアラートが発信されたことが特徴であり、さらなる緊張感を高めました。
日本円、主要16通貨に対し上昇
北朝鮮ミサイルが日本上空を通過したという情報が流れ、8月29日早朝の外国為替市場では、円相場が1ドル108円台前半に上昇。米国の経済・金融情報配信会社・ブルームバーグによると、円相場は7時36分の時点で、主要16通貨全てに対して上昇したと言います。一時は108円54銭と4月18日以来の円高・ドル安となりました。
北朝鮮のミサイルが日本上空を通過し、日本が危機にさらされたのに対し、日本円を買うとは疑問にも思えます。
これは有事の際、為替の世界では動物的な動きをとることが多く、今回は「日本への影響を考えず」に低リスクの日本円を買うと言う行動に出ました。東日本大震災時にも日本円は1ドル70円台に突入するなど円高となった経緯があります。
かつて有事の際には、ドル買いがセオリーとされていましたが、米国同時テロ911以降はドル売りに変わってきています。
ミサイル発射で円高に?
北朝鮮によるミサイル発射や核爆発実験などがメディアにて報じられるたびに、為替は円高に振れますが半日程度で値を戻すというパターンが続いています。
北朝鮮のミサイル発射で日本上空を通過した時点での為替を見てみると、過去5回発射のうち、3回は前営業日の終値に対し円高に振れますが、終値は前営業日より円安の水準となりました。
このように北朝鮮からミサイルが打たれても、短期的に円高に振れることがあってもすぐに取り戻されるという結果となりました。FX(Foreign Exchange:外国為替証拠金取引)など超短期取引でもしていない限り、投資ポジションは焦らず控えた方が良さそうです。
株価も同様の動き
為替同様に、日経平均株価について動向を見ると、こちらも為替と似た傾向が見られ、過去5回のミサイル発射のうち4回が、前営業日の終値に対しマイナスに触れますが、終値では前営業日より上昇しました。ただ、今回のミサイル発射では、初めて前営業日よりも下落しており、過去と何か異なることがあるのか気になります。
今後も北朝鮮情勢は見通しが立たず、米国とのチキンレース状態。駆け引きは当面続きそうで、有事の際には慌てず投資行動は控えた方が良さそうです。
北朝鮮のミサイル発射で、日本海で待機する海上自衛隊イージス鑑が迎撃ミサイルPAC-3を打ち込めば、為替や株価がどう変化するかは気になるところです。
●関連記事:「JPモルガン:デリバティブ取引で7千億円損失!日本は為替取引で中小損失増加」[2012.7.7配信]
[2017.9.14]
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