先端技術の雨雲スキャンレーダー搭載、H2Aロケット打ち上げ成功/「当たる天気予報」
三菱重工業:打ち上げ成功率は96%
JAXA(Japan Aerospace eXploration Agency:宇宙航空研究開発機構)と三菱重工業は2月28日、鹿児島県の種子島宇宙センターから国産ロケット「H2A」23号機の打ち上げに成功しました。この成功で、これまでH2Bロケットを含め27機中26機が打ち上げに成功。成功率は96.2%と高い技術力を誇ります。
23号機は、JAXAとNASA(National Aeronautics and Space Administration:アメリカ航空宇宙局)が中心となり欧州やインドなども参加する、宇宙から世界中に降る雨を見極めるGPM(Global Precipitation Measurement:全球降水観測)計画の主衛星。より降水観測の精度が向上し天候学だけでなく、これまでより詳細な天気予報や洪水予報などに応用されます。
世界で一つ、立体的に雨雲を捉える雨雲スキャンレーダー搭載
23号機には世界に一つしかないDPR「Dual-frequency Precipitation Radar:二周波降水レーダー」を搭載。日米が開発した2種類のレーダーで雨雲を立体的に捉え、降雨量や雨粒の大きさ、雪などを高精度に観測することが可能になります。人間ドッグのCTスキャンのように宇宙から雨雲をスキャニングすることからJAXAでは「雨雲スキャンレーダー」とわかりやすい名称をつけています。
ここ数年,異常大寒波や大雪,局地的ゲリラ豪雨、大洪水、竜巻など世界的な異常気象。DPRは水災害を宇宙から見極め防災に役立てる一方,原因となる排ガスや公害など規制しない国へは国際機関を通じ厳しい態度で臨むことも必要です。
ケネディ駐日米大使ケネディ駐日米大使
「H2A」23号機を打ち上げた種子島宇宙センターでは、打ち上げ後の記者会見でサプライズ。ケネディ駐日米大使が突然登場。「本当に素晴らしい日を迎えることができた」と数分スピーチしました。
人類初の月面着陸を実現したアポロ計画を提唱したのは父親の故・ケネディ元米大統領。「父は、宇宙の研究や探査が人々の生活を良くし、平和をもたらす大きな力を持つと信じていた」と語りました。残念ながらシリアやウクライナ、中国にタイなど国の情勢はあまり良くはなっていないようです。
途上国へ活用促すキッカケに
DPRから送られるデータは、豪雨や洪水などの予測に役立たれ日米だけでなく世界各国で利用が予定されています。ただ、途上国などでは地上観測ネットワークが整備されていない国も多く雨量データをどのように集めるか課題となっていました。GPM計画が本格化することで各国への整備を促し世界中でデータを共有。豪雨や洪水,大雪などの防災強化が期待されます。
高い打ち上げ成功率の国産H2Aロケットと、雲の内部構造までデータ化するレーダー技術など、日本の技術力を世界へ見せつけました。
●関連記事:「イプシロン打ち上げ今度は成功!商業衛星市場参入へ、JAXAに出来るかコスト削減」[2013.9.19配信]
[2014.3.6]
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