イプシロン打ち上げ今度は成功!商業衛星市場参入へ、JAXAに出来るかコスト削減
打ち上げ1時間後にSPRINT-Aを分離、愛称は「ひさき」に
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は9月14日、内之浦宇宙空間観測所から惑星分光観測衛星(SPRINT-A)を搭載したイプシロンロケット試験機の打ち上げに成功。ロケットは正常に飛行し、打ち上げ後約61分39秒にSPRINT-Aを分離したことを確認しました。
惑星分光観測衛星(SPRINT-A)は、愛称を「ひさき(HISAKI)」とし、約2ケ月間の初期運用の後、観測を開始。来年にはX線天文衛星「すざく」やハワイの地上望遠鏡などとともに、それぞれの観測機器で木星を観測します。
主力のH2Aの補助ロケットを使用しコスト削減
イプシロンは、JAXAが3年前より200億円をかけ開発した固形燃料を使用した小型ロケット。打ち上げコストが高いため7年前に廃止された「M5ロケット」の技術を受け継ぐ一方、1段目のロケットには主力の「H2A」の補助ロケットを使用しコスト削減が図られました。
発射管制システムも点検作業の一部をコンピューターで自動化し、作業を効率化。パソコン2台に数人の管制員で人件費を圧縮。打ち上げ費用はM5ロケットの約半分の38億円程度に抑えられました。JAXAでは、改良をすすめ4年後には30億円に抑えるとしています。
小さな荷物は小さなロケットで、宇宙輸送「非効率性」解消
イプシロンの打ち上げ成功により日本は低コスト小型ロケットと、液体燃料を使用するH2Aなど大型機と多様化する衛星ニーズに対応可能となりました。これまでダンボール1個を4トントラックで運ぶような非効率性も解消されます。
政府の宇宙政策委員会は今年5月、宇宙輸送の効率化にイプシロンを国にとって不可欠な基幹ロケットと位置づけおり、小回りのきくイプシロンのニーズが期待されます。
海外衛星市場、すでに十数億円の中型機も
世界の商業衛星打ち上げ市場では、一層のコスト削減が求められています。海外ではすでに十数億円と格安の中型機もありイプシロンの改良よるコスト削減でも競争力は高いとは言えません。再来年の2号機以降、打ち上げ予定は未定でこれからの研究、技術開発が鍵となります。
イプシロンは、打ち上げ後の自動点検も構想され、レーダーによる追跡を段階的に廃止しコスト削減に繋げることも検討しています。高い安全性、信頼性を維持しつついかにコストを抑え、商業衛星市場を獲得していくか「技術大国日本」の復活が問われます。
[2013.9.19]
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