改正貸金業法の影響大!減収・減少続く消費者金融、規制適用外の銀行が取りこぼしの受け皿
改正法の規制適用外、銀行が個人向けローンを強化
消費者金融大手3社の今年9月の中間連結決算が出そろい、いづれも営業収益が前年を下回る結果となりました。改正貸金業法のグレーゾーン金利の撤廃や、年収の1/3に貸出し上限が設定された総量規制など規制強化が業績に響いています。
メガバンクなど消費者金融をグループ傘下に個人向け無担保ローンの強化が相次いでいます。歴史的な低金利で住宅ローンや貸出先のない企業向け融資が伸び悩むなか、個人向け無担保ローンは金利も高く、銀行本体が扱うことで改正貸金業法の規制も適用されません。
イオン銀行:4年後には住宅・個人向け貸出残高4兆円に拡大
メガバンク以外でも既に同様の動きは見られ、新生銀行は昨年10月から銀行本体で消費者金融レイクの個人向け無担保ローンを開始。イオン銀行は来年4月、イオンクレジットサービスと経営統合し、銀行本体で個人向け無担保ローンを始めます。同行では、平成28年度には住宅ローンを含めた貸出残高を昨年度の約3倍、4兆円まで増やすとしています。その他にも地方銀行やネット専業銀行でも収益拡大を狙い、個人向け無担保ローンへ軸足を移しつつあります。
平成22年6月に完全施行された改正貸金業法は、消費者金融が取りこぼした個人向けの資金需要者を銀行が取り込むかたちとなりました。
改正貸金業法、超党派で再改正?見逃せない潜在ニーズ
金融庁が10月31日に発表した貸金業者数によると、今年9月末現在で2,280社。昭和61年の47,504社をピークに約5%に縮小しました。
減少する消費者金融業と潜在する中小・零細企業の小口資金需要から民主党や自民党などは、超党派の改正貸金業法の影響と対策に関する勉強会を開いています。メディアでは連日、ヤミ金業者の摘発が報道されるなど、勉強会では総量規制を廃止し、上限金利を年30%にする案などが検討。潜在するニーズは存在しています。
再改正必要なし!日弁連「犯罪は減少」、金融庁「中小への影響は1%」
一方、反論するのは日本弁護士連合会で貸金犯罪は、ピーク時の平成15年から半減し、被害額も1/3まで減少。消費生活センターや弁護士会の相談窓口への相談件数も減っていることを主張。金融庁も、中小企業の資金繰り悪化の原因が改正法の影響が占める割合は1%台としています。
年末に向け資金需要は高まり、年度末には中小企業金融円滑化法も期限切れとなります。リスケジュール(条件変更)を努力義務とした金融機関や金融庁の動きも注視されますが、解散、総選挙では支援策どころではないでしょう。
●関連記事:「消費者金融:改正貸金業法逃れ!銀行窓口に総量規制外で新顧客獲得、利用者のメリットは?」[2012.4.3配信]
[2012.11.21]
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