宇宙ビジネス開拓②:ベンチャーは東南アジアを目指す。手のひらサイズの小型衛星は90万円で販売
東南アジアに集う宇宙ビジネスベンチャー
日本では産声をあげたばかりの宇宙ビジネス。まだ官需が中心ですが、その可能性にかける若い企業が、東南アジアに飛躍の場を見いだそうとしています。海外では、民間企業が衛星のデータを防災や農業に活用するなど利用の裾野が広いとされます。東南アジアの場合、中国やインドと違って、軍事的、政治的しがらみの影響を受けないメリットもあります。
アンテナの共有で明るい将来性「インフォステラ」
インフォステラ((株)インフォステラ:東京都渋谷区 倉原直美社長)は、平成28(2016)年創業の企業です。衛星から送られてくるデータを地上で受信する「アンテナ」のシェアリング(共有)を仲介しています。現在は5基ほどですが、年内にアンテナ100基以上の獲得を目指します。その9割以上が東南アジアを中心とする海外での受注。災害観測の需要の強いインドネシアのほか、タイ、ベトナム、フィリピンからも引き合いがきており、将来性は高いとみられます。
手のひらサイズの小型衛星を90万円で
スペースシフト((株)スペースシフト:東京都港区 金本成生社長)は、平成21(2009)年創業。手のひらサイズの小型衛星を、本体価格が約90万円の廉価で東南アジアに販売します。平成29(2017)年度は衛星10基を販売する計画で、このうち3基が海外です。衛星販売を入り口に、宇宙教育プログラムも事業化する方針で、タイのモンクット王工科大学やシンガポールの企業とも商談中です。
シンガポールの政治的中立性は宇宙ビジネスに最適
宇宙ごみの除去を手がけるアストロスケール((株)アストロスケール:シンガポール 岡田光信CEO)は、平成25(2013)年の創業。初めから、本社をシンガポールに置きました。税制優遇に加え、政治的中立性が高いことが、宇宙ビジネスには最適との判断でした。
世界の宇宙ビジネス市場は、推定で約36兆円。日本のシェアはまだ1%です。海外に軸足をおくこうした若い企業の活躍に期待したいものです。
●関連記事:「中韓がたじろぐ日本の宇宙技術!観測衛星「だいち2号」小型軽量化を実現させた現場力」[2015.4.27配信]
[2017.5.20]
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