中韓がたじろぐ日本の宇宙技術!観測衛星「だいち2号」小型軽量化を実現させた現場力
政府の「今後10年の新宇宙基本計画」で日本メーカー反撃攻勢
衰退の危機が叫ばれてきた日本の宇宙産業が、今年1月、政府の「今後10年の新宇宙基本計画」により反転攻勢に出ようとしています。宇宙関連産業の強化を打ち出すなか、各メーカーでは国内で積み上げた実績を海外での受注拡大にも繋げようと意気込みます。
三菱電機鎌倉製作所は、2年前に30億円をかけ人工衛星の新生産棟を建設。気象衛星の「ひまわり9号」などが製造されました。一方、鎌倉製作所の技術力が遺憾なく発揮されたのは昨年5月、JAXA(宇宙航空研究開発機構)により打ち上げられた観測技術衛星「だいち2号」の実力です。
雲や植物を透かす高性能レーダー搭載
「だいち2号」は、長い電波を使うレーダーアンテナを搭載。雲や植物を透かして地表のわずかな変化を捉え、夜間も観測可能。地震などの災害状況把握や資源調査での利用が見込まれています。さらにレーダーは1,000個もの小型センサーが敷きつめられた新技術の小型軽量化。アンテナを固定したまま電波を飛ばす方向を自在に変えることで、いつでも観測する場所を選ぶことができるとしています。
小型軽量化怠れば搭載不能に
ロケットで打ち上げる衛星の大きさには制約があり、小型軽量化を怠れば1トン近くになり搭載不可能となります。「だいち2号」の送受信モジュールなどの基板は半導体チップを高密度で実装。ぎりぎりまで薄くしてアンテナの裏側に搭載しました。
また、表側に搭載する小型センサーも、同様に薄型化し全体の重さも500kgに抑えられました。開発製造を指揮した鎌倉製作所の針生プロジェクト部長は,「設計も重要だが、製造技術がものを言う」と説明します。
新宇宙基本計画:10年で5兆円の予算
新宇宙基本計画では、宇宙関連産業育成のため今後10年で5兆円を費やすことが盛り込まれ,衛星やロケットの打ち上げ数、時期などが工程表に具体的に示されました。安倍首相は、工程表が「産業基盤の強化に貢献する」と強調します。
年間数機しか造らない衛星メーカーは、常に受注が途絶えるリスクを背負い、人材育成にも深刻な影響が出ますが10年計画で育成リスクも回避できそうです。中韓製造業の台頭で陰りをみせている日本経済ですが、復権を握るのは他国に真似のできない宇宙などの高い技術力です。
[2015.4.27]
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