長野冬季五輪から20年、企業・人は流出!復活の決め手、外国人客誘致なるか
20年前、長野冬季五輪で「NAGANO」世界的に知名度向上
韓国の平昌冬季オリンピック・パラリンピックが間もなく開催されます。今からちょうど20年前、長野県では長野冬季オリンピックが開催されました。
長野県は開催を機に交通などのインフラが整備され充実し、「NAGANO」の名は世界的に広まりました。
一方、開催後は企業や人口の流出が進み、一部の市町村では五輪施設の維持に経費負担を強いられました。
韓国の平昌も同様に開催後の施設維持管理など経費の負担が韓国内で問題となっています。
スキージャンプの会場にもなった白馬地域は、新幹線が開通し、五輪前までは松本経由、白馬まで時間がかかりましたが、現在は新幹線の長野駅からバスを利用することが主流となり、良質の雪を求めて外国人客は現在も増加傾向にあります。
長野五輪後、長野県の景況感は全国平均を上回ることなし
長野冬季オリンピック後には、誘致の成功でバブル崩壊から守られていた長野にも一気に不況の波が押し寄せました。
これは、日銀の短観(企業短期経済観測調査)を見ればわかる通り、特に非製造業の景況感はオリンピック開催決定以降、全国平均を上回っていましたが、開催翌年からは景況感が急低下し、平成10年9月調査以来、全国平均を上回ることがありません。
ながの東急百貨店の売上高は20年間で約3割減少。平成12年にはダイエー長野店が撤退するなど繁華街の人気は薄れました。
新幹線の開通で首都圏とのアクセスも便利になりましたが、このことが長野に来る以上に、長野から出る企業や人が増え、大学生のUターン率も低下させてしまいました。オリンピック開催後20年、転入が転出を上回ることがありません。
総務省の統計によると、平成26年の長野市内の事業所数は平成8年に比べ約1割減少しました。
良質の雪が魅力!外国人客が目立ち始めた長野
長野県によると、長野冬季オリンピックの経済波及効果では、県内の生産誘発額が総初期投資額の約1.5倍の2兆4,500億円に上りました。整備、充実した交通インフラなど生かし、移住や定住などの増加にどのような施策が必要かが問われています。
最近では外国人客の姿も目立ち、長野県では松本、軽井沢に次いで白馬に宿泊する外国人が目立ちます。
長野冬季オリンピックで外国人選手を受け入れた実績から外国人受け入れには土壌があるものの、大型ホテルがなく、民宿が多く受け入れには制限もあるのが弱点です。ただ、民宿は日本の文化や生活を体験できるとして外国人には人気があります。
白馬村では、大型施設を拒んできた環境基本条例を今年4月に改正し、高さなどの制限を緩和しホテル事業者の誘致を目指します。
米国ニュース「CNN」2018年に行くべき18の場所に日本で唯一「NAGANO」選出
米国の衛星テレビ向けのニュースチャンネル「CNN(Cable News Network)が今年1月にまとめた「2018年に訪れるべき18の場所」に、唯一、日本の長野県が選ばれました。白馬村のスキー場や、日本猿が呑気に温泉に入る地獄谷野猿公苑、松本城が評価されました。
長野冬季オリンピックから20年、ようやく世界的な観光地となりつつあります。
長野市の観光振興課では、平成30年度は訪日外国人客の誘致に注力するとしています。
人々の記憶からは長野冬季オリンピックは薄れていきますが、世界の一流選手が集った場所としてアピールしながら、スポーツや観光などの招致にどのようにつなげていくかが問われる時です。
●関連記事:「韓国・平昌オリンピック2月開催、準備は大丈夫?日本はメダルラッシュ!」[2018.1.5配信]
[2018.2.8]
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