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2016年不動産融資額:15.2%増12兆2806億円、過去最高/ミニ「バブル」状態(日銀)

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前年比15.2%増で過去最高
日銀(日本銀行:東京都中央区 黒田東彦総裁)が、平成28(2016)年の金融機関の「貸出先別貸出金」を発表しました。それによると、不動産融資は、前年を15.2%上回る12兆2806億円。統計がある昭和52(1977)年以来、過去最高です。地価上昇で、不動産投資信託(REIT)向け融資などが増えました。
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状況はミニ「バブル」?
景気の伸びが今ひとつであることの、別の側面なのでしょうか。平成27(2015)年の不動産業向け新規融資の伸びが6%だったのに比べ、平成28(2016)年の伸びは2倍以上です。新規融資全体でみても、平成28(2016)年は10.4%増の48兆3988億円。どう分析しても、伸びの原動力は、全体の4分の1を占める不動産向け融資であり、少し大げさに言うなら、ミニ「バブル」と呼べる状況です。

地価上昇82カ所で下落ゼロ
追い風になっているのは、まず、地価の上昇でしょう。国土交通省によると、平成28(2016)年10月1日時点で、高層マンションなどが集まる100カ所のうち、地価上昇は82カ所でみられ、逆に下落はゼロ。平成32(2020)年の東京五輪・パラリンピックをにらんだ、大規模な都市開発や訪日客増への期待から、地価が全体に高騰しています。これが、海外のヘッジファンドの多額のマネーを呼び込み、日銀のマイナス金利政策で運用難に苦しむ銀行が、融資に乗り出しました。

相続税の節税効果に期待し貸家建設は3割拡大
アパートなどの貸家建設も大きいと言えます。国交省の住宅着工統計によると、平成27(2015)年度は、4年前よりも3割強多い38万3千戸に拡大。平成28(2016)年度は、4~12月だけで前年同期比12%近く多い33万戸に達しています。アパートを造ると課税する際の資産の評価額が下がるため、相続税の節税効果が期待する層が飛びついたのです。しかし、全体を見れば明らかに過剰建設。融資行動も健全とは言えず、バブル崩壊のような憂き目を見ないよう注意が必要です。


[2017.3.2]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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