ドローン関連市場は全世界で10兆円超。問題点は機体性能の弱さと飛行ルールの暗礁化
ドローン関連市場規模は全世界で10兆円超
「空の産業革命」と呼ばれ、関連市場が全世界で10兆円超ともいわれるドローン(小型無人機)。物流業界で人手不足が深刻さを増すなか、政府も、平成30(2018)年の本格活用を目標にしています。しかし、整備すべきルールが山積し、現時点で物流ドローンを商用化できるメドは立っていない状態。課題解決のためには、やはり政府がリーダーシップをとるべきでしょう。
2015年、物流ドローン構想を提唱するが...
安倍晋三首相が平成27(2015)年11月、物流ドローン構想を提唱。新産業の育成や生活利便性の向上につながるとし、「早ければ3年以内に、ドローンを使った荷物配送を目指す」と宣言しました。これを受けて、官民協議会がドローン活用の工程表を策定し、平成30(2018)年をメドに、離島や山間部など過疎地域の荷物配送を本格化し、20年代には都市部にも広げるという目標ができました。
機体性能は未だ商用化水準に達せず
最大の課題を2点に絞りましょう。一つは、ドローンの機体性能が現時点で商用化の水準に達していないことです。日本郵便(日本郵便(株):東京都千代田区 横山邦男社長)は、福島県などで5回の飛行実験を行っていますが、「荷物を搭載して安全に飛行する前提で、航続距離は10キロメートル(半径5キロメートル)程度」とされます。バッテリー性能が大きく向上しなければ、荷物を届けられない配達先も出てくる。天候に左右される弱点もあります。
ドローンは航空管制の対象外
もう1点は、飛行ルールの明確化です。現状では、ドローンは航空管制の対象外で、有人機のように互いの飛行情報を共有し、衝突事故などを防ぐことができません。安全を十分に確保できる航空管制システムがなければ、産業化など遠い話。首相官邸にドローンが落下した事件もありました。いずれも、責任の所在があいまいなままでは、進展しません。政府に期待したいところです。
●関連記事:「「ドローン宅配」が3年以内に実現へ!来夏の規制緩和でIoT社会が一層進む。」[2015.11.21配信]
[2017.5.18]
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