財務省「景気判断」10地域中5地域が「引き上げ」、残る5地域は「横ばい」でマイナスはなし!
9四半期ぶりに景気判断「回復」
財務省は10月24日開いた全国財務局長会議で、10月の経済情勢報告をまとめました。全国の景気判断では、「回復している」と平成27年7月以来、9四半期ぶりに上方修正しました。
前回の引き上げの理由としては、「個人消費の回復」が全体を牽引しましたが、今回は「生産活動の改善」、「欧米向け輸出の好調」が全体を押し上げました。特に自動車や自動車関連部品、生産機械が堅調であり、スマートフォン向けの液晶や有機EL(Organic Electro-Luminescence:有機発光ダイオード)の生産も伸びています。
円安傾向、海外経済が大きく影響
平成24年12月に第2次安倍政権が発足して以来、「金融緩和」や「財政出動」、「成長戦略」とアベノミクスにより円安・株高が進み、輸出産業を中心に大企業の業績は好転しました。
民主党最後の秋には、為替レートが1ドル80円を切る円高水準でしたが、安倍政権発足後の平成25年5月には100円を超え、27年6月には125円を超える円安となりました。
為替は、円安となり当初は輸出産業は業績が回復したものの、輸入価格は上がり、輸出量はさほど増加しませんでした。ただ、今年に入り米国や欧州、中国経済の景気改善が輸出量増加の要因となりました。
輸出額が増えても輸出量が増えなければ雇用喪失に
輸出額が増えても輸出量が増えなければ、生産量は増えず人手も必要なくなり、企業の利益は増えるものの雇用は失われます。総務省の労働力調査によると、製造業の雇用者数は、平成24年の1,033万人から28年には1,045万人と微増ですが増えており、改善傾向にはあります。
財務省の各地域の総括判断によると、関東や東海、中国、四国、九州の5地域では、「緩やかに回復している」から「回復しつつある」に引き上げられました。
一方、北海道や東北、北陸、近畿、沖縄の5地域では「回復しつつある」「緩やかに回復している」「拡大している」と前回調査から横ばいとなっており、マイナスとなる地域はありませんでした。
日経平均株価、21年3ケ月ぶりの高値
10月25日の東京株式市場では、日経平均株価が続伸し、平成8年7月以来、約21年3ケ月ぶりの高値となりました。米国では好調な企業決算を要因に世界経済の成長に期待感が広がっています。
為替レートも1ドル113円台と9月から円安傾向は続いており、国内の輸出企業などさらなる収益が期待されます。円安の主な原因は、日銀の金融緩和政策も影響していますが、米国の金利上昇も要因となっています。日本経済は改善しつつありますが、海外経済による影響が依存されます。海外経済が失速すれば、日本経済もマイナスの影響を受けるため、かつての為替レートが重要だった時代の認識から少し離れ、経済政策を考えることも必要となります。
関連記事:「日銀:景気判断4地域を引上げ!/さくらリポート」[2017.10.17配信]
[2017.10.27]
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