人生100年!?特養ホーム待機者29万人超えの実態、サ高住の8割が終末期対応できず
特養へ入居できずサ高住へ
日本は、少子高齢化や人口減少状態が改善されず、特別養護老人ホーム(特養)に入居できない要介護度の高い高齢者が30万人近くで高止まりしており、介護政策の機能不全が浮き彫りとなっています。
国土交通省によると、比較的元気な高齢者を対象としたサービス付き高齢者住宅(サ高住)へ特養に入居できない高齢者の流入が続いているものの、サ高住の約8割の事業者は、終末期のケアに対応できないとしています。
特養とサ高住間の連携が取れず、介護ニーズと受け皿のミスマッチが拡大しています。
特養とサ高住の違いとは
厚生労働省によると、特養とは要介護高齢者のための生活施設であり、入浴や食事などの介護や日常生活の世話や健康管理、療養上の世話を行う施設と定義しています。
一方、サ高住は、入居者の安否確認や生活相談などを提供する民間の賃貸住宅で、平成23年に高齢者住まい法改正によって新たに誕生しました。
補助金や税制の優遇などの後押しで令和元年末時点で特養に次いで増加してきました。
要介護認定者数は641万人に
ただ、特養とサ高住には大きな開きがあり、特養を必要とする要介護者数が不足しており、平成30年3月末時点での要介護認定者は641万人と大きく増加し、特養は人手不足や地価上昇などにより整備が追いついていないのが現状です。
日本は、高齢者に対して費用がかさむ入院医療から住宅サービスへの移行を推進することを原則としており、サ高住も受け皿としていますが、実態は介護や医療サービスの提供体制が十分でないことも今回の調査で判明しています。
平成30年4月時点で特養の入居待機者は約29万人を超え、行き場のない高齢者は高額な老人ホームほど費用のかからないサ高住に流入しています。
過疎地、離島の特養では存続危機感も
高齢者数は、今後20年後には増加傾向にあり、平成27年の約3,390万人から500万人以上が増加すると予測されています。
サ高住の増加も昨年より鈍り始め、増加傾向にある有料老人ホームは入居費用が高額であり特養の増加も大きくは望めない状況です。
全国に1万以上ある特養において、定員30名以下の小規模特養は約450施設あり、過疎地や離島では増設は見込めず、介護報酬でも平成30年に法改正で引き下げられ、地域の特養では危機感を募らせています。
安倍政権は、人生100年を掲げるものの、社会保障など財源問題だけでなく高齢者ニーズをいかに満たすかが改革への視点となりそうです。
●関連記事:「日本の人口「65歳超え」が3割弱に!人手不足で働く高齢者も1割超え」[2019.9.27配信]
[2020.2.7]
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