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中小企業活性へ「担保・保証」依存融資から転換!信用保証100%から80%へ

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信用保証利用の融資、企業は資金繰り改善傾向
日本政策金融公庫は2月1日、「信用保証利用企業動向調査結果の概要」を発表。信用保証を利用している企業の資金繰りは改善傾向となっています。同公庫では、景況は一部に弱い動きも見られるものの、持ち直しの動きは継続していると分析しています。
平成29年10月〜12月期に借入を実施した企業のうち、保証を利用した企業はやや増加。今年1月〜3月の保証利用要請DI(Diffusion Index:各種判断を指数化)は、1.8と横ばいの見通しです。保証利用要請DIは、金融機関による保証利用要請が「強くなると思う」企業の割合から「弱くなると思う」企業を差し引いた割合を数値化したものです。
一方、資金繰りDIはマイナス1.9とマイナス幅は縮小しましたが、借入難易度DIは4.6と上昇し、5期連続でプラスとなっています。

信用保証協会が中小企業への融資の保証人
信用保証協会は、中小企業や小規模事業者が銀行など金融機関から資金調達する際に、保証人となって融資が円滑に受けられるようサポートする公的機関。信用保証協会は、各都道府県にあり、地域に密着した業務を行なっています。
中小企業や小規模事業者は金融機関から融資を受けようとすると、金融機関と取引が浅い場合など保証を求められることがあります。保証付融資では、万が一、借主の返済が滞った場合、借り主に変わりし保証協会が立て替えて支払うことになります。その対価として、保証付融資の場合には、所定の信用保証料が発生します。
保証人に関しては、原則として法人代表者以外の連帯保証品は必要なく、担保に過度に依存しない保証が推進されています。
中小企業や小規模事業者は、日本の企業全体の99.7%を占め、約385万社あり、このうち信用保証の利用企業は146万社と、公的金融機関の中でも利用が多いのが特徴です。
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法改正、中小の新陳代謝促進目的に保証100%から80%へ
金融庁は今年4月1日より、信用保証協会向け監督指針を改定、成立させる方針を示しました。中小企業や小規模事業者への保証付融資の条件厳格化に踏み込む姿勢です。
具体的には、小規模事業者や創業関連の保証についてはこれまで通り100%保証は維持されますが、中小企業の経営改善や事業転換など促すことを目的に、不況業種を対象としたセーフティネット保証5号の保証割合は100%から80%に引き下げられます。
一方、経営者が事業の撤退時に必要となる資金調達が円滑に行えるよう、新たに自主廃業支援保証が新設。融資額は最大で3,000万円、80%保証融資となります。保証付融資の条件厳格化も、この法改正の趣旨に沿ったもので、企業の新陳代謝を促すとしています。

金融機関からの融資は相変わらず担保、保証に依存
金融庁は、アベノミクスの「地方創生」を援護すべく金融面から支援するため、全国の中小企業経営者を対象に融資など金融機関の取り組み姿勢について調査を実施。調査からわかったことは、金融機関は依然として担保、保証に依存した融資体制への批判の声でした。保証100%が80%になれば、2割が銀行の責任負担となるため、担保、保証を求めているのでしょう。
金融庁では、これまでの融資体制を、顧客の視線に立ったコンサルティングと事業の将来性を見極めたキメ細かな融資体制へ転換させていますが、特に地方の金融機関にとってはプレッシャーとなる可能性もあります。
ただ、地方の経済が活性化しなければ日本経済全体の底上げには繋がらないことも金融庁は理解しており、今後の取り組み、融資体制の円滑な供給が期待されます。


[2018.2.7]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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