厚労省:実質賃金0.7%増、給与総額0.5%増/実質賃金アップの実感がカギ
前年比0.7%増、現金給与総額も0.5%増
安倍政権のアピールが功を奏したのか、会社員らが平成28(2016)年に受け取った賃金は、堅調な伸びを示しました。厚生労働省が発表した平成28(2016)年の毎月勤労統計調査(速報値)は、実質賃金が、前年から0.7%増加。名目賃金にあたる現金給与総額も0.5%増加し、所得環境が上向いていることを示しています。しかし、この流れが続くかといえば、不安材料もあがります。
働き方改革がブレーキに?
その一つ目は、残業代の減少。同省が同日発表した平成28(2016)年12月の所定外給与は、1人当たり1.9%減と大幅に落ち込みました。企業全体の活動は活発化していますが、官民で取り組んでいる「働き方改革」が"ブレーキ"になり、残業代の減少を招いているものとみられます。
ただ。長時間労働の是正は改革の根幹であり、残業時間の削減は今後も進むとみられます。
ただ。長時間労働の是正は改革の根幹であり、残業時間の削減は今後も進むとみられます。
実質賃金アップの実感がなければ...
安倍政権が主導してきた物価上昇政策も、短期的には実質賃金の押し下げに働きます。原油高や円安の影響を受けてきた消費者物価指数は、昨年10月、ようやく上昇に転じましたが、実質賃金のアップが実感を伴うレベルにならなければ、消費意欲の回復にはつながりません。
米国政権の政策も不確定要素のひとつ
米国のトランプ政権の政策の行方を、不確定要素の一つに挙げる声もあります。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し、移民の入国制限など保護主義的な政策が目立ちますが、先行きが見通せなくなれば、当然、経済活動全般に影響が出ます。
経済は、単純な仕組みでは動きません。全体のバランスをどうとるかが重要です。
経済は、単純な仕組みでは動きません。全体のバランスをどうとるかが重要です。
●関連記事:「勤労統計調査(厚生労働省):実質賃金、0.4%増え/基本給が0.6%増の23万9123円、0.6%増」[2016.4.28配信]
[2017.2.27]
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