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進まぬ二重ローン問題、わかりずらい支援策にあきらめムード?個人版私的整理ガイドラインの成立わずか800件

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家があるのに帰れない!「帰還困難区域」2万5,000人
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東日本大震災から3年が経ち、現在も仮設住宅や親類宅で暮らす被災者は約27万人。この中でも原発事故により「帰還困難区域」に指定され自宅があるのに放射線量が高いため帰還できない人は約2万5,000人います。再建に向け、国に自宅を買取って欲しいとの声もあがります。
津波と原発事故の二重の被害を受ける南相馬市では、防災集団移転促進事業が進みますが,その買取り価格は1平米当たり4,920円〜1万1,280円と条件は厳しいようです。それでも買取りが決まらぬ土地は東電の賠償頼みとなっているのが現状です。

支援策,2万件の見込みが800件
震災前の住宅ローンと再建するための住宅ローンの二重ローン問題は、これまで国会でも議論されてきたしたが、思うように進んでいません。被災者の住宅ローンを減免する個人版私的整理ガイドラインは平成23年8月に策定され運用を開始。当初,2万件の利用が見込まれていましたが、これまでの成立件数は僅か800件。
ガイドラインは、わかりづらく敷居も高いとの理由でこれまで3回ほど見直しがされましたが、利用者は見直し前にすでに相談。「住宅ローンはやはり払うもの」として返済を再開し、避難先の家賃と二重に支払う被災者も少なくありません。

災害で自宅全壊したら住宅ローンの半分免除、日本初の新商品
三井住友銀行は2月28日から二重ローンを防ぐ住宅ローンの取扱いを始めました。住宅が地震や津波などの災害により全壊した場合,自治体が全壊と認定すればローン残高の半額が免除されます。地震保険では、住宅が被害を受けた場合,最大でも支払われる額は火災保険金額の半分が上限。新たな住宅ローンと地震保険に加入すれば負担はほぼゼロになる仕組みです。
同行では、自然災害への備えを手厚くすることで生活をいち早く再建する助けになればとしています。二重ローンは、阪神・淡路大震災では抜本的な対策もとられず、東日本大震災では個人版私的整理ガイドラインが策定されるものの、利用が進まず新たな施策、法案が必要なようです。

首都直下型、南海トラフ・・また二重ローン多発の懸念
ここ数年,日本は地震や台風、竜巻、洪水など自然災害が相次ぎ、いつ何時我が身に降り掛かるかもわかりません。首都直下型地震や南海トラフ地震など被害の想定は発表されるものの、再建に向けた計画はなく住宅が被害を受ければ同様の問題がまた起きる可能性は大です。
金融庁など今後,個人版私的整理ガイドラインの周知徹底を再度図り、金融機関や被災者へ利用を促進。被災者の一早い再建には、何よりも金融機関の協力が不可欠です。

[2014.3.14]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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