コメ・ウォーズ②:圧倒的トップブランド「魚沼産コシヒカリ」を擁す新潟県の強い危機感
産出額1296億円、全国トップだからこそ
魚沼産コシヒカリという圧倒的なブランドを持つ新潟県のコメの産出額は、平成26(2014)年産で1296億円と全国トップ。
金額シェアでも9%を占めます。新潟県が投入する新銘柄「新之助」に力を入れる理由は、新潟県の強い危機感の現れです。
生産数量は4年連続で前年を下回る
農林水産省は、平成28(2016)年産のコメ生産数量目標を、前年産より8万トン下げて743万トンにする計画です。新潟県も平成27(2015)年比1%(5553トン)減の51万5737トンとしており、4年連続で前年を下回りました。前回書いた通り、コメの消費量は平成27(2015)年産で推計値771万トンと縮小傾向にあるためです。
来るTPP、減反廃止へどう対処するか
加えて、コシヒカリの作付け面積に占めるシェアは、ここ数年36~37%と頭打ちになっていました。さらには、TPPの影響が懸念され、また、平成30(2018)年産の減反廃止などで、販売競争がますます激しくなる可能性もあります。
魚沼産コシヒカリと並ぶブランドの確立
新潟県の泉田裕彦知事は、「新之助を非コシヒカリ系のトップブランドとして育て上げる」と宣言しましたが、現状を打破するために不可欠なのが、魚沼産コシヒカリと並ぶ強力ブランドの確立なのです。
ブランド米を通じてコメ需要を喚起しなければ、農家の担い手確保や水田の維持も難しいという、極めて差し迫った状況です。
「新之助」開発に8年の歳月
県農業総合研究所(長岡市)が中心となって「新之助」の開発に取り組み始めたのは、平成20(2008)年でした。
184品種・系統で約500通りの交配を実施しました。開発期間を短縮するため、沖縄県の石垣島や県内の温室で年2~3回、コメを生産して世代交代を促進し、より良い品種を掛け合わせました。その結果、味だけでなく猛暑への耐性にも優れたスーパー米が誕生したのです。
[2016.10.11]
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