百貨店、大量閉鎖時代/三越伊勢丹千葉店、西武春日部店/旗艦店が赤字店を支えられない現状
不振から脱却のシナリオを描けず
中国人など訪日外国人による「インバウンド」需要が衰え、それを頼りにしていた百貨店が窮地に立たされています。状況はより深刻化し、"大量閉鎖時代"に突入しそうな気配です。
合理化は避けられず、困ったことに各社とも、構造的な不振から抜け出すシナリオを描けません。
インバウンドの恩恵は都内3店舗のみの三越伊勢丹
三越伊勢丹ホールディングス((株) 三越伊勢丹HD:東京都新宿区 大西洋社長)は、傘下の三越伊勢丹が運営する三越千葉店の営業を平成29(2017)年3月20日に終了すると発表しました。建物の賃貸借契約の終了まで1年を残しての撤退です。
インバウンドの恩恵は、伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店の都内3店舗に偏っており、その"本丸"が揺らいだため、不振店舗は閉めざるを得なくなりました。
売上高は6~17%軒並みマイナス
平成28(2016)年4~8月累計の売上高(前年同期比)を見ると、千葉店7%減のほか、伊勢丹府中店17%減、伊勢丹相模原店11%減、伊勢丹松戸店6%減、伊勢丹立川店6%減と、軒並みマイナスです。
そごう・西武、阪急阪神も同様に
他社も同様で、そごう・西武((株)そごう・西武:東京都千代田区松本隆社長)は、今年2月に西武春日部店を閉鎖したほか、平成29(2017)年2月までにさらに4店舗を閉鎖します。エイチ・ツー・オーリテイリング(エイチ・ツー・オーリテイリング(株):大阪市北区 鈴木篤社長)傘下の阪急阪神百貨店も、平成29(2017)年7月末に堺市の店舗である堺北花田阪急を閉める予定です。
小型店や空港店舗では追いつかない
旗艦店で赤字店を支える体力を失ったがゆえの、"落城"。問題は構造的で、小型店事業や空港での開店など、これまでの対策では追いつきません。業態変更など抜本的な改革が避けられない状況です。
円高の影響で「インバウンド」が目論み外れ
百貨店業界に限らず、インバウンドを目論んでいた輸出業界、旅行産業は全国各地に広がりを見せていました。地方再生の切り札が訪日外国人の増加と地方観光地、いわゆる「ご当地」への誘致でした。
円高は自助努力の範囲超える
このまま円高が恒常的になれば、百貨店の自助努力を超えてしまいます。デフレ脱却に向け次の方策はやはり円安が効果的ですが、為替に振り回される国内経済では安定的な成長は望めません。
[2016.09.29]
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