アパートローン:節税対策で急増、金融機関の融資先に最適
賃貸住宅を建設・購入する個人向け融資を「アパートローン」と呼びます。
相続税の節税効果を狙う団塊世代が、その大きな核になってきました。日銀(日本銀行:東京都中央区黒田東彦総裁)のマイナス金利の導入への対策として、銀行も融資を増やしています。
ささやかれる「いつか来た道」
地域金融機関では不安要素がささやかれています。日本は現在のところ人口減社会。「アパートバブル」にならないか不安もあります。
不動産を相続したほうが節税になる
団塊世代が相続税対策に熱心なのは、当然といえば当然です。平成27(2015)年1月施行の税制改正で、非課税枠だった「基礎控除」の額が引き下げられ、税率構造も見直されました。
現金よりも不動産を相続したほうが、相対的に節税になります。不動産のアパートなどを賃貸に回せば、さらに得する内容です。資産がある団塊世代が、この改正に目ざとく飛びつきました。
地域金融機関、アパートローンに活路
一方、地域金融機関ではマイナス金利政策で、利益の確保に苦しんでいます。資産家を対象にしたアパートローンは、融資が伸び悩む急場をしのぐ「活路」なのです。
前年比2%増の21兆円強
銀行統計によると、平成27(2015)年末の融資残高は、前年比2%増の21兆円強で、5年ぶりに最高を記録しました。
ことに地方銀行が、市内中心部で閉鎖した店舗や老朽化した建物の跡地でのアパート建設の提案に熱心なようです。
社会構造の変化
節税したい個人と、融資先を探す金融機関の思惑が一致しています。当面、アパートローンは活況を呈するでしょう。しかし、人口減、少子高齢化といった社会構造の変化への意識を欠いたまま、目先の利益を追求するだけでは、大きなしっぺ返しが来るでしょう。それこそ「いつか来た道」です。
地域金融機関の貸家業向け融資に関するリポートで、「賃貸住宅への入居戸数は平成37(2025)年ごろに減少に転じる」と、警鐘を鳴らしています。
[2016.07.15]
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