レセプト債ファンド「オプティファクター」破綻!負債総額290億円、数千人の投資家が被害
タイムラグから生まれたレセプト債
医療サービスに対して支払われる「診療報酬」の明細書を「レセプト」と言います。みなさん、病院で支払いの際に受け取っています。初診料283点、処方箋料30点などと書いてあるあれです。医療機関は、このレセプトに基づき診療報酬を保険者(市町村や健康保険組合側)に請求しますが、その請求権を金融商品化した債券「レセプト債」が大変なことになっています。
レセプト債が生まれた背景には、医療機関を悩ませるタイムラグ問題がありました。医療機関が保険者に診療報酬を請求すると、不正請求のチェックがあり、報酬を受けるまでに約2カ月かかる。このため迅速に現金を手に入れたい医療機関は、診療報酬を受け取る権利をファンドに売却します。ファンドはその権利を年利3%の債券とし、投資家に販売していました。
金融商品としてタイムラグが高かったはずが......
なにやら怪しげな感じですが、診療報酬は通常、満額が保険者から支払われるため、金融商品としては「安全性が高い」が売り文句でした。しかし、ファンド自体が経営破綻してしまえば、話は別です。破産手続きの開始を申し立てた「メディカル・リレーションズ・リミテッド」(東京都新宿区)などファンド3社と、関係する運用会社「オプティファクター」(品川区)は、負債総額が約290億円に上り、延べ数千人の投資家に被害が出るとみられます。
決算内容に不審な点があることから、証券取引等監視委員会も調査を始めました。販売の窓口を担った全国7つの中小証券会社にも責任があります。レセプト債を巡っては、米国の資産運用会社が、日本人投資家らから約1800億円を詐取したとして、米国で公判中。こうしたマネーゲームには、辟易するばかりです。
[2015.11.18]
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