中国経済、崩壊へ向かうか。公表された統計が、かの国の実体経済の深刻さを物語る。
"爆買い"のイメージと異なる本国での現実
9月に訪米した中国の習近平(シージンピン)国家主席が、ボーイング機300機を計約380億ドル(約4兆5663億円)で購入すると発表するなど、経済力のアピールが続く中国。しかし、実体経済が深刻なことを、この数か月に公表された一連の統計が示しています。今夏の株価暴落や、人民元切り下げ以上に悪い事態も起こり得ることを、忘れずにいましょう。
中国自動車工業協会が8月に公表したデータによると、7月の全国の自動車生産台数は151.8万台で、前年同期比で約11%減、前月比では約18%減でした。自動車の販売台数は、前年同期比で約7%減、前月比では約17%減。中国全体で個人消費が急速に冷え込み、売れないから、生産もできないのです。中国人観光客の"爆買い"の姿からはにわかにイメージできませんが、これが現実です。米調査会社による今年4~6月期のスマートフォン販売台数も、前年同期比で約4%減少となり、四半期ベースで初めて前年を下回りました。
世界が中国経済を見極めようとしている
また、国家統計局の9月の発表では、今年上半期、ビール消費量が前年同期比で約6%減となりました。この20年で初のマイナスです。消費の低迷で、製造業が衰え、それに伴って金融業や不動産業も連鎖的に悪化しています。不良債権の増大で、大銀行でも賃下げが始まりました。英国の調査会社が8月に出した景気指数も、中国の「不況」を裏付けるものでした。
先の訪米時、習国家主席の発言は、終始、強気でした。「中国の改革の方向が変わることはあり得ない」「株式市場は一時期、異常な変動が出現したが、すでに修復、調節段階に入った」「人民元で、切り下げを続ける根拠はない」「中国は開放の門戸を永遠に閉じることはない」......。中国経済に不安がないことを強調し、米国からの投資を呼び込むという狙いは一定程度、成功したようです。しかし、この強気がいつまで国際社会に受け入れられるか。各国は今、中国経済を冷静に見極めようとしています。
[2015.10.21]
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