厚労省、保育所にいる子どもが少ない朝夕に限り保育士1人体制を検討。待機児童の解消につながるか?
2年後には保育士不足は7万人!?
厚生労働省は、保育所にいる子どもが少ない朝夕に限り、保育士の数を現行の2人から1人にと減らす検討に入ったようです。家庭で子どもを預かる「保育ママ」など保育業務の経験のある人なら、資格がなくとも代役を務められるようにします。「子ども・子育て支援新制度」を設け、2017年度中に全国の待機児童ゼロを目指すとした同省の苦肉の策ですが、目先の目標達成を急ぐあまり、保育サービスの質が低下しないように願いたいですね。
今年度からスタートしたこの制度は、消費税を財源とし、保育所の新設などで約20万人分の受け皿を増やします。各自治体はすでに保育所の整備を進めていますが、ここで壁になるのが、慢性的な保育士不足。2011年12月には1.28倍だった保育士の求人倍率は、2014年12月には2.06倍に急増しました。保育士不足が特に深刻な東京都では、2014年12月の求人倍率が5.37倍です。
同省は、17年度末に約7万人の保育士が不足するとみています。保育所ができても、肝心の保育士がいないという事態さえ起きかねない状況なのです。
待機児童解消につながるだけでは......
今回の検討は、一部地域で試験的に行ってきた仕組みを全国に広げようというものです。省令を改正し、保育士の確保が困難な地域では、朝夕の「保育士1人体制」を認めます。やむを得ない措置ではありましょう。しかし、保育士の処遇改善や働きやすい環境整備、充実した教育システムの整備など、一体的な対策が必要です。
「待機児童の解消ができても、しっかりと保育してくれないと意味がない」「大丈夫かな?」など、ネット上で交わされる若い母親たちの声。「保育士1人で、複数の園児と半人前のスタッフの面倒を見るのは無理」「保育全体の底上げのほうが大切」とする保育士たちの声を、それぞれもっともだな、と感じました。質の高い保育内容にこだわりながら、将来の世代が子育てに希望が持てるような社会づくり。簡単には実現しませんが、そこに向かうしかありません。
[2015.8.8]
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